「地球丸ズームイン」
http://world.chikyumaru.net/
世界各地で暮らす、地球丸クルーが、見たこと、体験したことをもとに、毎回のテーマを語ります。さて、どんなことにズームインして、何が飛び出すかお楽しみ!?
ja
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=1040077
日本大好き!ポーランド人(ポーランド)
ニッポン大好き!○○人
文・写真:スプリスガルト 友美(ポーランド・ポズナン)
ポーランド人に親日家が多いと知ったのは、私がまだ大学生のときのこと。大学でポーランド語を専攻していたのが縁で、ポーランドの大学で日本語を学ぶ学生と知り合ったのだ。ポーラ...
ニッポン大好き!○○人
文・写真:スプリスガルト 友美(ポーランド・ポズナン)
ポーランド人に親日家が多いと知ったのは、私がまだ大学生のときのこと。大学でポーランド語を専攻していたのが縁で、ポーランドの大学で日本語を学ぶ学生と知り合ったのだ。ポーランドに日本学科があることも驚きだったが、その日本学科が3つの大学に設置されていると聞いてさらに驚いたのを覚えている。
私が住んでいるポズナンには、その日本学科のうちのひとつがあるので、何人かの学生と知り合ったが、どの学生も日本への愛(?)にあふれていて、しかも私の知らないようなマニアックなことまでよく知っていた。
結婚してポーランドに住み始めてからもうすぐ8年になるが、ほかにもあちこちで“日本”を見かける。柔道、剣道をはじめとする武道人気もそのひとつ。ポーランド人である私の夫も、子どもの頃から空手や柔道、合気道といった武道を習ってきたようで、今でもその武道熱は冷めてはいない。
道端で見かけた合気道稽古勧誘の看板
あるショッピングセンターのホールで行われた合気道演武
夫の武道本コレクションの一部。よく見ると、『忍術』という本が…
夫の武道雑誌コレクションの一部。全て日本語のタイトルなのが面白い
またこちらに来てから、ポーランドのブログサービスを使って、ポーランド語でブログを書いているのだが、1週間のうちに何通ものコメントやメールをもらう。以下、もらったコメントに対する私の感想の一部をご紹介しよう。
「アニメやマンガを見てから日本を好きになった」(大半がこのコメント!) → アニメ・マンガ人気のすごさに改めてびっくり。
「日本人に生まれたあなたがうらやましい」 → ヨーロッパ人に憧れる日本人も多いことを考えると、皆ないものねだりなんだな、となんだかほっとする。
「そんなに素晴らしい国に生まれていながら、どうしてわざわざポーランドなんて国に来たの?」→ ポーランドだって素敵な国なのに、そんなに自分の国を悪く思わなくても……。
「日本ではポーランド人男性は人気ある?どうやったら日本人女性と結婚できる?」 → そんなことを言われても……。
ここ数年は日本料理(特に寿司)も人気のようで、ポズナンの中心地だけでも10件ほどの寿司屋ができた。店名も「サカナ(魚)」、「ハナ(花)」、「ゴコウ(後光?)」など、様々な日本語が並んでいて面白い。スーパーでも醤油や海苔、わさび、すし酢、寿司用の米(少し割高)、巻きすなどが売られているところを見ると、自分で寿司作りに挑戦する人も多くなっているのかもしれない。
ちなみに私の夫も、子どもの頃偶然家にあった、あるポーランド人男性の日本滞在記を読んで以来、日本に興味を持ち始めたとのことで、大学では民族学、それも日本を専門にし、今では大学で日本文化や日本の生活について講義をするまでになった。夫と話していると、自分がいかに母国のことを知らないかを感じる。
夫が日本に興味を持つきっかけになった本。『桜咲く国を散歩』というタイトルで、なんと1966年発行!
『桜咲く国を散歩』の中身
日本で4月といえば始まりの季節。日本のことをもっと知りたいポーランド人をがっかりさせないためにも、もっと自分の国について勉強しようかな。
ポーランドのショッピングセンターで見つけた梅酒
≪スプリスガルト友美(すぷりすがると・ともみ)/プロフィール≫
東京生まれのフリーライター。大学でポーランド語を専攻した時からの運命だったのか、ポーランド人と結婚し、2002年よりポーランド在住。日本文化を研究する民族学者の夫と、1歳半の娘と共に、ポズナンで暮らす。ポーランドについてより多くの人に知ってもらおうと、ホームページ(友美とヤツェクの宝箱) やブログ(poziomkaとポーランドの人々) を利用しながら、ポーランドに関する情報を幅広く発信している。
]]>
『ニッポン大好き○○人』
2010-04-22T08:50:48+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=890607
第6回 我が子のバイリンガル教育について
◆座談会参加メンバー◆
◆みゆきりん(香港・ランタオ島在住)
香港生まれの5歳児と3歳児はインター幼稚園に通う。「子どもの日本語教育のために!」と日本語教師を目指すが、1年ほどで向いていないと判断。子どもたちは週1回、日本語教室に通う。いずれは夫の故郷のニ...
◆座談会参加メンバー◆
◆みゆきりん (香港・ランタオ島在住)
香港生まれの5歳児と3歳児はインター幼稚園に通う。「子どもの日本語教育のために!」と日本語教師を目指すが、1年ほどで向いていないと判断。子どもたちは週1回、日本語教室に通う。いずれは夫の故郷のニュージーランドに移住する予定。自身が小学4年生から中学3年生、プラス大学1年をアメリカで過ごした帰国子女。
◆伊藤 葉子 (Yoko Ito-Peterson)(アメリカ合衆国・ロサンゼルス在住)
米国生まれの長男は現地校で1年生、日本語の補習校では2年生。やはり米国生まれ4歳の次男は現地のプリスクールと日本語の幼稚園に通う。米国永住予定だが、将来的に数年日本に住みたいと希望している。
◆うえのともこ (ネパール・カトマンズ在住)
日本生まれの長男は現地校2年生、この春から日本語補習校に入学。在住年数が半々となり、脳みそがだんだんネパール語に侵食されてきている模様。しかしネパール語に翻訳される本は少ないので、将来何を学ぶにしろ、ネパール語以外のメジャー言語が必須。ネパール生まれの次男(10ヶ月)はどうなるか?「ばぶばぶ」
進行役
◆椰子ノ木やほい (アメリカ合衆国・ミシガン州在住)
1997年、長女の中学入学を機に、受験のない世界での、のんびりゆったり子育てとシンプルライフ、スローライフを求めて南太平洋の小国サモアに家族で移住。当時長女12歳、長男9歳、次男8歳、三男5歳。4年間のサモア滞在中は、通信教育とホームスクーリングで日本語の勉強。2001年よりアメリカ・ミシガン州在住だが、日本語補習校には4人とも無縁。現在、長女は大学院生、長男、次男は大学生、末っ子はハイスクールに通っている。
========================================
さて今回は、海外で暮らしている私たちが、バイリンガル教育について、おしゃべりしてみました。日本人の母として、我が子に日本語もできるようになってほしいと願うのは当然のことですが、それなりに苦労もあると思います。さて、どんな苦労やアイデアが飛び出すのでしょう。
【やほい】
皆さん、今回は地球丸座談会に参加して下さりありがとうございます。前から聞いてみたかった題材なんですよ。
我が家は家族全員が日本人ですので、家庭内は日本語です。同じ家庭環境で育ってきた娘や息子たちのはずですが、日本語環境にいた時期、英語環境に放り込まれた時期が違うので、彼らのバイリンガル度の比重は微妙、いやかなり違います。日本語で暮らす我が家でもそうなのですから、これが国際結婚カップルとなると、もっと複雑なのだと思いますが、皆さんのご家庭では、おもに何語で会話しているのでしょう?そして、お子さんたちの母語は何語といえますか?
【みゆきりん】
夫はニュージーランド人なので、ダディーとの会話は英語です。私とは日本語で話をしますが、これは日本語で話しかけないと答えないというのがあるからかもしれません。ラッキーなことに私の両親が近くに住んでいるので、おじいちゃん、おばあちゃんとは日本語で会話しています。
子どもたちの母語は英語です。通っている幼稚園はインターなので英語ですし、近い将来はニュージーランドに移住する予定なので、英語を基本にした方が子どもたちにとってはいいのではないかと思います。
【ともこ】
家庭では日本語ですが、だんだん家族独自の言語(ネパール語動詞を日本語的に活用させたり、穴埋め的にどちらかの単語を混ぜて使ったり)でコミュニケーションがはじまり、よくないなぁと思っています。
長男の現地校では教科書を使用せず、ネパール語を軸に学んでいますが、3年生までしかなく、一般の学校は教科書も授業も英語で進められますので、今後英語も大切になってきます。若い世代は、ネパール人同士でも英単語交じりの会話になっていて、それもまずかろうと思っています。
【葉子】
みゆきりんさんと同じで、子どもはパパと英語で私とは日本語です。家庭で彼らが日本語で話せるのは私だけなので、厳しくチェックします。たとえば「ミルク」と言ったら、「牛乳」と言い直させます。意地悪な母親でしょうか?
私たちの日本語での会話を夫は理解できないのですが、それを不快とは思っていないようです。夫には日本語を勉強してもらうつもりです。そうしないと、私たちの苦労は分かりませんよね。
【やほい】
ということは、父親の母語がネパール語、母親は日本語、そして学校教育は英語主体というともこさんのお宅が今後、いちばん複雑そうですね。
お子さんにはズバリ、何語をどの程度身につけてほしいと考えていますか?そのために、母親としてできること、するといいと思っていることはありますか?
【みゆきりん】
英語を母語として、日本語は読み書きができる程度にはなってほしいと思います。長男妊娠中に自費出版で妊婦旅行記を出版したのですが、まだ見ぬ我が子への愛情が伝わるこの本を、自分で読めるくらいの日本語力はついてほしいというのが母の願いですね。
北京語も習っているのですが、本人たちが楽しく教室に通っている間は続けさせたいです。
私は毎日子どもたちが寝る前に日本語の本を必ず2冊読みます。
【ともこ】
毎日、2冊も!私は最近怠けているので、感心します。本が少ないから、という言い訳で……。
【やほい】
確かに根気のいることですよね。本を読んであげるって、小さなことのようですが、言葉の教育だけでなく、スキンシップにもなり、集中力や知識の向上など、これだけのことから得るものは計り知れないと実感しています。私も子どもが小さいときは、毎晩欠かさず、子どもの数だけ読み聞かせました。移動図書館から毎月必ず25冊の本を借り、それを何年も続けていたので、読み聞かせた本の数は軽く1000冊を超えますが、本のタイトルを記録したノートは今も大切にしまってあり、“私”の宝です。振り返ると、この時間が下の子ほど短かったことが、今の日本語力にも多少影響している気もするのですが、もう取り返しがつきません。
【葉子】
読み聞かせた本が1000冊以上ですか! 記録ノートは、子どもさんに引き継がれるべき宝ですね。毎晩読み聞かせを続けている、みゆきりんさんもえらい!
【みゆきりん】
あと、お雛様やこどもの日、七夕などは日本人やママが日本人のミックスのお友達をよんでパーティーをします。言語はもちろんですが、日本の文化も知ってほしいからです。
【ともこ】
ネパール人の夫は漢字で苦労していますので、子どもたちにも日本語をしっかりと!と思っているし、私も同じ思いですね。今まで全くアカデミックなことをしてこなかったのですが、これからは補習校の宿題を見てあげたいです。でもすぐに喧嘩になって、脱走していくーーー。
【やほい】
わかります、わかります。自分の子どもを教えるって忍耐、忍耐、忍耐ですよね!
【ともこ】
どれもこれも中途半端になってしまうのが一番よくないので、日本語は補習校で中3までかんばってもらって、その後は、自分で方向性を見出していってもらえれば。
【葉子】
漢字は確かに苦労しますよ、特に使う頻度が少ないとね。私は息子たちには英語を軸とし、日本語はある程度の読み書きが出来るようになって欲しいと思います。具体的には補習校の6年生修了が目標です。日本文化に触れるということで、長男は5歳より空手を習っています。先生は米国人ですが、「カタ(型)」「ギ(着)」といった日本語の単語を使います。家では折り紙をやり、なるべく和食を心がけています。
【やほい】
みなさんスゴイ! いろんな努力をされているのですね。「日本文化に触れるため」という意識をもって、空手を習わせるというのにも感心します。うちの息子たちはは、サモアで空手を習っていましたが、アメリカに来てからは、韓国空手ともいえるテコンドーに転進してしまったので、武士道精神もどこへやら〜? って感じです。
話を元に戻して、皆さん、お子さんを日本語に、そして日本文化に触れさせる努力をする中で、何かご苦労はありますか? ご家族の協力という意味ではいかがですか?
【みゆきりん】
長男の日本語教室は土曜日にあります。でも土曜日ってお友達の誕生日パーティーが多いんですよね。かわいそうだとは思うのですが、ベストフレンド以外のパーティーは参加していません。自分自身が土曜日の補習校のために参加できなかったイベントが多かったので、気持ちはよくわかります。でもあの時、私の母が「補習校を優先」という態度だったので、私の日本語レベルがある程度は保たれているのだと思います。いずれはわかってくれるだろうと期待しているのですが……
その母ですが、相変わらず日本語(文化)教育に熱心で、孫たちに書道とそろばんを教えています。
【ともこ】
良いことを聞きました! 私も「補習校優先」で参りたいと思います。ここでは娯楽や誘惑がすくないので、補習校は楽しみで喜んでくれているのが幸い。私はお弁当作り、夫は送り迎え担当で支えていければと思います。夫にはもうちょっとネパール語を見てやって欲しいな。息子は、文字を書くのにてこずっていて、1年生では鏡文字(左右反転させた文字)をよく書いてました。
【葉子】
うちの長男も土曜日に補習校です。贅沢な話ですが、ここには日本語の補習校が数校あり、ほかに塾もあるので、選択肢が多いのです。えらそうですが、長男は一番難しいといわれる補習校へ入れてしまいました。覚悟していましたが宿題が多く、土曜日の夕方から補習校の宿題を始めるときもあります。あと長男は3歳から、毎年夏に日本の幼稚園、小学校と体験入学をしています。ですからお友だちがいて、夏に日本へ行くと、みんなが「お帰り」と言ってくれるのです。本人は日本が好きみたいです。
次男も昨年、幼稚園の2歳児クラスに体験入学しました。彼には、ベネッセの『こどもちゃんれんじ』をやらせています。こちらにある日本語の幼稚園では、日本語の歌を習い、雛祭りといった日本の行事に触れています。うちは男の子なので、将来的にしっかりスポーツをやらせたいと思っているので、補習校との両立が課題になってくるでしょう。
【やほい】
私自身は、いくら海外生活が長くなってきてもやはり日本語で思考し、たとえ英語を話すときでも日本語で思考したことを英語にしているという、母語は日本語、そして思考回路もバリバリの日本人といえますが、自らが、帰国子女だとおっしゃる、みゆきりんさんは、いつも何語で思考しているのでしょう? 葉子さん、ともこさんはいかがですか?
【みゆきりん】
私の頭の中は単純なので、その時使われている言葉で思考しています。日本語で書くときは日本語で考え、英語で話す時は英語で考えます。ほんの少ししか話せない北京語は、それを学習したときに使った言語(英語)で考え、それを北京語にしています。
【ともこ】
バイリンガルの頭の中ってそうなってるのですかー! 日本語から北京語にはなりにくいということなのですね。
【やほい】
ほんと、言葉っていうのは、たんに言語として、日本語、英語、または××語ができるといった単純なものではないんですよね。結局、母語で思考し、外国語としての別の言葉で表現もできるということになりますが、英語で教育を受けてきた娘や息子たちを見ていると、母語が日本語であっても、状況により、思考回路が日本語だったり、英語だったりしているのを感じます。
長男、次男は大学でスペイン語も学んでいるのですが、スペイン語を話すときには、英語回路を採用。末っ子は、ほとんど英語で思考しているようですが、なぜか掛け算するときには、日本語の思考回路を使っているようです。私が日本語で九九を教えたから? と思いますが、このあたりのスイッチの切り替えというか、感覚が私にはよくわからないのですが、ちょうど、みゆきりんさんの北京語みたいですね。ほんと、複雑です。
うちの場合、末っ子の母語も日本語のはずなのですが、最近は、彼にとっての第一言語は英語なのかなと思います。もう、わけがわかりません……
【ともこ】
私は日本語以外の言葉では十分な表現ができないので、どうしても自分らしくない第2の人格になってしまう感じなのです。大人しい控えめな人に。周りは「日本人だから」と思っているようですけど、言葉の壁ってやつです。
【やほい】
「第二の人格がある人生」もおもしろいですね。冗談はさておき、ほんと言葉の影響って大きいですよね。人格も変えちゃうほど!(苦笑)
【葉子】
うーん、最近では英語を英語で考えるようになってきたかしら。ちょっとできるスペイン語は英語で考えています。とはいえ英語は相変わらず下手で、特に発音は子どもに直してもらっています!
【やほい】
確かに……大人になってからの言葉の習得は大変ですね。それがわかるからこそ、子どもにその基盤を作ってあげたいという親心もあるのでしょう。言葉の数だけ世界は広がり、将来の選択肢も増えるわけですから、苦労もあるけど、かけがえのないものだと思います。
今回は、皆さんのご苦労や、実践ぶりを伺うことができ楽しかったです。奥の深いテーマでお話はつきませんが、またの機会にもっと核心に迫ることができるといいかなと思います。ありがとうございました。
]]>
『地球丸座談会』
2009-06-25T03:09:14+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=841648
第5回 日本と外国、ちょっと?なビジネスマナー座談会
◆座談会参加メンバー◆
◆白石光代(グアテマラ在住)
こちらに来て10年目となり、現在はガイド業を中心に、通訳、ライター、コーディネーターなどいろいろなお仕事をさせて頂いています。本拠地は世界一美しいともいわれているアティトラン湖畔...
◆座談会参加メンバー◆
◆白石光代 (グアテマラ在住)
こちらに来て10年目となり、現在はガイド業を中心に、通訳、ライター、コーディネーターなどいろいろなお仕事をさせて頂いています。本拠地は世界一美しいともいわれているアティトラン湖畔ですが、仕事がら中米を飛び回る毎日です。
◆伊藤 葉子 (Yoko Ito-Peterson)(アメリカ合衆国・ロサンゼルス在住)
日本では大手建設会社と外資系の医療機器会社に勤務。米国では、日刊新聞社と週刊ビジネス新聞社に勤務。現在はキャリアチェンジのために、学校で勉強中。
◆長晃枝 (東京在住)
フリーランスライター。食べモノと旅モノをメインテーマに、雑誌、Webなどに執筆。旅行ガイドブックの編集も手がける。年に数回、おもに中国、韓国を中心に取材主張に出かける。
進行役
◆夏樹 (フランス・パリ在住)
日本にいたのは24歳までで、就職はしませんでしたがバイトはなんでもやりました。フランスでは、教会というとってもコンサバな場で音楽関係の仕事もする傍ら、ライター、コーディネーターもしています。
====================================================================
今日は、国境を越えて活動しているメンバー4人で、各国のビジネスマナーの違いについて話し合ってみます。
【夏樹】
日本にいる方は海外在住の方と、海外在住の方は日本の方と仕事の面でメールや電話での交渉があると思いますが、びっくりしたり、不思議に思われることがおありでしょうか?
【白石】
今は慣れましたが、こちらの人は電話をしてきても名のりません。そのため話しながら想像しつつ相手を想定します。不思議と大体当たるようになりました。最後まで名乗らないときは、最後に「誰とお話させていただきましたか?」と聞きます。
【夏樹】
私は、初めての方からお電話をいただくことはあまりありませんが、メールをいただくことはよくあります。
日本の方は、メールでもとても丁寧な文章をお書きになる方が多く、敬語を忘れてしまった海外在住者の私は、気後れしてしまうことがよくあります。一度、最後に「拝」と書いたメールまでいただき、ちょっと困りました。拝まれても困るんだけど……これは普通なのかしら?
フランスでは、ここまで相手に対する尊敬の念を表現することは絶対にない、というか、そう簡単に相手に敬意の念をはらったりしないので、それに慣れてしまった私は、面食らいました。
【長】
最後に「拝」をつける方、ときどきいらっしゃいますが、日本でもまれです。私も何人かそのようなメールを下さる方とやりとりがありますが、たいていの場合、そういう方はどなたに対しても習慣のようにそうされているのであって、必ずしも大げさでない場合が多いように感じます。ご自身のことも「小生」であったりして……ある意味で、好みなのかと思いますが(笑)。
【夏樹】
反対に、若い方からいただくと、お目にかかったことがないのに、ハートマークや音符がついていたりして、おもしろいですね。「この人、何歳くらいなのかなー?」と想像してしまいます。
【伊藤】
これは私の夫の経験です。米国人の夫はフランス、ドイツ、スペイン、中近東、アジア諸国のお客様と仕事をしています。もちろん日本の顧客もいました。夫いわく、日本の方は礼儀正しく、仕事への責任感が強いそうです。しかも研究熱心で、夫の会社の製品を知り尽くしているとか。これで英語があともう少しスムーズなら、もう最高だと言っています。
【長】
中国にしても韓国にしても、取材時に現地で資料や画像をメールで送ってもらえるようにお願いしても、ふたつ返事のわりにはなかなか連絡が来ないことがよくありました。しかし、ここ数年、かなり迅速に、きちんとメールが来るようになりましたね。メールでのやり取りなどに慣れた人が増えてきた、ということなのかな?
儒教思想の根強い韓国の人は、基本的に仕事上の相手に対してはやりとりなど、とても礼儀正しいです。
【夏樹】
よく行かれる海外の国、あるいはお住まいの国で現地の人々と仕事をするとき、ちょっと不思議に思うこと、「?」と感じることなどがおありでしたら、お教えください。
【白石】
挨拶が異様に長い。例えば会議が始まる前には、司会者が、次に代表者が挨拶をします。それから本題へ。日本の方へ訳しながら、あまりにも長くて申し訳ない気持ちになってしまうことすらあります。結構必要のないことを長々と話しているのです。
1回の約束で物事は終わらない。なぜかいつも忘れられている、または覚えてはいるものの、足りないことだらけ。さすがにここに住んで10年目になるので、それを踏まえ計画しています。かえって仕事が1回で済んだら驚いてしまいます。
計画性がない。用意していない。例えば今日学校でグリーティングカードつくりをするとします。前もってやることは分かっており、必要な材料も連絡してあるのですが、当日私が行ってから、先生は紙を買いに走り、生徒たちははさみ、糊をさがしに他の教室へ出て行きます。回数を踏むとある程度準備することを覚えてくれますが、ちょっと時間がたつとまた最初から。
【伊藤】
米国人の顧客サービス度の低さには、あきれます。お客さんに対する、高飛車な態度。明らかに自分が間違っていても、謝らない。ファーストフードで持ち帰りの注文をすると、注文したものが入っていないことがよくあります。スーパーでは、レジの打ち間違えが多いので、私はその場で必ず確認します。何十ドルも多く請求されたりしますからね。
【長】
何十ドルってことは1000円単位の間違いですね。それは大きい……。それに、欧米人のお釣りの計算方法は、私たち日本人には不可解ですよね(笑)。
【夏樹】
フランス人はメールが異様にシンプル。日本人のように「お世話になっております」「いかがお過ごしでしょうか」「桜が美しい季節になりましたね」の一言がない。「ボンジュール、この前の件について連絡はありましたか?」ズバリ、用件だけついてきます。仕事とプライベートを明確に分けるフランス人の態度がよく現れていると思います。終身雇用は公務員以外ないので、彼らには、同僚=友人ということはあまりないのではないかしら。すぐクビになるので職場を転々とするからかな? 友人は、まったく別の人々で、仕事関係の人とは、仕事の話だけしかしないのが普通という感じだと思います。
仕事の要領という点では、個人差が激しいように思います。お役所仕事などの要領は「悪い」という印象がありますが、好きな仕事をしている人の中には、鬼のような集中力をもっている人もいますよ。ファッションショーの仕事をしていた友人がいましたが、日本のデザイナーは開始時間の3時間前にはスタッフが全員揃うように、各自の家にタクシーを迎えに送るほど用意周到。フランス人デザイナーのショーでは、スタッフが遅れて来るのは普通で、開始時間までダラダラおしゃべりしながら騒いでいるけれども、始まったらもの凄い速さで集中すると。どちらにしても、結果が良ければ言うことなしですね。
【伊藤】
仕事への集中力がすごいというのは、アメリカも同じだと思います。
【長】
お店の取材などの場合は、中国でも韓国でも、こちらが聞きたいことに充分な返事を得るのはなかなか大変。考え方や文化の違いでしょうが、日本人が求める「細かいこと」がどうもピンとこないようで「そんなどうでもいいようなことを、どうして詳しく知りたがるのか?」といった反応がしばしばありますね。
また、店員が自分の店の住所を正確に知らないことなど日常茶飯事です。どうしてそれで困らないのか、こちらは不思議に思いますが、場所さえわかっていれば、そこに手紙を出すわけでもないんだから別にいいじゃないか、ということなんでしょうかね。
ワールドワイドにチェーン展開しているようなクラスのホテルなどでは、基本的に英語が堪能な広報の方が対応してくれますが、そのような方はたいていは留学など欧米での海外生活の経験者ですので、こちらのニーズをすぐに理解してくれます。
【夏樹】
日本のビジネスマナーの中でいいなー、守り続けてほしいなと思うことはなんでしょう?
【白石】
時間を守ること。また遅れる場合はその旨連絡すること。
グアテマラにおいてオラ デ チャピン(グアテマラ時間)=時間を守らない。と言う暗黙のルールがありますが、あくせくしてない反面、失っているものも大きいと感じます。
【夏樹】
白石さんに同感です。時間を守る、期限を守る、送ったものが着いたら返事をする、こういう日本の丁寧さは、とても気持ちが良いです。
フランスでは、遅れるのはよくあること。コーディネーターをしていますが、日本から出される期限より、2週間ほど前を期限にしてフランス側には伝えます。期限内に書類ができあがることは、ほとんどないので……最後通牒は、まず「もうすぐ期限がすぎますが」と連絡し、次は「遅れていらっしゃるようですが」、最後に「いい加減にしてください!」とキレ、やっと念願のブツを手に入れます。日本人がキレると、結構ビビるようで、効果大です。
【伊藤】
そういう点では、アメリカ人は時間に正確ですね。仕事はもちろん、友人との約束でも遅れる場合は、ちゃんと連絡したりします。私が日本のビジネスですばらしいと思うのは、顧客サービスの質の高さですよね。デパートやスーパーでも、店員さんは礼儀正しくてプロ意識が高いと思います。
【長】
やはり、皆さんと同様、礼儀正しく、丁寧であることでしょうか。実際に今の若い人などを含めた日本人全般が本当にそうなのかは疑問ですが、現地では必ずそこをほめられます。
時間については、「中国時間」「韓国時間」と言うこともありますよ。その他の国でも聞きますから、いいこととはいえ、日本がむしろ特別なのかな、と最近思います。
その分、海外では日本人は時間に正確だというイメージがあるようですね。先日、取材の際に事前に連絡しておいたガイドさんがホテルのロビーに迎えに来てくれることになっていたのですが、出掛けに急ぎのメールが入ってしまって、私がちょっと遅れたら、すぐに電話がかかってきてびっくりしました。「日本人だから必ず時間通りにくるはずだから、来ないということはホテルが間違っていたのではないかと心配になった」と言われて、なるほどそういうことか……と。
【夏樹】
ご存知の海外の国でのビジネスマナーで、これはいい、気持ちいいと思うことはなんでしょう?
【白石】
気持ちがいいといえるのか、分かりませんが、時間に関しておおらかなことです。多少時間に遅れたからといって、待っている人がいらいらする事がありません。確かに時間を失ってはいますが、多少であれば、その時間が生んでくれるゆとり、人とのふれあいが存在すると感じます。
必ず挨拶をすること。長すぎるきらいもありますが、相手を知ることは何より大切なことだとも思います。
【夏樹】
これも白石さんと同感。自分が遅れても許してもらえる!
あと、前にも述べましたが、仕事の仲間=友人ではないこともあっさりしていていいかもしれません。たとえば、ゴルフにつきあわないと昇進できないとか、そういうことはないのでは? と思います。
【伊藤】
白石さんと同じで、ちゃんと挨拶することです。気持ちよく仕事をするには、まず“Hi(こんにちは)”ですよね。
また会社関係のパーティーに出席するとき、夫婦同伴なことも好きです。配偶者の上司や同僚に会え、仕事を理解することに役立ちます。
【長】
夏樹さんとは反対に、アジアの人々はとてもベタなんですが、そこがいいなと思うこともあります。まぁ、ときおり度を越えておせっかいだな、ということもありますが、基本的にそれはほとんどの場合、善意ですね。韓国人は、最初からおおむね親切です。中国人は、信頼を得られるまではぶっきらぼうだったりしますが、よい関係を築くことができたら、その後はとても温かくて親切です。あと、人との結びつきを大切にするので、紹介者があった場合は最初からかなり好意的(笑)。よくも悪くもコネの世界なので、小さなツテでも生かしたほうがすべてがスムーズに行きます。場合によっては、それはとても仕事上便利だったりもします。
【夏樹】
海外で日本の方を仕事でお迎えしたとき思ったこと、あるいは、日本で海外の方をお迎えしたとき感じたこと、気をつけることなど、なにかありますか?
【白石】
どこでも同じですが、相手を尊重すること。また日本の方であっても、海外では相手国、相手を尊重していただくようにお願いしています。
こちらの国の人は必ず相手の目をみて話します。もちろん相手に通じる言葉が話せるということも大切ですが、それ以上に相手をとらえる姿勢を持っている方は、言葉がなくても相手とのコミュニケーションがとれると感じます。
【夏樹】
お互いに、仕事には直接関係なくても、相手に文化背景を探ろうという努力は不可欠だと思います。
あと、「フランス人はこうだから」とか、「日本人はああだから」という一般論はもっていても構わないのですが、その反面、一般論でくくれない新鮮な発見をする余裕ももてるようになると、楽しいと思います。
【長】
そうですね。国民性というのは確かにありますが、日本人だってみんなが礼儀正しくて時間に正確なわけではないように、当然のことながら、どこの国にもいろいろなタイプの方がいらっしゃるわけですし……自戒をこめて、思い込みは危険ですね。
【夏樹】
目線の問題はほんとうに微妙ですね。私も、昔は人の目を見て話すことができませんでした。でも、一度、「失礼だよ」と言われたので、仕方なく慣れたという具合です。
【伊藤】
確かに私達は人の目を見て話すのが苦手ですよね。自信を持って話すために、私自身はもっと英語を勉強しよう、と思っています! 米国人の仕事相手と、スポーツのように何か共通の話題があるといいのでは。東京の外資系企業勤務時代のことです。米国人の社長は、初めて接する日本人社員には、「好きな野球チームはどこですか?」と質問して会話を始めていました。これで社員はリラックスし、英語の壁は多少あっても、社長と“話したい”と感じていたようです。
【長】
私は日本在住なので、私自身が海外にいて日本の方をお迎えするということはなく、また取材に出かける側なので、日本にいて仕事の関係の海外の方をお迎えすることもめったにありません。ただ、中国や韓国の方々とおつきあいする上で気をつけるべきことはあります。それは、彼らがとても面子や体裁を重んじること。ですから、人前で間違いを訂正するなど、恥をかかせるようなことは絶対にしてはならないということですね。あとは、日本との関係については、過去の経緯からして、複雑な思いを抱いている方も少なくありませんから、そのような話題には触れないことでしょうか。
【夏樹】
歴史観をもつのも大切ですよね。日本と相手の国に何が起きたか、どんな歴史をたどって今に至った国かを知っているだけでずいぶん違うと思います。そういうことも、相手に対する思いやりをもつことにつながるのではないかな、と思います。
皆さん、ありがとうございました。「私も日本とフランスを出たら、案外、何も知らないんだな」と、実感しました。
]]>
『地球丸座談会』
2009-04-25T00:00:08+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=784673
第4回 海外でつくる日本の味
◆座談会参加メンバー◆
◆椰子ノ木やほい (米国・ミシガン州在住)
1997年家族でサモアに移住。南太平洋の小さな島国で4年間のシンプルライフを経験。2001年より米国ミシガン州在住。日本を離れてから10年が経つ。
◆郷らむなほみ(カナダ・オンタリオ州在住)
海外...
◆座談会参加メンバー◆
◆椰子ノ木やほい (米国・ミシガン州在住)
1997年家族でサモアに移住。南太平洋の小さな島国で4年間のシンプルライフを経験。2001年より米国ミシガン州在住。日本を離れてから10年が経つ。
◆郷らむなほみ (カナダ・オンタリオ州在住)
海外転勤族の夫に帯同赴任して、タイ3年、香港2年、エジプト1年半、サウジアラビア4年半、という滞在歴のある長期在外日本人。現在は、カナダのオタワ郊外に在住。
◆増本昌子 (カナダ・モントリオール在住)
24歳の娘、88歳の母と3つ上の亭主との4人暮らしで7年が過ぎた。
進行役
◆ツムトーベル由起江 (ドイツ・キール)
1999年よりドイツ在住。ドイツ人の夫、7歳の長男、5歳の長女、2歳の次女とともにドイツ北部キール近郊の村に住む。
==========================================================
第4回の地球丸座談会、テーマは「海外でつくる日本の味」です。海外在住10年目にしていまもなお日本の味を再現するため苦労しているツムトーベル由起江が、皆さんの格闘ぶり(?)をおききしました。
【ツムトーベル】
みなさん海外滞在がかなり長いようですが、日本の味が恋しくなるとき食べたくなるのはどんな献立ですか?
【増本】
私にとっての日本の味はしいたけと春雨のお吸い物です。高校生になるまでの私はとてもひ弱で、床についていることのほうが多かったのですが、そういう時に母が作ってくれた美味しいお吸い物が、懐かしく、また大切な思い出です。幸いなことにモントリオールでは椎茸も春雨も簡単に入手できます。母のお吸い物は多分、鶏がらのだしに昆布とかつおぶしで、味と栄養を加味されていたと思います。今は娘が風邪を引いたときに第一に欲しがるものになっています。私にとって、大切な母の味、日本の味です。
【やほい】
我が家は、食べ盛りの息子3人を含む、家族全員が日本人ですので、基本的には和食中心の食生活です。家族の面々は、気分にまかせて具体的なリクエストをすることもありますが、調理するのは私ですから、適当に要求をあしらいながら(?)手に入る食材で、安くて美味しくて健康!!という食を工夫しています。
「うな丼が食べたい」と言われても、「鰻」が手に入りませんから、そんなリクエストは無視です(笑)。でも、納豆が食べたいといわれれば、「大豆」は常時、ストックしているのでお手製納豆を作ります。
乾燥大豆を吸水させ、圧力鍋で煮て、それに納豆菌を混ぜて、温度管理をしながら発酵に丸1日かかり、さらにできた納豆を冷蔵庫でねかせるので、出来上がるのは食べたいと思ってから翌々日ぐらいになってしまいますが、これが作ってみるとけっこう楽しいです。
発酵中の温度管理は、あれこれ試した結果、大きめの発泡スチロールの箱にお湯を入れたペットボトルを数本入れて調節。保温しながら発酵状況を観察しているうちに、納豆ちゃんがかわいくさえ思えてきます(笑)。何しろ発酵食品は生きていますから、毎回出来栄えが違って、ネバネバ加減で一喜一憂です。
【郷らむ】
私は特に、日本の味が恋しくなる……というのはないのですが、ごくたまに、風邪で寝込んだ時とか、お粥と紀州のはちみつ梅干しが欲しいくらいでしょうか。
ウチは夫がトンカツ好きで、サウジにいる時はすごく食べたい時があって、隣国バーレーンまで行ったこともあります。片道5時間位はかかるんですが、バーレーンの首都マナーマには和食の店が何軒かあり、豚肉もビールもあるんですよ。
【ツムトーベル】
サウジアラビアは宗教的な意味でいろんな制約があるそうですね。日本でごく普通に購入できたものができない、などというご苦労があったと思いますが、そのあたりはいかがですか?
【郷らむ】
サウジアラビアは、敬虔なイスラム教の国ですから、酒類、豚肉は入手できません。みりんにも日本酒が入っていますからサウジでは買えませんし、外国で 買って持ち込むこともできません。
インスタント麺なども、ポークエキスが含まれているものは、サウジでは販売されていないんですよ。同じ会社の同じ商品でも、です。ベーコンもチャーシューもない暮らしなんて、何とかを入れないコーヒーみたい?なにもそこまで……という徹底ぶりですが、そこがイスラム教徒のこだわりなのでしょう。
牛肉のベーコンなんていう風変わりなものがありましたっけ。
定番メニューの焼きそばなど、やっぱり豚肉を入れたいですが、代わりに子牛(veal)肉の薄切りをつかっている日本人家庭は多かったです。
お酒に関しては、もう諦めるしかありません。作るのも飲むのも違法ですから。でも、ジュースに糖分と酵母を加えれば、ワインっぽいようなものもできるそうです。無精な私は、一度も挑戦したことがありません(笑)。
そうそう、みりんは甘い透明の炭酸飲料(スプライトやセブンアップなど)で代用していました。
リヤドには韓国人経営の店があって、在住日本人の多くがそこで食材を調達していましたよ。懐かしい日本のマヨネーズやトンカツソース、冷凍のウナギ(蒲焼き)もあるし、小豆やアラメも。生鮮野菜も、シソや三つ葉が置いてあって驚きました。フィリピン人が多く住んでいるためか、一般スーパーマーケットでも、寒天、片栗粉、米粉など、粉類が充実していました。タガログ語で何というのか、在住年数が長い奥さまになるとよくご存知でした。
今はカナダですから、豚肉は簡単に手に入りますが、そうなると強烈に食べたくなることもないみたいですね。
こっちに来て見つからないのは、すき焼き用の薄切り肉。まだまだどこの店で何が売られているのか、研究中です。
【ツムトーベル】
郷らむさんのおっしゃるように、すき焼き用の薄切り肉など、日本と欧米で肉の売られ方が違いますよね。私も半冷凍して包丁で一枚一枚切ったり肉屋さんに何分もかけて説明したりと苦労しているのですがみなさんはどうですか?
【増本】
薄切りのお肉は韓国食料品店で売っているプルコギ用で代用しています。スーパーでもフォンデュ用の薄切り肉を冷凍セクションで売っているのですが、脂身が少なく、すき焼きにはちょっと物足りない感じです。でも娘は脂身が嫌いなので両方混ぜて使っています。
10年くらい前までは、アジア関係の食材はまったく手に入らず、すき焼き肉はツムトーベルさんのようにお肉を半冷凍してスライサーで薄切りにしていました。
【やほい】
薄切り肉!これは、もう箸の文化から来るんですよね。
どうしても必要があれば、お肉は半解凍状態で自分で切りますが、私の場合はどちらかというと、「ある材料でできるものを作る」が基本なので、苦労して薄切り肉を調達するより、薄切りでなくとも良い工夫をしてしまうかな。
たとえば、「牛丼」だと薄切り肉がいるので、代わりに包丁で簡単に切れる程度の肉片にして、味付けは牛丼風にしたりね。呼び名を「照り焼きビーフ丼」「ステーキ丼」「焼肉丼」とかにしちゃえばOK(笑)。
【ツムトーベル】
それでは、海外では手に入りにくい食材を手に入りやすいもので代用している例はありますか?一度こちらの日本人家庭に伺ったら「ふき」の代わりに「セロリ」を使って煮物を作っていらして良いアイデアだな、と思ったのですが。
【やほい】
キンピラごぼうが食べたいと、キンピラにんじんとかキンピラセロリを作ります。ごぼうが手に入らないので、歯ごたえさえあれば、何でもいいやって感じです。キンピラごぼうって、ごぼうがかたくて辛いのを金平浄瑠璃になぞらえたものらしいので歯ごたえのある材料に、ごま油でいため、醤油と砂糖で煮て、刻み唐辛子をかければ、キンピラ○○って呼んでいいんじゃないのかな?
海外で暮らしていると、固定観念を捨てないと、日本の味が楽しめなくなりません?
刺身が食べられないアメリカ人のお寿司にアボカドをネタにしたお寿司はよくありますが、同様に、クリームチーズのお寿司もけっこうイケます。サモアに住んでいた頃は、イカのお刺身代わりに、ココナツの果肉をわさび醤油で食べたり、寿司ネタにしてましたよ。
醤油、みそなど基本の調味料さえあれば、それなりに日本の味は楽しめると思っています。
【増本】
香港返還前後から、中国系の移民が増えたお陰で、今ではほとんどの食材が手に入ります。以前だいこんが無かったころ、赤ラディッシュをすって代用していたことがむしろ懐かしく思い出されます。
今でも手に入らないものといえば、茗荷とやわらかいカブかしら。茗荷は私の好物なのです。手に入らないと余計食べたくなります。何度も苗をトライしたのですが根付きません。あ〜たべたい!
友人にオーガニック納豆と味噌を作る人がいて来週白味噌づくりに挑戦するところです。
【ツムトーベル】
白味噌づくり!わたしは白味噌のファンなので是非つくってみたいです。
【郷らむ】
私も、昌子さんの白みそ作り、気になります〜!
私は名古屋の出身なのですが、おみそ汁は白みそ。ゆで野菜や田楽のタレは赤みそ、という感じなので、どっちも欲しいんですよね。
【増本】
できたらお知らせしますね、でも教えてくれる人が米麹を持っているので、麹を手に入れるのが大変かもしれません。
【ツムトーベル】
さて、昌子さんにとっての「茗荷」のようにどうしても日本から手に入れたい食材はありますか?
種を送ってもらって育てるなどの工夫をしているとか…。私は一度青じそに挑戦したのですが枯らせてしまいました…こちらではなぜか赤じそは手に入ります。
【増本】
茗荷は、はじめは茗荷だけ数回、次は根っこを湿らせて2回、最後は土つきで3回もトライしました。大きな鉢に植え、室内で育てて葉茗荷までは育ったのですが、その後枯れてしまいました。
【郷らむ】
うーん、特にないかも。
シソとか三つ葉、茗荷などなど、あったら良いなとは思いますけどね。
あ、そば粉も欲しいかな。乾燥わかめや昆布、鰹節も欲しい!でも、取り寄せまではしないです。日本の家族に迷惑だと思うし(苦笑)。一時帰国も滅多にしないですから。
【ツムトーベル】
食材だけでなく、調理器具はどうでしょう?
私はこちらに来るとき四角の玉子焼きパンだけは買ってきたのですがこれだけは日本製を使っているというものがありますか?
また、コンロに関してはどうでしょう?火力や火加減がいまひとつの電気コンロが不満でガスコンロを入れることが私の夢なのですが、みなさんのお住まいの地域ではどうなのでしょうか?
【増本】
重宝しているのは母が持ってきた餅つき機。30年以上前のモデルなので全自動ではないからタイミングよく取り出さなければならないのですが、年中美味しいのり餅やすき焼き(我が家はすき焼きにおもちを最後にいれます)が食べられるのがいいかな。今は餅つきモードもついているホームベーカリーがあるそうですね。
【やほい】
ところ変ると、必要だったものも不要になるんですよね。
サモア時代の我が家の食生活は、夫と息子たちが釣ってきた魚を調理して食べることも多かったので、日本から持参していた、鱗取りが大活躍したのですが、ミシガンに来てからは、鱗のついた魚なんて売ってもいないので、鱗とりは眠ったままです。
【郷らむ】
あ、私も前回日本に赴任した時、四角い卵焼きパンを買いました! たまーにしか使いませんけど、やっぱり厚焼き卵はあれじゃないと、ですよね。
コンロ、やっぱりガスが良いですよね。取り替えたいですけど、ウチは前のオーナーさんが気合いを入れてキッチンを改築したばかりで、しかも換気が下方向なんですよ。火力が大きいガスコンロを入れても、煙や油が飛び散ることを思うと、諦めるしかないかなっていう。
【ツムトーベル】
みなさんいろいろ工夫しながら「日本の味」を楽しんでいらっしゃるのですね。お話をおききしていて肩の力が抜けてきた気がします。
【郷らむ】
やほいさんの「手に入るもので」っていうのは、大事だって思います、私も。それに、XXの素みたいなのも使わないです。
以前、あげってどうやって作るんだろう?と思って調べて、目からウロコでした。本当にお豆腐を揚げるのよね。当たり前ですけど。
それと最近、和食って実は楽かも?と思うことがあります。ご飯を炊いて(炊飯器ですが)、例え一菜でもみそ汁を作る。これで漬け物があったら、一食になってしまいますもんね。リヤドでご近所だった方、北米にも住んでらしたことがあり、北米のビールは軽くて良いと、糠の代わりにパンにビールをしみ込ませて、野菜を漬け込むんだと教わりました。まだやってみたこと、ないんですけどね(汗)。
今の若い方々にはぜひ、創意工夫して、日本の味を伝承して頂きたいですね。ナントカの素とか使わないで。
【やほい】
そうですね。サモア時代は、炊飯器もなかったので、ご飯も毎日鍋で炊いていましたが、日本にしかいなければ、炊飯器がなければご飯は炊けないと思っていたかもしれません。そういう意味では、海外で暮らすようになり、不便を受け入れ工夫することを覚えました。
私のまわりには、なんとしてもおいしい“日本食”を食べたいと、食材買うため、往復500kぐらいの距離を運転して行っちゃう方もいますけど、買って来るのがクックドゥーの○○の素、寿司太郎、お稲荷さんように煮てある油揚げ、和風ドレッシングに焼肉のタレとかだったりするところがおもしろい。そういうのって、確かに便利ですけど、結局はインスタント食品だし、基本の調味料をそろえておけばもっと美味しいものができますよね。
長寿国日本が誇る、和食の良さは、子どもたちに伝えたいことでもありますので、そのためには家庭で和食の味、お袋の味をそれなりに味わわせ、世界のどこで生きていこうと、「日本の味を恋しく思う心」を受け継いで行ってほしいと思っています。
【ツムトーベル】
みなさんのお話を参考に、これから私も創意工夫の精神で日本の味に挑戦していきたいと思います。今回はどうもありがとうございました。
]]>
『地球丸座談会』
2009-03-10T00:00:37+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=716761
第3回 クリスマス
◆座談会参加メンバー◆
◆うえのともこ(ネパール・カトマンズ在住)
6歳、3ヶ月の男の子、ネパール人夫の4人家族です。
◆ 夏樹(フランス・パリ在住)
1989年からフランスに住んでいて、13歳の男の子と仏人の夫と住んでいます。
◆ 増本昌子(カナダ・モントリオール在...
◆座談会参加メンバー◆
◆うえのともこ(ネパール・カトマンズ在住)
6歳、3ヶ月の男の子、ネパール人夫の4人家族です。
◆ 夏樹(フランス・パリ在住)
1989年からフランスに住んでいて、13歳の男の子と仏人の夫と住んでいます。
◆ 増本昌子(カナダ・モントリオール在住)
24歳の娘、88歳の母と3つ上の亭主との4人暮らしです。
進行役
◆ 西川桂子(カナダ・バンクーバー在住)
1994年からカナダ・バンクーバー在住。日本で暮らしたことのある夫と13歳、10歳、8歳と3児の5人家族です。
==============================================
【西川】
現在、バンクーバーではイルミネーションなどで、クリスマスムードが盛り上がっています。クリスマスは日本のように25日まででなく、お正月まで。中には年があけて1月6日の公現祭までお祝いしている人もいます。クリスマスは宗教色も強い行事ですが、皆さんが住んでいるところではいかがでしょう。
【増本】ケベック州は約80%の住民がカトリックなので、クリスマスはかなり重要です。
モントリオール市、ケベック市のような大きい町以外は今でもParoisseと呼ばれる教区が単位となって日常の生活が廻っています。
町の人は教会離れが顕著ですが、それでもRéveillonと言って、教会でのミサは省略しても家族での食事はシンデレラモードです。大晦日は友人とのパーティで過ごしても、クリスマスは家族との時間を今でも大切にしています。親族一堂集まっての真夜中の晩餐会は珍しいことではありません。
【夏樹】フランスのクリスマスは、ケベックとほとんど同じだと思います。
でも、カトリック教徒は80%っていうのはすごいですね。フランスは、今調べたら、せいぜい50から60%ということです。そして約30%が無宗教。
だから、昔は真夜中のミサに行くのが習慣だったようでうすが、今は、パリではあまり聞かないです。
ケベックと同じように、クリスマスは家族で過ごし、大晦日は友人と過ごすのが習慣ですが、その習慣が嫌でたまらないという人が多くて、びっくりしたことがあります。
大晦日は、人の家で大勢集って、ソファーに座って、あれこれと議論し、ダラダラと過ごし、除夜の鐘がなるとキスして、帰って寝て、1月2日はもう仕事です。
【うえの】日本のクリスマス、お正月を過ごしたのはもう4年前になります。
夫は「サンタクロース」という名前すら知らず「クリスマスマン」と呼んでいて、こっちが驚きました。ネパール人はヴィクラム暦を使っていますし、ほとんどがヒンドゥー教徒でクリスマスのことを知りません。
でも、連邦共和国になり、今年からはクリスマスも祝日になりましたが、盛り上がるかどうか?というところです。
【西川】
クリスマスマンは可愛いですね〜。ネパールの人たちが、初めてのクリスマスをどんな風に過ごすのかも興味深いところです。
カナダではクリスマスは、日本の若い人たちのように恋人と過ごす日ではなく、家族でお祝いするものです。帰省ラッシュもありますし、日本のお正月に近いと思っています。お正月はどんな感じですか。
【うえの】
ヴィクラム暦の元旦は西暦の4月の中ごろです。
この頃に合わせてカレンダーやダイアリーも売り出されます。
(今はヴィクラム暦の2065年8番目の月です)
その新年ですが、全然特別なことはしないんです。一応祝日だけどごく普通。カナダやパリよりもおそらくもっと通常モードです。 ほんとうに何事もないかのように。
2月頃にあるチベット暦の元旦「ロサール」はシェルパ族をはじめチベット系民族間で盛り上がります。
年の暮れや新年に仏教寺院で仮面ダンスが奉納されたり、晴れ着を着て親族が集まって、博打を打ったりとか。
中国の旧暦と同じ時もありますが、干支は同じでも暦はちょっと違うらしいです。
それより西暦の11月ごろにある「ダサイン」がヒンドゥー教最大のお祭りで、服を新調し、みな里帰りして親戚一同が会し、ヤギ肉を生贄してご馳走を作り、お小遣いをもらったり、凧揚げしたりします。日本のお正月そっくりでしょう?
【西川】
なるほど、ネパールの“ハレ”の日代表は、このダサイン。フランスやカナダでは、クリスマスと考えてもいいのかな。
ハレの日の食事はどんな感じですか。我が家ではお馴染みの七面鳥がメインで、ホストになる家が用意してくれます。残りの女性陣でサラダとか、サイドディッシュを担当。デザートは義姉がイギリス系なので、クリスマスプディング。これが甘いんです!
【増本】
メニューは西川さんのところと同じ。今まではおじさんの家で家族そろって頂いたのですが、近年熟年離婚されて、こちらにも被害甚大! 私が作るはめに陥ったので、オーブンに入れるだけ、と言うスタッフィングも入った代物で間に合わせています……。
それでも胸肉以外は誰も食べず、今は胸肉だけにスタッフィングの入ったものを買ってきます。(手抜きがバレタ!)
【うえの】
「ダサイン」ではヤギを生贄にするわけですが、家長が鉈を振り下ろす役。女子どもはその後の処理と料理担当。
大体マサラをたっぷり効かせたカレーっぽいものを作ります。とにかく肉、肉、肉!それがご馳走。数日、肉しか食べない感じなんです。
ちょこっとでも甘いデザートやさっぱりしたお口直し的なものが欲しいです〜〜。でもプディングは甘すぎみたいですね。
【西川】
うわぁ、ベジタリアンにはきつそうですね。
ケーキ、デザートはどんな感じですか。
【夏樹】
ケーキは、ビュッシュ。丸太の形をしていて。プラスチックのサンタやら「メリークリスマス」と書いたお砂糖菓子が上にのっています。べつにおいしくないけど、こどもがいる人たちは、予約するみたいですよ。
ただ、1月6日にエピファニー(公現祭)ってのがあって、ガレット・デ・ロワというお菓子を食べます。中にフェーブという瀬戸物の小さなお人形(伝統的には、マリア様、キリスト、聖人)が隠されていて、それに当たった人は、自分の相方になる王様か王女様を選んで、紙で作った王冠(お菓子と 一緒についてくる)をあげて、キスするという余興がつきます。
このお菓子(パイ皮のお菓子。まさこさん、あれ、中はなんでしょう?)が、みんな好きで、「今年、ガレットが一番おいしい店は?」とか雑誌でやっています。また、おとなでも、中のお人形を集めている人とかもいるし。
【増本】
モントリオールではアーモンドクリームのたっぷり入ったマドレーヌがパイ皮の中に入っていると言った味です。調べてみるとアーモンドペーストを入れて、その上にカスタードクリームをのせる、となっていますね。
【西川】
ガレット、食べてみたいなぁ。お人形が入っているというのはかわいいですね!
さて、楽しいはずのクリスマスからお正月にかけてですが、ここが苦手、面倒っていうところはありますか?
【夏樹】
とくにクリスマスは家族とだから、どっちのおばあちゃんのうちに行くか、そういうことでもめたり、欲しくもないプレゼントがゴミと化すことかな?
11月末になると、「クリスマスどうする?大晦日、誰とする?」という会話が飛び交い、あれ嫌だな。絶対、祝わなくてはいけないみたいなところがあって。
【西川】
プレゼントはバンクーバーでも頭痛の種! できるだけ喜ばれるものを差し上げたいと思っても、必要がないものだったりするんですよね。子どもにはモノが増えるばかりだし、お年玉のほうがよっぽどいいと思います。
それから、クリスマスプレゼントは、子どもだけでなくて、家族それぞれはもちろん、取引先やお世話になった人への感謝の気持ちを込めて贈るというところがあるので、”お歳暮”に近いとも考えています。
【増本】
ほんと、西川さん、お歳暮的ですね。すごくぴったしかんかん(ぎゃ、化石語!)でも日本の基準からするとあげる物はもっと庶民的かも。
ドクターのセクレタリーや郵便屋さん、街角の交通整理をする登下校のガードマンさんとかにも感謝の気持ちをこめてプレゼントします。郵便屋さんやガードマンには5ドルくらいのチョコボックスと一緒にカードと現金をプレゼントします。
【夏樹】
フランスでも、郵便屋さんとか、管理人さんには、ちょっとした金額をポチ袋に入れて御礼します。
プレゼントですが、こちらではクリスマスの日、24日の夜に一緒に過ごす人全員だけに用意するみたいですよ。取引先やお世話になった人全員にまで、プレゼントを用意したりはしないな。でもカードは出します。
【西川】
じゃあ、フランスでは、カナダようにお歳暮的なところはないんですね。ちょっとうらやましい。
【うえの】
プレゼントの習慣も毎年になるとプレッシャーで、好みに合わない無駄なもの買ってしまいそうだし、みなさん誰に何を送るか、誰とどこで過ごすか、うーーん、大変そうですね。
でもたまに華やいだ気分でお買い物もしてみたいような。
【西川】
最後に、皆さんの国のクリスマス、お正月のここが好きというものがあったら教えてください。
【増本】
う〜ん、やはり25、(ほとんど26日も)とホリデーが続き、町が静かなことかな?何となく日本のお正月のにおいを思い出すような静けさです。
【うえの】
何事もなくあっさり過ぎていくところ。
まわりに踊らされて、無理やり盛り上がらなくていいし、無駄な消費がなくて済むのはやはり助かります。
お祝いしたい人はホテルやレストランのスペシャルイベントやクラフトフェアとかに行って、ちょこっと雰囲気を楽しむこともできます。
【夏樹】
24日の夜、道で誰か知っている人とすれちがうと、ちょっとヒソヒソ声で「おめでとう」と言い合う習慣があって、このヒソヒソ声でというのが可愛くて好き。大きな声で言うと、まだ赤ちゃんのイエス様を起こしてしまうからなんですって。
【西川】
ヒソヒソ声! なごみますね〜 私も今年やってみます。でも、バンクーバーでは「パードン?(えっ、何?)」と聞き返されそう。でも、今さらながらですが、世界各国、それぞれ違っていて、面白いですね。
クリスマスで大騒ぎをする12月は、大晦日までパーティ続き。精神的、体力的、そして胃腸まで疲れて果てている私には、うえのさんの「あっさり」は羨ましい限りです。残すところ今年もあとわずかになりました。皆さんよいお年をお過ごしください。
]]>
『地球丸座談会』
2008-12-25T00:42:55+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=688752
第2回 洋菓子あれこれ
◆座談会参加メンバー◆
◆ 伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)
◆ マイアットかおり(フランス・ビアリッツ在住)
◆ 西川桂子(カナダ・バンクーバー在住)
◆ ツムトーベル由起江(ドイツ・キール在住)
進行係
いそのゆきこ(甘辛国在住)
==============================...
◆座談会参加メンバー◆
◆ 伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)
◆ マイアットかおり(フランス・ビアリッツ在住)
◆ 西川桂子(カナダ・バンクーバー在住)
◆ ツムトーベル由起江(ドイツ・キール在住)
進行係
いそのゆきこ(甘辛国在住)
===============================================
【進行係】
ところ変われば品変わると申しますが、御菓子も様々、それぞれの地に味わい深い特徴があるようです。まずは、かおりさんのお好きなレープクーヘンからご紹介いただけますか。
【かおり】
えーと、レープクーヘンについてですが、私も詳しくは知らなくて、もっと教えていただきたいからここに参加したくらいです。ドイツを訪ねた友人がおみやげに買ってきてくれたのでそれにはまって……なんと一袋20個くらい入っているのを1週間くらいかけて一人で食べてしまったのです。バイエルン州のニュルンベルク(中世から開けていた街、第二次世界大戦前後のニュルンベルク法やニュルンベルク裁判で知られている)にあるシュミットという老舗のレープクーヘンで、友人が1ヵ月後に賞味期限を気にしながら持ってきてくれたのに、すごく柔らかくておいしかったのです。これは製法に関係があるのだなあと思いました。蜂蜜とかナッツが入っているようでしたけど、友人の話では、チョコの入っているのが一番おいしいのだとか。私がいつも食べていたレープクーヘンは決まって大判焼きくらいの大きさの蜂蜜がたっぷりと入った焼き菓子でどちらかというとケーキよりも固めで砂糖のコーティングが必ずついて いる、というのが印象です。これがお決まりなのかどうかは分かりませんが、チョコレートやドライフルーツが載っているものもありそうでした。
【桂子】
レープクーヘン、見てみたいです!是非、画像と一緒に。
【伊藤】
見たことはありませんが、もう食べたくてしかたありません。
【かおり】
ドイツには夫の両親が住んでいたこともあり、クリスマスには必ず送ってきてくれていたのですが、この友人が買ってきてくれた「ドイツ一うまい」というシュミットのレープクーヘンにはとてもかなわない出来でした。
【ツムトーベル】
レープクーヘンはドイツのアドベント(待降節とも。クリスマス前の約4週間)とクリスマスには欠かせないお菓子です。ケーキを意味するクーヘンという名前がついていますが、かおりさんのおっしゃるとおり焼き菓子で、日本で言うソフトタイプのクッキーというところでしょうか。小麦粉と蜂蜜が原料で、ポイントはそこに混ぜるスパイスです。クローヴ、ナツメグ、コリアンダー、カルダモン、アニス、シナモン、生姜が主なのですが、これらがなんとも言えない香りを醸し出して、レープクーヘンのパッケージを開けたとたん「今年もこの季節になったのね〜」と言わずにはいられなくなります。
【かおり】
ドイツの童話で育つ日本人にはヘンゼルとグレーテル(グリム童話)のお菓子でできた魔女の家がおなじみですよね。あれもレープクーヘンの生地で出来ているらしいです。それをクリスマスに作るらしくって…可愛らしいですよね。とってもおいしかったです。それの代わりに毎年ドイツからクリスマスにレープクーヘンが 送られていたのだと思いますが、レープクーヘン自体もクリスマスに食べられるのかどうかはドイツに住んでいないのでよく分かりません。
【ツムトーベル】
ドイツでは先ほど言ったクリスマスとそれを楽しみに待つ4週間に、レープクーヘンや自分で焼いたクッキーを食べます。それから独特のスパイスをきかせた熱いワイン「グリューワイン」を飲みます。調べてみると、お菓子やワインに加えるスパイスには消化を助けたり、体を温めたりという効果があるものが多いので、単に香りを楽しむだけでなく、寒さの厳しい季節を元気に乗り切る昔のドイツ人の知恵が活きているのかな、と考えたりもします。
【かおり】
ドイツのお菓子はヨーロッパの乾燥した空気に長時間触れていても固くなったり質が変ったりしないようにとても工夫されていると思います。私がフランスのお菓子を好きでない理由はそれが原因かも。フランスのお菓子はすぐに固くなって品がないというか…繊細でないような気がします。クロワッサンも翌日はカチカチ。タルト生地もおいしくない。
【桂子】
乾燥というのは、目から鱗でした。
【ツムトーベル】
それは品質によるのではないでしょうか。ドイツのお菓子でもすぐ乾燥したり、逆に湿気たりというものもあります。伝統的な製法に誇りを持って作られているお菓子はパッケージにも工夫をこらしてあり、長く美味しく食べられるようです。
【かおり】
それとも日本のお菓子で育つとおいしくないと思うのでしょうか。どうしてもふわふわな日本のケーキの基準で考えてしまうんでしょうか。うちの夫はイギリスで育っていますが、日本のケーキは空気ばかりで甘くなくておいしくないといいます。好みもあるでしょうけど、みなさんはやはり日本のケーキがおいしいと思われますか?それとも海外生活の長い方はそろそろ日本のケーキでは物足りないと感じる方いらっしゃるでしょうか。日本のケーキのルーツはドイツ菓子にあるのでしょうか、チーズケーキはてっきりフランスが発祥の地と思っていましたが、フランスのチーズ売り場で買うチーズケーキでおいしいものにはお目にかかったことがありません。はちみつをかけても食べられない。それに引き換え、ドイツのチーズケーキ、ケーゼクーヘンとかはまるで日本のケーキみたいでしたよ。フランスのチョコレートケーキも心からおいしいと思ったものはあまりありません。唯一おいしいと思ったのはフォンダンショコラくらいでしょうか……。日本のお菓子屋さんはこぞってフランス語の名前をお店につけるので日本のお菓子技術はてっきりフランスから来ていると思っていたのですが、フランスに来てからどうもそれが疑問に思えてきました。みなさまはどう思われますか?
【ツムトーベル】
私もまだ”日本のケーキ美味しい”派です。パリで憧れのフォションのケーキを食べたときは、味の薄さにがっかりしました。ドイツで食べるケーキはほとんどが甘すぎて口に合いません。自分の好みに合うケーキ屋さんを見つけるのにずいぶん苦労しています。どうしても好みのものがみつからなければ自分でつくってしまいます。私が思うに日本人は応用がうまいですね。ケーキ作りの基本技術はフランスやドイツから輸入しているかもしれませんが、それを日本人の口に合うように進化させている気がします。
【桂子】
バンクーバーというところは、中国系の移民が香港返還から随分、増えたんですよね。で、香港に住んでいた友人(日本人)によると、彼らは日本のものが好きで、日本風のふわふわで甘みを抑えたケーキも人気。ということで、中国系のケーキ屋に行くと、日本ほどこったものでなくても、ちょっと似た感じのケーキが 売っています。私がこちらになれたというより、こちらの人がこういう甘みを抑えたものに慣れてきているような気がします。ただし、種類が日本ほど豊富じゃないんですよね。前出の友人が子どもの誕生日パーティをしたときに、ケーキを中国ベーカリーのケーキにしたら、不評だったと聞きましたが、もしかすると私が付き合っている人たちがたまたま …なのかもしれませんが、白人でカナダで生まれ育った人のパーティでも、この中国ベーカリーのケーキが登場して、みんなおいしい、おいしいと夢中で食べていて、びっくりしました。私も日本のお菓子屋のフランス語のケーキはフランスが発祥の地だと思っていました。フランスならああいうのが食べられるんだろうな。しばらく行っていませんが、モントリオールで食べたケーキはちょっと日本で考えるようなフランス風ケーキで繊細な外観で、その上、美味しかった記憶があります。
【伊藤】
私がロサンゼルスに移住した頃、アメリカのケーキは”大きくて甘いだけ”でした。桂子さんのよう日本的な洋菓子が買える中国系の店に行っていました。ただ桂子さんと同じで、モノによっては”ふわふわ”しすぎています。最近では、アメリカの御菓子がかなり進歩しています。もう、中国系や日系のお菓子屋では、ほとんど買わなくなりました。今ロサンゼルス周辺ではカップケーキに注目!
私が好きなのは、セレブのオプラ・ウィンフリーやパリス・ヒルトンが大ファンだという店のカップケーキです。値段は普通の店の2倍ほどします。ほどよい甘さで、上のフロスティングがすっと口の中で溶ける感覚がたまらない。オプラの大好物であるレッド・ベルベットという種類は、特においしい。日本人のファンも多いですよ。店の人いわく、できる限り新鮮でオーガニックの素材を使っているとか。 カップケーキを何個も組み合わせて、大きなケーキに見せかけたタイプのウェディング・ケーキも人気だそうです。そういえば、子どもの誕生日でも、大きなケーキより、カップケーキを配る場面によく出くわします。
【桂子】
へぇ〜! カップケーキが進化しているんですね。侮れませんね。子どもの誕生日のケーキでふと思ったのですが、皆さんの国ではどんなケーキですか?バンクーバーは大人ならちょっとオシャレなチーズケーキなども登場しますが、子どもの誕生日パーティの場合は、一番人気はアイスクリームケーキです。
【かおり】
カップケーキもアイスクリームケーキも北米ならではですね。私の考えているチーズケーキは日本のチーズケーキあるいはドイツのチーズケーキで、フランスのチーズとは印象がちょっと違いますがおいしくないという言い方は違うかな。フランス人にとってはおいしいのでしょうから(笑)。わたしは乳臭いのが苦手なのかも。
【ツムトーベル】
お話しを聞いていると、北米ではケーキの好みが変わってきているのですね。その点、伝統を重んじる(?)ヨーロッパはまだ遅れている気がします。太りすぎを気にする反面、甘ったるいお菓子を変えていこうという風潮は残念ながらまだありません。こうなったらこちらでケーキ屋さんでも開こうかしら?(笑)それと、子どもの誕生日はどこの国にいても大変そうですね。誕生日のある季節にもよりますが、ドイツでもカナダのようにアイスクリームは人気ですね。果物やナッツの入ったケーキを気張って作っても、嫌いだとかアレルギーがあって食べられないとか難しい点があるので最近はケーキにあまり力を入れなくなってしまいました。大体軽い夕食まで出すことが多いので最後にバーベキューをしたりホットドッグを作ったりします。
【進行係】
バンクーバーには、野いちごやこけもも、メープルシロップをふんだんに使った美味しい御菓子があるのではありませんか。お母さんはビスケットなどもよく焼かれるのでは。
【桂子】
メープルシロップはパンケーキにかけるとか、あと料理に使ったりしますが、ケーキにはあまり登場しないですね。美味しいと思うのは、夏の間のベリー類のパイです。残念ながらクランベリーのパイはあまり見ませんが、チェリーパイ、ブルーベリーパイ、なぜかわからないのですが、イチゴはルバーブという果物と一緒にストロベリー・ルバーブパイ、それからブラックベリーが多いのでブラックベリーパイ、ピーチパイ、今はパンプキンパイ。 義母はビスケット(スコーン)は苦手なのか、あまり焼かず、マフィン、キャロットケーキ、ブラウニー、バナナブレッド。それから彼女オリジナルのお菓子がいくつかあります(ちょっと甘め)。意外だったのが、お菓子屋には売っていますが、 チーズケーキを焼く人はあまりいないかな。
【伊藤】
やはり、カナダとアメリカは似ていますね。こちらでも、新鮮な果物を使ったパイは豊富です。今の季節なら、シナモン風味のパンプキンパイが出回ります。アップルパイは、米国の代名詞ですよね。今の季節なら、こちらの黄色くて大きいかぼちゃを使った、シナモン風味のパンプキンパイが出まわります。チーズケーキファクトリーのような専門店があるように、チーズケーキもよく食べられていると思います。
【ツムトーベル】
ドイツでもケーキの種類に旬が感じられます。初夏から秋の初めにかけていろんなベリーや果物を使ったブレッヒ・クーヘンというのが登場します。生地をオーブンの天板(=ブレッヒ)全体に広げ、上にプディングや果物をたくさんのせ焼いただけのシンプルなものです。ケーキ屋さんにもありますが、パン屋さんで売っていることが多く、普段使いのケーキという感覚で、みんな気軽に買っています。
【進行係】
洋菓子もヨーロッパにそのままいて、何百年も姿形、味を守り続けているのもあれば、遠く別世界に紹介されて、変化し、それがまた他に広がって行っているのもあるのですね。甘いお話、ありがとうございました。
]]>
『地球丸座談会』
2008-11-25T00:00:54+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=661639
第1回 日本再発見!
◆座談会参加メンバー◆
◆ホスト:椰子ノ木やほい(米国・ミシガン州在住)
1997年家族でサモアに移住。南太平洋の小さな島国で4年間のシンプルライフを経験。2001年より米国ミシガン州在住。日本を離れてから10年が経つ。
◆郷らむなほみ(カナダ・オンタリオ州在...
◆座談会参加メンバー◆
◆ホスト:椰子ノ木やほい(米国・ミシガン州在住)
1997年家族でサモアに移住。南太平洋の小さな島国で4年間のシンプルライフを経験。2001年より米国ミシガン州在住。日本を離れてから10年が経つ。
◆郷らむなほみ(カナダ・オンタリオ州在住)
日本と赴任地を行ったり来たり…が理想のはずだったのに、1991年に今の夫と結婚以来、赴任で東京に数年住んだのみ。サトガエリ? 何ですか、それ? という今日この頃。
◆夏樹(フランス・パリ在住)
1988年に渡仏。最初の10年はまったく帰省しなかったが、5,6年前から毎年帰国している。
◆メイフェ(台湾・台北在住)
1992年に夫の転勤で台湾へ。1996年フィリピンミンダナオ 1997年シンガポール2001年から現在まで再び台湾での生活。アジアを転々と今年海外生活16年目。
==============================================
【やほい】
私は日本に帰るたびに、電車のホームで走ってしまう人たちや、歩く速度の早さに圧倒されます。時間が早回しで過ぎているようにさえ感じるのですが、ここにいる皆さんは、今お住まいの国、もしくは今まで住んだ国に比べて日本の時の流れる速さをどう感じますか?
【郷らむ】
絶対早過ぎ。ついていけないです。
とはいえ、最後に帰ったのはもう3年くらい前でしょうか。
今も早いのかな?
【夏樹】
私はこの夏、帰りました。
確かにみんな急いでいるというか、忙しがっている。
「もう、最近忙しくてね」っていうのは、挨拶の代わりなのかな? 何もすることがない人でもそう言っているところがおかしかったです。
技術的なことは、ものすごい勢いで変わっていて、びっくり。
でも、その傍らで、人間は、そんなに変わってないような感じがしました。
たとえば、電車の切符の買い方が、ハイテク化されていても、わからなかったら教えてくれる係員の人が待機してくれているところなど、いいなって思いました。機械の横に、生身の人間の存在がきちんと感じられることに感心。
フランスは、いろんな分野で機械化が進んで、銀行や切符売り場が無人化しつつありますが、それはもう、「自分でどうにかしろ」と言わんばかり。
機械の前に人間をこういう形で放り出すのってほんとうに暴力的だと思います。
【メイフェ】
同じアジア圏ということもあって台湾と日本は似ているところもとても多いのですが日本に帰るとなぜか街が気忙しくて、追い立てられているような緊張を感じます。
【やほい】
それでは、日本を離れているうちに、日本のこんなところが変化して悲しいとか、気になるということがあれば。
【郷らむ】
悲惨な事件(殺人、傷害、自殺など)が多いような気がします。
日本って、もっと平和だったような…。
【夏樹】
それはそうですね。
ただ、新聞の三面記事とか、テレビでそういうことを話題にしすぎって感じました。
こういう事件って、話題にすればするほど、ひとつの選択肢として存在してしまうでしょう。そうすると、それを選ぶ人も増えてしまうと思うんです。たとえば、私が滞在している間に、「ネットで出会った人々が集団自殺」というニュースがあったけれども、「どうやって自殺したか」まで細かにプライムタイムに説明するのは余計なこと。その人の死に様は、プライバシーに関わることだと思います。
【メイフェ】
夏樹さんに同感です。テレビなどを見ていても報道の過剰さを強く感じます。こんなに事細かに一つの事件いろいろな角度からテレビで朝から晩まで繰り返し流していたら、模倣犯を作っているようなものだし、子供たちにも要らない情報を与えているとも思いました。
【やほい】
逆に、日本はやっぱりここがステキと思うところはどうですか?
【郷らむ】
エコ意識が強いところ:
ゴミ、ちゃんと分別しますよね?
リサイクルも進んでいるし、第一、もともと日本の伝統的な家って、全て自然素材で出来ているじゃないですか。スゴいと思います。
【やほい】
確かにスゴイですね。日本滞在中、私がいろんなものをお構いなくゴミ箱に捨ててしまうものですから、母はずっとゴミ箱を“検閲”しては分別しておりました。(笑)
息子(16)はアメリカに戻り、アメリカ人の友達に「日本ではマクドナルドでさえ、ストローや蓋、カップをちがうゴミ箱に分けて捨てるんだ」と説明しているのに笑えました。よほど面食らったのでしょう。もっと他に伝えることあるだろうに……。
【夏樹】
あれはすごいですね。
エライと思いますが、私はついていけません。
複雑すぎて。
ペットボトルの蓋とボトルと紙に分けるってのは参ります。
そう考えると、エコ活動にも、それぞれ得意分野があるんだなって思います。
フランス(パリ市内)では、リサイクルできるものとできないものに分ける、その二種類の分別がいまだにできない人がたくさんいるんです。
でも、彼らは遺伝子組み換え食品反対運動とかではかなりラジカルな戦い方をする。
ゴミの分別は苦手だけれども、身体を張って畑を守ることは得意なようです。
【郷らむ】
食べ物が豊富で美味しいこと:
世界中のいろんな食べ物がある!食へのこだわりって、良いなあって思います。カナダ人って、食事は「餌」くらいにしか考えてないと思うのですよ…。
四季があること&その行事があること:
今は一年の半分が冬の国。前任地は一年の半分が夏。そして、季節ごとにいろんなイベントがあるって良いですよね。節目や季節の変わり目、気持ちを引き締めるのに効果的だと思います。
【夏樹】
私がステキだと思うのは、日本人の「老い方」。
お年寄りの物腰、話し方。
人間がきれいに枯れていくことができる環境があるのかな?
フランスでは、「老いる」ということの価値がゼロ。
昔はそうではなかったのかもしれないけれども。
その辺は、深く考えたことがなかったからよく知りませんが、
お年寄りをカッコイイと思う人っていないと思う。
でも、日本では、着物着て、腰が曲がったおばあさんが美しいし、周りの人も、そう思っているのではないかしら?
【メイフェ】
四季があってその季節季節で同じ風景が美しく変わっていく様子は日本の素晴らしいところだなと思います。
あと交通機関、特にバスが人に優しいです。
時刻表があって時刻どおりにバスが来るのがすごいです。またバスに乗った時に乗客がちゃんと乗車したのを確かめてから運転手さんが「発車します、よろしいですか?」「次は○○へ到着いたします」とひとつひとつがものすごく丁寧で驚きます。
台湾ではバスは乗ったか乗らないぐらいで発車しますし、運転もとても荒くバスの時刻表も「15分から20分に1本」とかなりアバウトな上に、それどおりにも来ないこともしょっちゅうです。
【やほい】
では、まったくの個人的興味ですが、帰省していちばんおいしいと思う食べ物はズバリ何ですか?
【郷らむ】
櫃まぶし。お茶漬けが特に!
コンビニ弁当の質の高さに、驚かされっぱなしだったのを覚えています。
【やほい】
名古屋と言ったら“櫃まぶし”というぐらい名古屋名物になっていて驚きました。これもマスコミの効果なのでしょうか。
【夏樹】
すべて。三食が待ち遠しい。あえて言えば、ウニ弁当。
【メイフェ】
お豆腐です。
台湾もお豆腐料理があり、お豆腐も普通にスーパーで売っていますがやはり大豆の味がしっかりしたお豆腐は日本が一番です。
【やほい】
いちばん最近の帰国で、初体験したことは?またそれについて、どう感じましたか?
【郷らむ】
うーん。何でしょう。特に初めてってことは何にもしなかったような…。
【メイフェ】
電車の中でフルメイクをする女性を見ました。
お化粧をする人を見たのは初めてではなかったのですが下地に始まり、ファンデーション、アイライン、マスカラ、口紅と、あれにはびっくりしました。さすがに周りの乗客も興味津津で見ていましたが、それにびくともせず、恥ずかしいという感覚がゼロなのか、恥ずかしいという行為ではないと思っているのか思わず「ドッキリ番組」かなにかの企画なのではないかと思ったほどです。
【やほい】
私も一昨年帰国したときに、女性専用車両の地下鉄でお化粧を始めた女性を見ました。同じ女性としてかなりショックでしたよ。でもその後で、ファミレスの長いすで料理を前にヘアーブラシでずっと髪をとかしている女子高生を見てからは、「日本はもう変ったんだ」と思うようになりました。「お行儀が悪い」という観念がなくなったのでしょうか。
【郷らむ】
私が気になったのは、自分の脳でしょうか。
いろんな国に住んで、日常生活に日本語でない言葉を聞くのが当たり前の暮らしに慣れすぎなのか、考えなくても分かってしまう言葉がどんどん耳から入ってくると、すごく疲れる…。
例えば、バスや電車に乗り合わせたり、駅やデパートなどの人ごみで、よそ様が話している内容がガンガン私の頭に染み込んでいくって、かなり苦痛だなあと感じました。
今は仏系コミュニティーにいながらほとんど英語の暮らしですが、それでも聞きながら意味を考えつつ理解しています。タイ語も広東語もアラビア語もフランス語も、片言は分かりますが、あくまでも私にとってはバックグラウンドミュージックみたいなものですから…。
皆さんは、そんな経験ないですか?
【夏樹】
あります!
でも、どっちかというと、文字がものすごくリアルに迫ってくるのが疲れました。
広告の文字とか。全部読みたくないのに、目が勝手に全部読んでしまうみたいな。
私にとってフランス語は日常ですが、夜11時以降はわからなくなりますね。
脳のシャッターが降りてしまう、店じまいという感じ。
日本語だとそれがないので、疲れるっていうのはありました。
【やほい】
確かに……。母国語じゃない世界にいるって、知りたくないことは聞き流しやすいというか無視しやすいですよね。
【メイフェ】
私も日本にいる時は、すべて周りの会話の日本語が耳に自然に入ってきて、なおかつその日本語がとてもとても汚かったりするので、聞いていて気分が悪くなって疲れます。(笑)
【夏樹】
初体験というか、初めて気づいたことは、新幹線でお弁当を売りに来てくれる女性とか、スチュワーデスさんとか、レストランのウェイトレスさんとかが、とても不思議な声で話していること。地声でなくて、仕事用に作った声というか。
ああやって声を変装して、制服を着ると、自分の日常から抜け出て、仕事用に変身できるのかもしれませんね。
声のトーンがTPOによって変化したりするのが普通というところがおもしろい。
だから、仕事中に個人的な機嫌の悪さとかを剥き出しにしなくてすむというか、
なかなか賢いと思いました。
【やほい】
夏樹さんのポイントは、おもしろいですね。言われてみるとそうですね。自分であって自分ではない、言うなれば演じているのかもしれません。昔、よくデパートには、エレベーターガールがいましたが、独特の語り口でしたよね。昔は「そういうものだ」と思っていたので気にもなりませんでしたが、日本を離れているうちに、そうした枠がなくなって、違和感を覚えたり、気になってしまったりするのでしょうか。
日本ではない国に住むようになり、気づかないうちに、日本にいた頃の自分とは違う視点を身につけているのもしれませんね。だからこそ、帰国の度に新しい発見があり楽しいですね。
]]>
『地球丸座談会』
2008-10-25T00:00:19+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=625194
プロバイダーの技?
「マイッタ!暮らしの中でみつけた技」
文・ツムトーベル由起江(ドイツ・キール近郊在住)
ドイツのインターネット・ユーザーの多くはプロバイダーのサポートに不満足だといわれる。カスタマー・センターの対応が悪いというのが大方の理由だ。私もネット接続に問題...
「マイッタ!暮らしの中でみつけた技」
文・ツムトーベル由起江(ドイツ・キール近郊在住)
ドイツのインターネット・ユーザーの多くはプロバイダーのサポートに不満足だといわれる。カスタマー・センターの対応が悪いというのが大方の理由だ。私もネット接続に問題があれば日本との連絡や仕事もすべてお手上げなので、そのたびにカスタマー・センターとまさに「闘って」いる。最初の頃は、怒り心頭に発して電話を切った後、手にかいた汗で受話器はべとべと、息がきれてゼーゼー……という状態だった。最近では慣れもあり余裕も出てきて、プロバイダーの「顧客かわし技」が分析できるまでになってきた。その一部をご紹介しよう。
まずは「待たせ技」。以前はいくら電話をかけても話し中でかわされたが、この頃は一応つながるようになった。しかし、始めの自動音声案内で苦情内容によるふるい分けがされ、何分かの待ち時間の後、一般担当者が出て、顧客番号やアカウントナンバーを聞かれ、また待たされ、やっとテクニカルサポート担当者にたどりつくまで、忍耐に忍耐を重ねて待つ。一説には、待たせて顧客の気勢をそぐのが狙いだとか。次に「たらい回し技」。担当者の肉声が聞こえると、顧客はこのチャンスを逃してなるものかと、抱えている問題をまくしたてるものだが、大抵一人目の担当者には「私はこの件の責任者ではないので、専門の者につなぐ」と冷たくあしらわれてしまう。一度など「専門家」が出てくるまで15分もかかり、あきれてしまった。
そして「マニュアル技」。毎回聞かされる受け答えがそっくりなので、皮肉にもマニュアルを使った研修は行き届いていると言える。それはとりもなおさず親身になっていないということだ。一番よく耳にするのは「我が社のサイトにはトラブルシューティングのページがあり、ユーザーが自分で問題解決できるようになっている。こちらを試しても問題があるようなら再トライしてほしい」という答えだ。それも、こちらの状況説明にまったく耳をかさないでまくしたて、さっさと切ろうとする。はたまた、メールサーバーへのアクセス権を勝手に削除されたときなどは「この問題で困っているのはあなただけではない、同じような目に合っている顧客が大勢いるのだ」と、まるで文句を言っている私が大人気ないというような言われ方をされた。「気持ちはよくわかるが、この問題を引き起こした当事者は私ではない」という回答も笑える。当事者でなかろうと顧客対応をする担当者はプロバイダーを代表して話をしているのではないのだろうか。
前出の自動音声では「このやりとりは、サポートセンターの研修などに使用する目的で録音されることがあります」という文句が流れるが、私の怒りに燃えた言葉の数々が研修に活かされる日がいつか来るのだろうか。日本のようにすぐ謝るのもどうかと思うが、せめて困っている私の話を真剣に受け止めて欲しいと切に願うこの頃である。
≪ツムトーベル由起江/プロフィール≫
レポート・翻訳・日本語教育を行う。1999年よりドイツ在住。ドイツの社会面から教育・食文化までレポート。ドイツ人の夫、7歳の長男、4歳の長女、2歳の次女とともにドイツ北部キール近郊の村に住む。今年庭で大豊作のキイチゴで夫が毎日ジャム作り。私が作るよりずっと上手!
]]>
『マイッタ!暮らしの中でみつけた技』
2008-09-25T00:04:15+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=545262
娘の就職事情
「若者就職事情」
文:増本昌子(カナダ・モントリオール在住)
5月からケベック州での最低賃金が少し上がった。今までの時間給8ドルから8ドル50セントへと50セントアップした。ウエイトレス等の場合は1時間7ドル75セントとなった。顧客からのチップも収入と見なさ...
「若者就職事情」
文:増本昌子(カナダ・モントリオール在住)
5月からケベック州での最低賃金が少し上がった。今までの時間給8ドルから8ドル50セントへと50セントアップした。ウエイトレス等の場合は1時間7ドル75セントとなった。顧客からのチップも収入と見なされ課税対象となることから、基本給は一般的な最低賃金より低い。
ケベック州では約25万4千人の人たちがこの賃金体系で働いており、その多くが学生である。学業と平行して働く事は、「アルバイト、又はバイト」という観念ではなく「Job;仕事」と理解されている。若者にとって、学業と共に併せ持つ仕事も、彼らの人生設計のひとこまである。この場合の学業とは、専門職業訓練学校も含めて、ハイスクール以上の教育のことである。
ケベック州の教育制度は、7歳で小学校に入学後15歳までが義務教育であり、16歳は大きな意味を持っている。親権が必要とされるのも15歳までである。16歳を機に、自分の意思で自分の人生を生きる権利を保障され(税金申告書の義務も発生するが)親も子育ての義務を完了する。多くの子供は、親からの自立をめざす。マクドナルドに象徴されるファーストフードチェーンストア、Retail storesといわれるショッピングセンターのさまざまなストア、スーパーマーケットなど、時間給で働きやすい業界は、学業と自活の両立を模索する若者にとって格好の職種である。そして将来、下記に添付した資料に挙げられている1時間20ドル以上の仕事への就職を目指して資格を身に付ける。(参考資料:CNNニュース )
我が家にはGraduate1年生の娘がいるが、Undergraduateの間、学期中は週末2日働き、夏休み中はほとんど毎日働いていた。上の記事と同じく最低賃金である。
ケベックの大学は日本と異なり基本的には3年制である。大学入学前に、CGEPと呼ばれる課程がある為で、これは日本で言う高校3年生と大学1年生にあたる。日本でいう大卒はUndergraduateと呼ばれ、大学院卒がGraduateとよばれる。
娘の学業はあと2年残っているのだが、2年後の就職がこの春すでに決定した。ケベック州全体で一斉に入社試験と面接が行われ、採用後正式に入社するまでの間、スケジュールを調整しながら学業と平行して仕事を覚えていく制度のようである。すべての職種で採用されている方法ではないが、日本では聞かなかった制度だ。
娘は6月から、毎日10時間以上のリサーチに没頭し、週末も自宅でリポートを作成している。数人の先輩のアシスタントとして必要な書類を作成する事により、事例を覚えていく為だそうである。
親としては学生の間は無理をせず、健康に気をつけて、ほどほどに勉強すればいいと思ってしまう。しかし、自分の将来を真剣に考えて精一杯行動しているわが子を見ると、学業の合間に仕事を両立させてきた事から得た自信が、自分の生き方を長期にわたって視野に入れることが出来るようである。
6月からの2ヶ月間は毎日働き、8月はフランスに旅行する計画とのこと、時間給もかなりアップし、一歩ずつ確実に自立への道を進んでいる。
≪増本昌子(ますもとまさこ)・プロフィール≫
自分の学生時代を思い出すと、娘の勉強に費やす時間は果てしなく無限に続くように感じられる。本人も「無期懲役だなぁ」と言いながら励んでいるが、「勉強しなさい」と言わないで済むことは幸せな事なのだろうか……。提出期日に間に合わず、徹夜をすることも青春の一こまである、と思っている私は母親失格かもしれない。
]]>
『若者就職事情』
2008-08-25T00:00:01+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=545244
わが町の医療事情
「医者に言いたいこの一言」
文:田中ティナ(スウェーデン/エステルスンド在住)
パキッ! と股関節にいやな痛みが走ったのは一昨年夏の午後、ジョギングのあとストレッチングしているときだった。一両日で直るだろうと様子をみたが痛みは治まらず、いよいよ病院...
「医者に言いたいこの一言」
文:田中ティナ(スウェーデン/エステルスンド在住)
パキッ! と股関節にいやな痛みが走ったのは一昨年夏の午後、ジョギングのあとストレッチングしているときだった。一両日で直るだろうと様子をみたが痛みは治まらず、いよいよ病院に行こうと決心した。
わが町の医療施設には公共と個人機関があり、主力は税金などで運営されている公共医療機関。県によって異なるが初診料として140クローナ(約2500円)支払うと診療システムに組み込まれ、その後、莫大な費用はかからない。
「熱っぽくって頭痛がする」、「足首をひねった」といった軽症者が専門医療機関に押しかけ、高度な治療を必要としている人々や救急患者の診療を妨げないようにと、体の異変を感じたときには、専門機関に駆けつけるのではなく、まず、自分が所属する地区診療所(住所によって割り当てられている)に電話で診療時間を予約するシステムになっている。
さて、電話予約だが受付時間はウィークデーの午前と午後各1時間のみ。だからかければお話中で、やっとつながったかと思うと、当日、診療予約時間がとれるのは至難の業。ほぼ2、3日待ちというのが現状だ。
地域診療所で私を診察してくれた医師は、専門医になる前の研修医だった。症状、過去の病歴や薬のアレルギーなど基本的な問診後、診察し専門医師の診断や詳しい検査が必要だと診断すると、これからの治療ステップを説明してくれた。
「医学療法士とリハビリのトレーニングができるように手配して、その指示書を郵送しますから連絡を待ってくださいね。お大事に」と、にこやかに送り出されて帰宅。
ところが、待てど暮らせど連絡がこない。痛みもひかず、不安も増してきた。催促の電話をかけると、事務手続きの不備があったらしく、さらに一カ月ほどして、ようやく約束の指示書が送られてきた。
指示に従ってトレーニングジムの医学療法士を訪ね、今までの経過を説明すると、「骨が損傷していないか確認してからリハビリを始めましょう」と、とても丁寧に今後の方針を説明し、その場で、ジムが契約している個人的な医療機関を通じて総合病院にレントゲン撮影の手配をしてくれた。撮影したレントゲンを元に個人医療機関で医師の診断を受け、骨に異常がないことが確認できたのは、ジムを訪れてから1週間もかからなかった。
緊急時は別だが心臓病、白内障、股関節などの手術は、通常、長い間順番を待つ。また、婦人科など定期健診の結果報告は、異常がなければ連絡はない。事務的な手間がはぶけて無駄はないが、「一言『異常ありませんでしたよ』と聞ければ安心できるだろうな」、と思うのは私だけだろうか?
このように、公共と個人の医療機関での患者への対応の差は歴然だ。
こうした現実の原因に、公共機関は医療設備、医者や看護婦などの慢性的予算不足と人材不足を理由に挙げる。また、設備の充実した大規模な病院は予算の潤沢な大都市に集中する傾向もあり、さらに、地域ごとに独立採算制だから人口の少ない地方の町に大病院がつくられることほぼはない。
先日テレビを見ていたら、高等教育担当大臣が「国民の健康を守るために医師や看護師を育てる教育機関の整備は重要課題」と発言していた。が、近年、デンマーク、ポーランドやハンガリーに医者の勉強に留学するスウェーデン人が増加しているという事実がある。デンマークではスウェーデンと同じように教育費は自己負担なし。自国で勉強したいと思ってもそのチャンスがあまりにも少ないため、外国で勉強し、母国に帰ってスペシャリストとして仕事をするドクターたちが増えているのだ。
病気や怪我のときには、体の不調とともに心の不安もつのるもの。
お金がない、人材不足だから必要なケアが必要なときに受けることができないという悪循環が、一日も早く終わりになるように期待している。
≪田中ティナ/プロフィール≫
エイビーロードのホームページでスウェーデン情報を発信中。この夏は19世に建ったサマーハウスの改築を計画している。2010年バンクーバーオリンピックもフリースタイルのジャッジとして協力予定。真剣勝負に挑む選手の演技に負けないように、ジャッジング技術の向上に努めることを決意。
]]>
『医者に言いたいこの一言』
2008-07-10T00:02:13+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=545237
ドクターはいずこ?
「医者に言いたいこの一言」
文:郷らむなほみ(カナダ・オンタリオ州在住)
カナダに越して以来、戸惑うことは数々あれど、私が一番驚いたのは医療事情だろうか。ファミリードクターに登録しなさいと言われたものの、近所のクリニックは患者数が多過ぎて受け付けて...
「医者に言いたいこの一言」
文:郷らむなほみ(カナダ・オンタリオ州在住)
カナダに越して以来、戸惑うことは数々あれど、私が一番驚いたのは医療事情だろうか。ファミリードクターに登録しなさいと言われたものの、近所のクリニックは患者数が多過ぎて受け付けてもらえない。仕方なく、隣村の診療所に連絡したら、「ウエイティングリストの4番目で良ければ」ということで仮登録。これじゃあ誰か殺さないことには順番が来ないね……と、夫が笑えないジョークを飛ばした。かつて、アラビア半島でやたらカナダ人のナースやドクターが多い気がしたが、あの人たちは自国を捨て、給料非課税の国へ出稼ぎに行っているのだと知った。
思えば、日本に居た頃は、年に一度の無料誕生月検診があった。申し込みを忘れると、保健所から連絡が来る。病気は予防が肝心ということか。体調を崩せば、国公立、私立、たくさんの病医院が待っているではないか。月々の保険料を支払い、更に自己負担金が要るものの、こちらの選択で好きな医者に診てもらえるのは、素晴らしい患者の権利に違いない。
2月下旬、我が町にもようやく新しい診療所が出来て、新患登録をしてくれることになった。越して来てから、既に半年が経つ。決められた日時に、電話のみでの受け付けだ。その日はまるで、有名歌手のコンサートチケットを予約するがごとく、ずーっと電話をかけっぱなし。2時間もリダイヤルのボタンを押し続けた。
指定された初診日は、5月。電話登録から3ヵ月後だ。子宮内の細胞採取が必要なのだが、タイミングが悪いことに、ツキノモノにあたってしまった。じゃあ次回、と言われて取れた予約は9月。移住前、年に数度は検診をときつく言われた私、仮に癌細胞が出来ていたら、次の診察までにどれほど増えるのだろうかと頭が痛い。
先月、夫の母が膝の手術をした。80歳を超えている彼女、手術の順番待ちが約2年。それだけ医師の数が少ない証拠なのか、待ってる間に亡くなってくれたらめっけもの、という政府の方針なのか。お金に余裕のある人たちは、国境を南下して米国で治療を受けるのだというが、年金生活者の両親にそんな余裕があるはずもない。幸い、手術で得たチタン製の人工骨頭は、頗る調子が良いらしい。入院7日間のうち、手術も検査も、部屋も食事も投薬も、そしてリハビリ指導までが、全て無料。病院には「会計」という窓口がないらしい。さすがに、高い税金を徴収しているだけのことはある。
しかし、重病患者に優しく、それ以外に厳しいというのが私の印象だ。人々は通常、具合が悪くなると市販の薬を買って飲む。全て自己責任。そんな現実を見ると、カナダの医療は予防より治療に重きを置いているという、日本とは逆の方向性が見えてくる。相変わらず高齢者は増え続け、より高度の手術、高額な部品・機材が必要とされているのに、医療費はどこから捻出されるのだろうか……。
≪郷らむなほみ (ごうはむなおみ)/プロフィール≫
フリーランスライターで海外転勤族の妻。カナダ人と結婚したものの、アジアたらい回し赴任の末に、2007年秋からやっとカナダで暮らすことになった。苦節17年、ようやくオタワ郊外に居を構えたのは良いが、抱いていたイメージとはかけ離れた日々に苦悩中。カナダは甘くない!
]]>
『医者に言いたいこの一言』
2008-07-10T00:00:34+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=524049
どうして本名を名乗れないの?(1)
「お役所と格闘」
文:パッハー眞理(ウィーン・オーストリア)
私がウィーンで産声をあげた50年代の後半、音楽留学生はほんの一握り。原子力機関の家族たち、大使館関係の人たちしかいなかった。
両親は日本人的な名前で、大学のクラスメートからきちんと呼...
「お役所と格闘」
文:パッハー眞理(ウィーン・オーストリア)
私がウィーンで産声をあげた50年代の後半、音楽留学生はほんの一握り。原子力機関の家族たち、大使館関係の人たちしかいなかった。
両親は日本人的な名前で、大学のクラスメートからきちんと呼んでもらえなかった。母は清子。父は菊夫。キヨコ? とヨに変なアクセントをつけて呼ばれた。
それすら舌がもつれてリューマチをおこしかねないからと「キッキ」という愛称をつけられてしまった。名前では苦労したので、ウィーン生まれの娘には国際的な名前をつけようと、Maryにした。だから出生証明書にはそう表記されている。
3年後、両親と東京へ戻ることになった。
さあ、住民票を東京へ移そうという話になって、私の名前がアメリカ人的な名前なので問題が生じてしまった。
「こんな外人の名前をつけることはわが国で認められていません」とのことだった。慌てて母は父に相談して、メアリーと似たようなマリにすることにした。その時に漢字ではどう書きますか? と聞かれてとっさに「眞理」に決めたという。それが将来外国に住んでいく私にとってどんなに迷惑なことかお役所も、両親すら知る由もなかったのだが……。
「眞理」という名前に生まれ変わって生活するにあたり、パスポートもMariになってしまった。そうするとオーストリアでヴィザを取るときに困った事態が起きる。出生証明書にはMary となっている。でもパスポートはMari。ではこの人物は誰? と重箱の隅をつつくほどうるさい役所は考えるわけで、大使館で事情を話し私は名前変更の経過をドイツ語の書類にしてもらった。
さすがに今の日本ではこんな事はないと思う。国籍色豊かな名前が次々誕生していて、受理されているのだから、それだけ時代とともにお役所の頭も緩和したのだろうか?
先日も、日本のパスポートの名前をMariからMaryに書き直したいと申し出たが、妙な顔をされて、
「書き直しにはお金がかかりますよ。それほどまでして書き直したいですか?」
と言われてしまいスゴスゴ引き下がった。パスポートをもとに作られるオーストリアの運転免許証もMari になっている。しかし仕事上の身分証明書にはMaryで登録されている。地元の人は当然そのスペル通りに「メアリー」と呼ぶが、日本人は皆「まりさん」という。ああ、ややこしい!
本名を名乗れる日は一体いつ来るのだろうか?
≪パッハー眞理/プロフィール≫
山羊座で0型。ウィーンで生まれロンドンでピアノの修行をした。
珈琲が大好きなライター。最近はスリランカのレシピをゲットして色々料理を楽しんでいる。美術館が憩いの場だ。美術品は下手な音を出さないのが気に入っている。大学生の一男一女の母親でもある。
]]>
『お役所と格闘』
2008-06-25T08:31:30+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=524050
どうして本名を名乗れないの?(2)
「お役所と格闘」
文:パッハー眞理(ウィーン・オーストリア)
ある平和な春の日……
私と親友の京子は東京にあるとある高校の教室で、授業なんぞそっちのけで名前リストをつらつらと書いていた。将来結婚して女の子が生まれたら?ということを前提として、ふ...
「お役所と格闘」
文:パッハー眞理(ウィーン・オーストリア)
ある平和な春の日……
私と親友の京子は東京にあるとある高校の教室で、授業なんぞそっちのけで名前リストをつらつらと書いていた。将来結婚して女の子が生まれたら?ということを前提として、ふたりで名前をつけるのはとても面白いことだった。少なくとも今先生が説明をしている古典よりはずーっと役に立つことであった。
「眞理の理をとって『亜理沙』なんてステキじゃない?」
京子が言うことはいつだって的を射ているから、女の子の名前は『亜理沙』に決まった。
それから10年後、私は故郷オーストリアで結婚をし計画どおり女の子を産んだ。
そしてオーストリア人の夫も大いに気にいってくれたものだ。
ただ気にいってくれない所があった。それは戸籍係り。オーストリアはカトリックの国。365日、カレンダーには聖人の名前がついている。
たとえば8月11日は聖クララの日というように。
その聖人名前リストにはアリサはない。だから提案としてアリスはどうかということだった。私はまだ産院にいたし、戸籍係りへ登記に行ったのは夫だけだった。彼も色々粘り『亜理沙』はだめかと聞いたのだが、何回聞いても答えはノーだった。そんなこんなで私たちはお腹の中にいる時から『亜理沙、亜理沙』と呼びかけていたのに、出生証明書にはアリスと記入するはめになった。
京子が私の「理」までわざわざ入れてつけてくれたのに、とっても残念なことだった。もう自分の名前を名乗れないのは私だけでいい加減十分!と腹だたしく思ったのも事実である。日本へ帰ると皆から「亜理沙ちゃん」と呼ばれて、本人も自分が亜理沙と思いこんでいた。そう……幼稚園に入るまでは。
やがて3歳で幼稚園に入ると、先生は出生証明書どおりに「アリス」と呼ぶし、文房具をはじめ、幼稚園で使うもの全ての道具にもそう書かれてしまった。驚いたのは本人だ。
「ママ、私は亜理沙って言う名前なのに、皆幼稚園でアリスって呼ぶのよ?」と不思議そうな、そして困った顔をしている。仕方なしに自然の成り行きにまかせていたら、日本の親戚の間では「亜理沙」ウィーンの学校では「アリス」と呼ばれていった。
「どいつもこいつも親が真心をこめてつけた名前を受理しないなんてどうなっているんだ!一体何の権利があって私の名前といい、子どもの名前までも役所が管理するのだ!」
といつまでも怒りがおさまらない。二人目に男の子が産まれた時はもういい加減面倒になりAから順番に「アンドレアス」にした。へん、ざまーみろ!
即受理された。
≪パッハー眞理/プロフィール≫
山羊座で0型。ウィーンで生まれロンドンでピアノの修行をした。
珈琲が大好きなライター。最近はスリランカのレシピをゲットして色々料理を楽しんでいる。美術館が憩いの場だ。美術品は下手な音を出さないのが気に入っている。大学生の一男一女の母親でもある。
]]>
『お役所と格闘』
2008-06-25T00:00:00+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=510530
中国の少数民族・ミャオ族の衣装
「世界の民族衣装」
文・写真:平林豊子(日本・東京在住)
中国には、政府が認定しているだけでも55の少数民族がいるとされている。それぞれに独自の民族衣装を持っているが、とりわけ素晴らしいのがミャオ族だ。手織りの布に施された藍染やろうけつ染めに、細やか...
「世界の民族衣装」
文・写真:平林豊子(日本・東京在住)
中国には、政府が認定しているだけでも55の少数民族がいるとされている。それぞれに独自の民族衣装を持っているが、とりわけ素晴らしいのがミャオ族だ。手織りの布に施された藍染やろうけつ染めに、細やかにステッチされた華やかな刺繍……。見ているだけでも女心をくすぐられる、わくわくするような衣装だ。
市場で出会ったミャオ族の女性たち
山の上の小さな村で女性に着てもらった盛装
さらにミャオの中でも200以上の衣装があるとされており、ピンクやオレンジを多用したかわいらしい衣装から黒や紺をベースに銀の装飾品をあしらったしぶいものまでバリエーションも豊富。80を過ぎたおばあさんが、よく使い込まれた刺繍のミニスカートを着ている光景は何とも愛らしく、民族の誇りを感じさせる。
濃紺を基調にしたシックな衣装。山奥の村では若い女性も刺繍をする
今は近代化が進み、祭りのとき以外はジーパンにTシャツというスタイルの少数民族も多い。年配の女性は刺繍ができるが、普段から民族衣装を着ていない若い子たちのほとんどはその技術を受け継いでいないのが残念だ。既製品も多く出回るようになり、昔ながらの手作りの良さは急速に消えていこうとしている。
キラキラと光る既製品の服も多く出回っている
山奥の小さな村でも携帯電話を持つ人がいる昨今。急激な近代化で、民族衣装も日常からたちまち消えてしまうのだろう。日々の暮らしから着物を捨ててしまった日本人の私がいうのも何だが、それはあまりにも惜しい。その衣装と文化を後世に伝えるべく、ミャオ族の衣装に関する本を制作する予定である。
子ども用の盛装の帽子。ミャオ族は銀飾りも多用する
80歳を超えたミャオ族のおじいさん
※ミャオ族……ミャオ族という名称に馴染みのない方でも、「モン族」という名前なら聞いたことがあるかもしれない。これはミャオ族の自称であり、さらにタイやラオスなどの東南アジアにおけるミャオ族の自称&他称である。
≪平林豊子(ひらばやしとよこ)/プロフィール≫
旅するライター&エディター。2008年4月に出版した『着こなせ!アジアンファッション WE LOVE ASIAN FASHION』(ダイヤモンド社地球の歩き方BOOKS)が早くも増刷され、好評を博している。
着こなせ!アジアンファッション(WE LOVE ASIAN FASHION) (地球の歩き方Books)
平林 豊子
]]>
『世界の民族衣装』
2008-06-10T00:04:07+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=510579
インドの民族衣装
「世界の民族衣装」
文・写真:冬野花 (インド・ニューデリー在住)
特別な場合以外は、サリーは既婚女性の着るものです
インドの民族衣装といえば、言わずと知れたサリーがある。何といっても、いまだに人々が普段から着ているということが特徴。インド人がこ...
「世界の民族衣装」
文・写真:冬野花 (インド・ニューデリー在住)
特別な場合以外は、サリーは既婚女性の着るものです
インドの民族衣装といえば、言わずと知れたサリーがある。何といっても、いまだに人々が普段から着ているということが特徴。インド人がことさら保守的で、伝統の生活を変えることを好まないのもさることながら、やはり一番の理由は、その着やすさによるところが大きいと思われる。
普段からサリーを着ている女性は、めったに洋服は着ません
細かい部分を見れば、補強のためにスソの部分だけ布をダブルに縫い付けてあったりするのだが、基本的にはサリーは、どこにも縫い目のない、5メートル〜8メートルの長さの1枚布なのだ。それを独特の着付け方で体に巻くようにして着る仕組みだ。よって、糸杉のように細い人から、インド人のおばさんによくいるゴムマリのような人まで、体型をいっさい選ばない。妊娠しても、歳とって太ってもなんのそのだ。ベランダから、何メートルもある巨大な布が舞っているのを見ても、初めて見た人にはそれが干されたサリーであることはわからないだろう。
パーティー用のサリー
サリーの質はピンキリで、安ければ800円程度だが、高いものは100万円以上もする。一般的な中流家庭の女性でも、十数万円の晴れ着用サリーを数枚は持っているものらしい。サリーは女性の財産でもあるのだ。高級なサリーは親から子へ受け継がれていく場合も多いのだが、その時にサリーは、サイズを選ばないという利点を大いに発揮する。たった1枚の布であるがゆえ、体型や流行のシェイプに左右されずに、世代にわたって大事にされていくわけだ。サリーは、着古されてボロボロになる以外には、捨てられる理由のない、とってもエコな衣装なのである。
ボロボロになったサリーは、こんな風にシャツにも再利用
スソを腰のところから、ヒラヒラ出して着るのは、スリランカスタイル
また、地域や時代のトレンドによって、着付け方がいろいろあるのが面白い。ひだの取り方や、最後の数メートルをどちらの肩に回すか、などいろいろだ。もちろん、テキスタイルのデザインには流行があり、女性誌のデザイナーズサリー特集などは、見ていて飽きない。最新情報では、グッチがインドの民族衣装市場に参入するらしく、楽しみである。
≪冬野花 (ふゆのはな)/プロフィール≫
2004年夏よりニューデリーに単身在住。ヒンディー語をしゃべりながら暮らす。フリーライターとして活動しながら時間を見つけてはインド国内旅行をする日々。夏は最も魅せられているヒマラヤ方面、冬はポルトガル植民地時代の面影が残るゴアがお気に入り。ホームページ
]]>
『世界の民族衣装』
2008-06-10T00:01:28+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=510575
サモアンファッションはとってもカジュアル
「世界の民族衣装」
文・写真:椰子ノ木やほい (アメリカ合衆国・ミシガン州在住)
南太平洋に浮かぶ小国サモアは、1962年に太平洋島嶼国の中ではいちばんに独立を果たした国だ。サモアの人々はサモアをポリネシアの中心と信じ、自国に対する誇りはなかなかのもの...
「世界の民族衣装」
文・写真:椰子ノ木やほい (アメリカ合衆国・ミシガン州在住)
南太平洋に浮かぶ小国サモアは、1962年に太平洋島嶼国の中ではいちばんに独立を果たした国だ。サモアの人々はサモアをポリネシアの中心と信じ、自国に対する誇りはなかなかのもの。それだけに伝統を重んじる気持ちは強いようだ。
そんななか、服装はというと気候が常夏だけにかなりカジュアルといえる。なんの前知識もなくはじめてサモアの空港に降りたったときの衝撃は今でもはっきりと覚えている。送迎でごったがえす空港にいた人々の身なりはあまりに南国的というか、くつろいでいるというかラフだった。日本の様相と対比して呆然としてしまった。
なにしろ、見かける人々のほとんどは男性は腰に布を巻きつけているだけで足元は裸足かゴム草履。女性はさすがに上半身が裸ということはないにしても、Tシャツを着てやはり腰に布を巻いているだけだ。空港にお客人を迎えに来るスタイルがこれなのだ。もちろん、日本に「十二単」があるように、サモアにだって古来からの伝統的天然素材を用いた、それに匹敵するような衣装もあるにはあるが、現代では儀式用にしか使われないのでここでは現代の衣装を紹介する。
腰に布を巻くこのスタイルをサモアではラバラバ(lavalava)と呼ぶ。サモア語でイエ・ソロソロと呼ばれるコットン生地を無造作に巻くこのラバラバスタイルは、男女とも愛用し普段着として扱われる。
日本でいう「スーツ姿にネクタイ着用、足元は革靴」に代わるサモアの男性のスタイルは、無地の布で仕立ててある、イエ・ファイタガと呼ばれるポケット付き巻きスカートで、襟のあるシャツと組み合わせれば正装として通用する。この場合も足元はゴム草履でかまわないのがご愛嬌だ。女性は南国らしい色、模様のコットン生地で作った“プレタシ”と呼ばれるツーピース姿が一般的な正装だ。
赤道に近い国サモアの暑さは半端ではない。汗ばんだ衣類を放置すると、高温多湿のため、またたく間に服にカビが生えてしまう。毎日の洗濯は必須というわりに、庶民の家庭に洗濯機は普及していない。薄い生地1枚で作られるこれらの衣装は手洗い洗濯も簡単で風土にあった衣装といえるのだろう。
ある高校のサモアンカルチャーデー。グループで同じ布を買えばおそろいのユニフォームも簡単にできる。
≪椰子ノ木やほい/プロフィール≫
サモアに住んでいた頃は、毎日ラバラバを愛用していた。上衣はTシャツ、下半身はスカートやジーンズの代わりに薄い綿生地を腰に巻きつけるだけ。ラバラバを巻くと南国に住んでいることを実感できて心地よかった。その日の気分で生地の柄を選びそれなりにおしゃれもできた。夫はミシガンで暮らす今でも、夏になるとパジャマの代わりにラバラバを愛用している。
HP「ぼへみあん・ぐらふぃてぃ」 ブログ「みしがんでぃず」
]]>
『世界の民族衣装』
2008-06-10T00:00:12+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=510553
グアテマラは民族衣装の宝庫
「世界の民族衣装」
文・写真:白石光代
中米に位置するグアテマラには、日本の1/3ほどの国土に、日本の人口の約1/10の人が住んでいる。半数以上がマヤ文明を築いたマヤの人々の子孫。1500年以上たった現在も、当時と同じようにトウモロコシを植え主食とし、同じ方法...
「世界の民族衣装」
文・写真:白石光代
中米に位置するグアテマラには、日本の1/3ほどの国土に、日本の人口の約1/10の人が住んでいる。半数以上がマヤ文明を築いたマヤの人々の子孫。1500年以上たった現在も、当時と同じようにトウモロコシを植え主食とし、同じ方法で織った織物を仕立てて民族衣装としている。
グアテマラを訪れた人がまず目をうばわれるのは、真っ青な空と色鮮やかな民族衣装。グアテマラには150種類を越える民族衣装があるといわれている。それぞれの村で模様、スタイルがことなるため、グアテマラのどこにいても「彼女はソロラの人」「あの人はシェラから来たんだ」など住んでいる場所が分るのだ。
女性の民族衣装は上着であるウイピルと巻きスカートのようなコルテに分けられる。コルテは男性が足踏み式の機織機で織る。ウイピルは女性が昔ながらの後帯機織りで織る。織物は母から娘へと引き継がれ続けている大切な伝統文化。グアテマラ高地では、おばあちゃん、お母さん、そして娘たちが、一緒に庭先で織物をする姿を見かけることができる。
その村に生まれ、そこに伝わる民族衣装をまとい、そこで生き、そこで死ぬ。そして最後まで自分の村の民族衣装をまとい続ける。民族衣装は彼らの誇りであり、自分自身、コミュニティーの象徴でもあるのだ。どの村に行っても民族衣装の美しさにため息が出てしまう。
グアテマラも世界の国々と同様、近代化の波におされ少しずつ民族衣装がすたれてきている。けれどグアテマラがグアテマラであるために、この虹色の民族衣装は存在していなくてはならないものだと思う。大切に大切に守り続けて欲しいと願わずにはいられない。
私もソロラのおばあちゃんに織物を習っている。なかなか上達しないのだけれど、いつかは民族衣装を織りたい。
≪白石光代(しらいしみつよ)/プロフィール≫
中米の国グアテマラで、観光ガイドとして暮らす毎日。「僕たちよりグアテマラを知ってるね」と言うグアテマラの友人たち。「よかった。また来たいわ」最後空港でのお客様の言葉は、グアテマラが褒められているようで、私まで嬉しくなるのです。ホームページ 、ブログ
]]>
『世界の民族衣装』
2008-06-08T00:08:14+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=499542
芸術的才能を発掘、そして育てる教育(アメリカ合衆国)
「世界の教育事情」
文:椰子ノ木やほい(ミシガン州・アメリカ合衆国)
芸術教育というと、堅苦しく聞こえるかもしれないが、ミシガン州ではハイスクールの生徒たちを対象に、毎年ユニークかつ大掛かりな取り組みが行われている。
ミシガン・ユース・アーツ...
「世界の教育事情」
文:椰子ノ木やほい(ミシガン州・アメリカ合衆国)
芸術教育というと、堅苦しく聞こえるかもしれないが、ミシガン州ではハイスクールの生徒たちを対象に、毎年ユニークかつ大掛かりな取り組みが行われている。
ミシガン・ユース・アーツ(Michigan Youth Arts)という名で親しまれる年に一度のこの祭典は、ミュージックキャンプで有名なインターラーケン・アート・キャンプの創設者、Dr.Joseph E. Maddy により、1963年に設立されたもので、以来、“ミシガン州”の若い芸術家の卵を発掘し育てる由緒ある祭典として毎年、5月にウェスタン・ミシガン大学において開催されている。
音楽に関して言えば、参加希望者の多くはハイスクールで吹奏楽や管弦楽などを学ぶ生徒たちで、予選とも言えるソロ&アンサンブルというコンテストに参加し、良い成績を得た生徒だけがその先のオーディションへと進み、さらに選抜を通った者だけが祭典に参加できる。
こうして、州内25万人のハイスクールの生徒の中から約9ヶ月かけて、音楽をはじめとし、ダンス、ビジュアルアート、演劇など多彩なジャンルに及ぶ卓越した才能を持つ生徒を選りすぐり、野球でいうなら差し詰め、オールスターチームのようなミシガン州ハイスクールレベル最強の合唱団、オーケストラ、ジャズバンド、シンフォニックバンドを作り上げる。
ジャンルごとの選抜を通り抜けた若き将来の芸術家が、会場となる大学のキャンパスに一斉に集い、それぞれのフィールドで2泊3日のキャンプをしながらみっちり合同練習をする。講師には、各分野で活躍されている著名な大学教授や音楽家が迎えられ、参加者の指導にあたるというのも、この祭典に参加する大きなメリットだ。初顔合わせから3日目にはプロ顔負けのパフォーマンスを披露してくれる。州内各地から集る生徒たちは、新たな友情をみつけたり、新しい刺激を受けたりと実りある時間を過ごす。
芸術というジャンルは、高校受験や大学受験のある日本では、ひとつの教育としてなかなか定着しがたい分野かもしれない。しかし、スポーツや芸術は私たちの暮らしや心を豊かにしてくれる。芸術のない世界で生きるのは味気ないものだ。そう思うと、豊かな社会を築くため、子どもたちに備わった才能を発掘し、育てることは教育に携わる大人たちの義務とも言えるだろう。
≪椰子ノ木やほい/プロフィール≫
たまたま今年、我が息子が州代表ジャズバンドのトランペッターに抜擢されたため、キャンプを見学、そして公演を観る機会を得た。オーケストラ、合唱、ジャズバンドなど、とてもハイスクールの生徒とは思えないパフォーマンスを見せてれた。カーネギーホールを想わせる大きな劇場に惜しみない拍手と割れんばかりの歓声がいつまでも響いていた。参加した全ての子どもたちの将来がほんとうに楽しみだ。ブログ:みしがんでいず
]]>
『世界の教育事情』
2008-05-25T00:09:26+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=499539
オペラハウスでの実習体験(オーストリア)
『世界の教育事情』
文:パッハー眞理(ウィーン・オーストリア)
オペラの演目は大体3時間ほどかかる。中には「ヘンゼルとグレーテル」のように子ども用のオペラもあるが殆どの演目は大人用だ。
芸術の都であるウィーンには4つもオペラハウスがあり、日替わ...
『世界の教育事情』
文:パッハー眞理(ウィーン・オーストリア)
オペラの演目は大体3時間ほどかかる。中には「ヘンゼルとグレーテル」のように子ども用のオペラもあるが殆どの演目は大人用だ。
芸術の都であるウィーンには4つもオペラハウスがあり、日替わりメニューのようにオペラを上演している。特に世界3大オペラのひとつと言われるウィーン国立歌劇場では世界でも一流の歌手やら指揮者が来て演奏する。しかも立ち見席は400円くらいと安く見ることが出来る。ウィーンは世界中の音楽留学生にとってはまさに宝庫だ。
そんなウィーンの小・中学生にとって面白い実習がある。
それはオペラハウスのステージを生徒たちが実体験しようというものだ。国立歌劇場のような所ではさすがにこのプロジェクトは出来ないが、オペレッタで有名なフォルクスオーパーで実現できる。いつも「受け身」だけの小さなお客さまもその日は「実体験」出来る日だ。
衣装係りの人がオペラで実際に使用されているコスチュームを着せてくれたり、メイクの人からはオペラ用のメイクをしてもらったり。男の子たちはステージの上に組まれた高いやぐらの上で、照明係りから説明を受けながら実際にライトを扱わせてもらえるのだ。衣装をつけ、メイクをした人たちは、ステージの上で簡単なセリフを言わされる。舞台監督も特別に子どもたちのために説明してくれて気分はすっかりオペラ歌手? 小さい頃から裏方、舞台監督による課外授業。とても素敵な生きた教育だと私はうらやましく思う。
将来の歌手がもしかしたら誕生するかもしれない。
≪パッハー眞理(ぱっはーまり)/プロフィール≫
ウィーン生まれで東京育ち。ピアノ教師兼ライターとしてウィーンに暮らす。とうとう海外生活は33年目に突入。日本にいた時よりもはるかに外国暮らしが長い。毎日愛犬コッカースパニエルと自然の中を散歩して気分転換をはかっている。UCC上島珈琲、新卒OLを元気にするサイトの特派員もつとめホットな話題を提供している。オーストリアプレスクラブコンコルディア会員。著書『アウガルテン宮殿への道』ショパン刊がある。
]]>
『世界の教育事情』
2008-05-25T00:02:03+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=499532
全国から高校卒業生が大集結!(オーストラリア)
『世界の教育事情』
文:ケイブ(ゴールドコースト・オーストラリア)
毎年11月半ばから12月初旬はオーストラリアでは卒業シーズン。この時期、ゴールドコーストの中心地サーファーズパラダイスは数千人もの高校生であふれかえります。卒業記念パーティのために全...
『世界の教育事情』
文:ケイブ(ゴールドコースト・オーストラリア)
毎年11月半ばから12月初旬はオーストラリアでは卒業シーズン。この時期、ゴールドコーストの中心地サーファーズパラダイスは数千人もの高校生であふれかえります。卒業記念パーティのために全国から集結するのです。
通称スクーリーズと呼ばれる彼らは、コンドミニアムを借りて2〜3週間ほど滞在します。昼間はビーチやテーマパークで遊び、夜はパーティをして連日連夜の大騒ぎ。州によって卒業の日が違うので、第一弾、第二弾と押し寄せてきます。州を越えて新しい友達を作ることや、たくさんの仲間で集まってパーティ騒ぎをするのが楽しいようです。
18歳から飲酒が認められているので堂々と飲酒ができるのですが、酔っ払った高校生がホテルのベランダで騒ぐ姿は当たり前。通行人めがけて卵を投げつけたり、ビールを浴びせたり、したい放題!
観光業がメインのリゾート地ですがこの時期ばかりはホリデーにはお勧めできません。近隣住民にとっても赤丸要注意。サーファーズパラダイスにはできるだけ近寄りません。近辺市街地にもスクーリーズが車やレンタルバイクで出没するので、運転にはいつも以上に気を配り、視線を合わせないようどきどきです。
さらに麻薬や喧嘩で逮捕者が出るのも毎年のこと。その多くは、高校生にまぎれて騒ぎに来る大人たちのよう。市は対策として、本物の高校生を証明するIDを発行しています。そして、街中には警察が24時間体勢で待機して目を光らせるのです。
日本では卒業シーズンといえば涙々の感動の場面いっぱいですが、ゴールドコーストでは日本領事館から注意喚起のお知らせが出るほど危ないものなのです。
宿泊施設側もこんな大騒ぎの子供たちがいては他の宿泊客の迷惑になるので、「スクーリーズお断り!」を謳っているところもあります。それでもどのホテルにも高校生の姿が見えます。実は親が代わりに予約を取っているというのです。1年以上前から予約が埋まるので、親子そろってこのときのために備えているのです。
わが子がこのイベントに参加するといったら気が気ではないと思いますが、18歳未満にもかかわらずアルコールを差し入れした親がニュースで報じられたこともあります。そうかと思えば、この乱痴気騒ぎに参加させまいと海外旅行をプレゼントするケースもあるようです。
いろいろと問題はあるものの高校生にとっては記念すべき一大イベント。2歳の息子が大きくなるまでに、少しでも健全なものになってほしいと願うのみ……今から気の早い心配をしています。
≪ケイブ/プロフィール≫
日本での外資系ITメーカー勤務の後、海外生活を実現させるためオーストラリアに渡る。ITマネージメントを現地大学院で学んだ後、永住権取得。現在は、一男の母、主婦、そしてIT関係でパートタイムで働く日々。次なる夢はエッセイストとして活躍すること。がんばります
]]>
『世界の教育事情』
2008-05-25T00:00:23+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=489004
この子だれの子?
『この子うちの子』
文:伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)
あなたの子どもが、親である自分に全く似ていない。子どものベビーシッターだと勘違いされ、ましてや誘拐犯だと疑われたら。どう思うだろう?
生まれたての次男は黒髪で、一重まぶたの切れ長の目...
『この子うちの子』
文:伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)
あなたの子どもが、親である自分に全く似ていない。子どものベビーシッターだと勘違いされ、ましてや誘拐犯だと疑われたら。どう思うだろう?
生まれたての次男は黒髪で、一重まぶたの切れ長の目をしていた。スウェーデン系米国人である夫の友人が彼を見て、こう言った。
「おいおい、本当にお前の息子か」
次男は、それほど東洋的な顔の赤ん坊だった。
ところが生後2週間もすると、彼の目はぱっちり開き、赤毛になったのだ。今度は母親の私が買い物や用足しに連れて行くと、店員から怪訝な視線を向けられるようになった。
「あの、夫がアメリカ人なので」
すると皆、納得する。
「ちなみに、私は血のつながった母親です」と付け足すと、大笑いされたものだ。
こちらでは第三者提供の卵子や精子により、子どもを授かる人がいる。アンジェリーナ・ジョリーのように、外国から孤児を迎えて自分の子どもとして育てる人もいる。こうして自分と全く似ていない子どもを持つ人はいるが、私の場合は正真正銘自分の子どもなのに。
次男が1歳の誕生日を迎える頃には、金髪になっていた。父親そっくりだった。私がジャージ姿で次男を公園へ連れて行くと、彼のベビーシッターだと勘違いされる。なるべく、“見た目のいい”服装をするように心がけたものだ。
ある日、次男を子ども専用のゲームセンターへ連れて行ったときのこと。数時間遊ばせた後、帰ろうとしても彼はもっといたがっている。昼寝の時間になるので、抱っこして連れて帰ろうとすると、次男は泣き叫んで私のことをかもうとするのだ。すると誰かが後ろから私の肩をたたいて、こう言った。
「ちょっと、この子は本当にあんたの子どもなのか?」
私のことをにらみつけるので、今度は私が怒った。
「私の息子ですよ、何でそんなこと言うんですかっ!」
今では笑い話だが、このときはかなりムッとした。
自分の息子のベビーシッターによく間違われるという、メキシコ人の友人は、同胞から時給はいくらかと訊かれると、こう答えるそうだ。
「私は福利厚生付きで、しかもこの子の父親と一緒に寝ているのよ」
ここまでジョークにしてしまうと、もう立派である。
≪伊藤葉子(いとうようこ)/プロフィール≫
ライター・翻訳者。カリフォルニア大学卒業後、地元の新聞社勤務。日系企業に関する取材記事を英語で執筆。現在では子育てを通じて、別の視点から米国事情を学んでいる。訳書に『免疫バイブル』(WAVE出版)がある。在米14年。
]]>
『この子うちの子』
2008-05-10T12:53:47+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=488392
私、この子の親なんです
『この子うちの子』
文:西川桂子(バンクーバー・カナダ)
息子はティーンエイジャーとなった今でこそ、髪の色が濃くなってきたが、小さい頃はブロンド。「お母さんは日本人で黒髪なのにね」と、周囲の人たちに驚かれたものだ。一方の親が黒髪だと、子どもの髪は黒...
『この子うちの子』
文:西川桂子(バンクーバー・カナダ)
息子はティーンエイジャーとなった今でこそ、髪の色が濃くなってきたが、小さい頃はブロンド。「お母さんは日本人で黒髪なのにね」と、周囲の人たちに驚かれたものだ。一方の親が黒髪だと、子どもの髪は黒か濃い栗色が多いためだ。やわらかいブロンドヘアで、わが子ながらキレイな髪をしていると感心していた。
しかし、ある日、ブロンドは考えものだと思う事件があった。
息子が3歳すぎのかんしゃくをよく起こす時期だった。ショッピングセンターで見かけた玩具が欲しいと大騒ぎを始めたのだ。
「ダメ!」
と却下したが、ついには床に寝転がって泣きだした。
起こして「ダメって言ったら、ダメ。ほら行くよ」と手を引こうとしたら、その手を振り払って、座り込んで泣いて動かなくなった。
「じゃあ、10まで数えるよ。来ないとママ(私)はもう行くからね。1、2、3……」
10まで数え終わったのに、座って泣いている。
ここで負けたらしつけにならないと思った私は
「じゃあ、ママは行くから」と言って、息子を残して行ってしまうふりをして、近くにあった大きな柱の後ろに隠れて様子を見ていた。
すると、泣きながら追いかけてきたので、「よしよし。ダメなものはダメなんだから」と、涙でぐちゃぐちゃの顔を拭いていると、白人のおばさんが私たちのところに、つかつかと近寄ってきた。
そして開口一番
「あんたの雇い主の電話番号を教えなさい!」
と聞く。
「?」(何で私のボスの電話番号が必要なの?)
「さっきから見てたけど、あんたの態度はナニー(注)として最低よ!」
わかった。ブロンドの息子と黒髪の私の組み合わせ。特に私は色黒だし、バンクーバー辺りに多い、フィリピン人のナニーさんと間違えられたのだ。
「この子、私の子どもだけど、何か!」と言うと、「それなら、いいわ」とばつの悪そうな顔でおばさんは去っていった。
その話をすると、「XX君(息子の名前)、桂子さんにそっくりなのにね」と友人たちに大笑いされた。
一方の親がインドや中国系などで黒い髪だと、やはり私と同じような経験をする人がいるらしい。アイルランド人と先住民の父母の間に生まれた義姉、レスリーもそんな一人だ。黒髪で顔もどちらかというと先住民の特徴が強い。スコットランド人と結婚したので、子どもたちは先住民の血が四分の一という計算になる。
さて、姪たちだが、特に妹は見事なプラチナブロンドの髪にエメラルドグリーンの目。先住民の血が入っているとは、全くわからない容貌だ。「どこに行っても、ベビーシッターと間違えられて、親だと思ってもらえないの」と、いつもぼやいていた。
業を煮やしたレスリーはブロンドに髪を染めた。成果はあったのか興味があるのだが、残念ながら教えてくれない。
注)カナダのナニーはベビーシッター。住み込みも多いが、通常、フルタイム、つまり一日8時間程度、子どもの世話をしてくれる。ちなみに、カナダではメリーポピンズのような教育係的な意味合いはない。
≪西川桂子 (にしかわけいこ)/プロフィール≫
フリーランスライター、翻訳家。3月に家族で日本へ里帰りをした。公園で子どもたちが遊んでいたとき、末っ子がジャングルジムから転落。頭から落ちたので真っ青になって駆け寄り、息子も「マミー」としがみついて泣いていたというのに、周囲の日本人のお母さんや子どもたちは「お母さんどこ?」
またもや私が親だとは思ってもらえなかったようです。
]]>
『この子うちの子』
2008-05-10T00:28:37+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=478933
過少包装?
『各国エコロジー事情』
文・写真:うえのともこ(ネパール・カトマンズ在住)
卵も裸んぼ。鮮度も不明。子どもをお使いに出すと、ぶつけたり転んだりで
使い物にならない状態になってくることもありました。
ネパールの市場や八百屋で売られている野菜や...
『各国エコロジー事情』
文・写真:うえのともこ(ネパール・カトマンズ在住)
卵も裸んぼ。鮮度も不明。子どもをお使いに出すと、ぶつけたり転んだりで
使い物にならない状態になってくることもありました。
ネパールの市場や八百屋で売られている野菜や果物はみんな裸んぼ。野菜や穀物、スパイスもほとんどすべて量り売りで買う無駄のないスタイルだ。
日本のスーパーなら葱はそれ用の細長い袋にすくっと納まっているし、青菜はワイヤーに束ねられ、乾燥を防ぐ透明スカートをはいたりして。きのこやイチゴはプラスチックトレーに入りまるで箱入り娘、お刺身なんて塗りのお皿みたいな和柄の発泡トレーに飾りたてられ、みんなおめかししてツンとすましている。買い物に出れば大量のゴミも持ち帰ることになり、その処分にもお金とエネルギーがかかるというのは何とも合点がいかないのでは。
それに比べこちらのみなさんのワイルドさ、粗雑さ、逞しさったら。肉や野菜に人間が決めた「規格」なんて枠はないから、日本だったら絶対に店頭に出せないような鍬に傷ついたもの、虫に食われたもの、大小ひっくるめ全部同じ扱いで、泥んこが当たり前。青菜は数枚、数株ごとに濡らした稲藁で束ねられている。以前買った新鮮で先までピンと伸びた韮の根元を束ねているのは韮自身だったもの。これにはいたく感心。もちろんまとめ役になっているその韮もちゃんと調理していただきましたとも。
解体された猪。毛を残すのは豚肉と区別するため、かな?蝿もブンブン飛んでいます。
究極は豆腐と肉類。通行人でひしめく埃っぽい路上、タライのお風呂に頭を出して浸かりながら、出番を待っている豆腐。肉屋に至っては、動物がそのまんまの姿でデーンと鎮座している。剛毛モヒカンカットの猪はターメリックのお化粧を施され眩しいほどのオレンジ色。鶏も毛を毟られ、いつでも丸焼きにできる体勢で常温にスタンバイ。さっきまで生きていたヤギの生首の横には大股を広げたその下半身が。店先の柱に繋がれ草を食みながら「べぇべぇ〜」と鳴くまだ命あるその子に対する配慮や気遣いは一切なし……。そしてハエが集り放題。キャ〜!(鳥肌)なんだけど、もう慣れた。
買ったものは薄いビニール袋に入れられる。過剰包装がなくゴミが少ないのはよろしいが、衛生的かというと、もちろんNO!そして栽培、加工に何が使われているかという安全に関する情報を知る手がかりは皆無で、売り手に尋ねることくらいしかできない。その売り手もわかっていなかったり、言うことが正直であるとも限らないのは困ってしまうというか、ちょっと怖くもあるが。
今年の6月からは中国がレジ袋を作っても売ってもいけないという規制に乗り出すそうだ。となるとこちらの市場にも新聞紙や葉っぱなんかが出現するかも?
≪うえのともこ/プロフィー ル≫
過少ながらこの薄いビニール袋も一過性のもので、ゴミをゴミ箱に捨てる習慣のないネパールでは環境破壊に加担している。しかし青菜売りのおばちゃんはリユース派で4ルピーの青菜を買うお客にわざわざ新品の袋を出しはしない。私も幾枚か集めては寄贈するのだけど、決して青菜をオマケしてくれるということもなし……。かれこれ在住のべ5年。「ネパールの達人」 としてブログで情報発信している。
]]>
『各国エコロジー事情』
2008-04-25T07:54:19+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=478922
月曜日のユーウツ
『各国エコロジー事情』
文:郷らむなほみ(カナダ・オンタリオ州在住)
また、ゴミ出しだ……。日曜の午後、家中のゴミを分別しながら、ちょっとだけブルーな気持ちになる。
カラスがゴミをあさりに来るからだ。
東京などの大都市ならまだしも、近所にはま...
『各国エコロジー事情』
文:郷らむなほみ(カナダ・オンタリオ州在住)
また、ゴミ出しだ……。日曜の午後、家中のゴミを分別しながら、ちょっとだけブルーな気持ちになる。
カラスがゴミをあさりに来るからだ。
東京などの大都市ならまだしも、近所にはまだ森がたくさん残っているカナダのこんな田舎にも、なぜかカラスがいる。氷点下の真冬も、月曜には決まって複数でやって来て、近所のゴミを漁っていた。大きな身体と大きな態度、私がそばを歩いても全く無視。東京在住中、カラスにマークされた夫の件が脳裏を過り、攻撃されるのを避けて私の方が迂回して通ることにしている。住宅が少ないうえ、週に一度しかゴミ出ししないのに、こんなところになぜカラスが来るのだろう?
私は不思議で仕方がなかったのだが、ある冬の朝、散歩に出てその理由が分かった。ご近所さんたちってば、ゴミを正しく処理して出していないのだ。
スーパーマーケットで買う肉類のトレー。これはリサイクル可能だから、青いゴミの箱に集めて出すのが決まり。それは良しとして、カラスがつついていたのは、トレーの隅っこにくっ付いている鶏肉らしき肉片。ふと見ると、トレーにはまだ吸水シートが付いたまま(注:肉汁などを吸わせるため、肉とトレーの間に薄い座布団のようなシートが敷いてある)。驚いたことに、ラップもまだくっついているではないの! これではカラスに餌をやっているようなものだ。
実家がある名古屋では、プラスチックトレーも缶詰も、全てのゴミは水洗いの後、乾かして範疇ごとに分類、決められた収集日の朝8時前後に出す……というのが鉄則だ。コンビニ弁当の器も、スーパーマーケットの食材やお惣菜の包装も、全てのゴミがどう処理されるのかを把握して分別するのが消費者の責任とされている。藤前干潟(*)をゴミ捨て場にしないことを選択したのだから、当たり前ではあるのだが。
ウチの近隣には子どものいる世帯が多く、ゴミだってたくさん出るだろう。おまけに、どこの家庭も共働きが当たり前というカナダでは、主婦は忙しくてキッチリとゴミの分別なんてやってられないのかもしれない。朝早い出勤だから、前日の夜からゴミを出すのも目をつぶろう。
しかし、消費する限りゴミは出る。消費者としての責任と義務は果たすべきではないのだろうか? ここでしっかりと次世代を教育しないと、これまで続いて来た北米の大量消費型の暮らしは変えられないに違いない。昨今、バブリーなカナダの今後が案じられる……と思っているのは私だけではないはずだ。
もっともっとゴミ減らしに精進して、還元、再生、再利用の意識を高めてゆきたいものだ。小さな努力だって、集結すれば大きな力になると信じて、私は今日もせっせと炭酸飲料の缶も洗っている。お隣さん、テレビゲームに興じている子どもたちに、トレーを洗わせたらどうですか?
*藤前干潟:名古屋市西南部から海部郡にかかる干潟。名古屋市がゴミの埋め立て地として選んだが、干潟に住む貝類やそれを餌に飛来する鳥類の保護のため、市民らの反対でゴミ処理場計画は取りやめになった。
≪郷らむなほみ/プロフィール≫
フリーランスライターで転勤族の妻。名古屋生まれ。重箱の隅を楊枝でつついて汚れを取りたい派。エコな暮らしを目指している訳ではないが、ゴミの分別くらいはキッチリやりたい。今、一番欲しいのは、日本製家庭用生ゴミ処理機。
]]>
『各国エコロジー事情』
2008-04-25T07:36:01+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=470713
屋根裏掃除とラブレター
『義理の家族とのつきあい方』
文:夏樹(フランス・パリ在住)
私の場合、義理の家族との間で、深い共感を感じることはもともとなかったが、腹がたつことも、もうあまりない。「またか」と言いたいとき、「今度はそう来るか」と呟くことはあっても、「そん...
『義理の家族とのつきあい方』
文:夏樹(フランス・パリ在住)
私の場合、義理の家族との間で、深い共感を感じることはもともとなかったが、腹がたつことも、もうあまりない。「またか」と言いたいとき、「今度はそう来るか」と呟くことはあっても、「そんなのって、ないんじゃない!?」と驚愕することはなくなってしまった。ある夏の日の大発見を境に。
我が家が夏を過ごすのは、ブルターニュ地方の小島である。ここには、2世紀前から、夫の家族に代々継がれてきた家がある。もちろん、遺産相続争いの種にもなっていて、夫はよくこの家がでてくる悪夢に苛まれ、真夜中にガバっと起き、「家が…家が汗をかいていて、壁がびっしょり濡れていた!」などと話してくれる。
ある日、白アリに襲撃された屋根裏部屋があまりにも凄まじい様相を呈してきたので、改築しようということになった。所狭しとあった物もの、何代にもわたって、「捨てにいくのが面倒くさいから、そこに置いておいたもの」を整理することになった。
ヒットだったのは、夫の父親宛のラブレターである。もちろん、姑ではなく、別の女性からのものである。姑と結婚する前の10年にわたっての一連の手紙で、膨大な量である。
本人同士にとっては、複雑きわまる大悲恋だったが、要約すると次のようなストーリーになる。彼女と彼は20歳から30歳にかけて恋人であった。彼女は後、詩集や小説を出版した女性で、鋭いエスプリを備えていた。お互い、性格が激しくて、何度も喧嘩別れをして、また、よりを戻している。2回にわたって、婚約式のてはずを整えるが、2度とも、両親に反対された彼のほうがはっきりせず、お流れになる。彼女がユダヤ人だったからである。
結局、彼はまったく別のタイプのおっとり型女性、すなわち私の姑と結婚し、満足せず、ずいぶん辛く当たり散らしたらしい。
不思議なのは、いったい、なんだって、舅はこんなものを屋根裏部屋に隠しておいたのだろう?ということだ。単なる未練か? 時代や社会を敵に回してでも、愛した女性を守ることができなかった自分が不甲斐なかったから? そして、なんだって、姑は、未亡人として50年近くも生き、この手紙類をここに放っておいたのだろう? 知らないのか、あるいは、見て見ぬふりをしたのか?
ブルターニュの夏の夜は、肌寒い。暖炉にあたりながら、ひとつひとつの手紙を読み上げる夫の声に耳を傾けていた。かねてから、「この家のひとたち、なんだかはっきりしないなー。なんでこんなに世間体気にするんだろう?」と、もどかしく思ったさまざまなできごとの背景に、こんな歴史があったことを知り、その結び目がほどけていくような感じがした。
≪夏樹(なつき)/プロフィール≫
フリーランスライター。同じ血を分けた実家のドラマのこととなると、怒り心頭に達し、収拾がつかなくなる私だが、義理の家族ドラマのことは、密かに人間観察のよい機会だと思っている。一歩さがって傍観できるだけに、思いがけない発見も多いものだ。
]]>
『義理の家族とのつきあい方』
2008-04-10T20:48:03+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=470711
年に一度のご馳走、パロロ (サモア)
『こんなもの食べる?』
文・写真:椰子ノ木やほい(アメリカ合衆国・ミシガン州在住)
「え〜こんなもの食べるの〜?」と思わず声をあげた。
サモアに住んでいたころ、大家の息子が、「おいしいよ!」と差し出してくれたのは、南海の珍味と言われる“パロ...
『こんなもの食べる?』
文・写真:椰子ノ木やほい(アメリカ合衆国・ミシガン州在住)
「え〜こんなもの食べるの〜?」と思わず声をあげた。
サモアに住んでいたころ、大家の息子が、「おいしいよ!」と差し出してくれたのは、南海の珍味と言われる“パロロ”だった。緑色と茶色の混ざったイトミミズのような姿は、どう見ても人間が食べるものというよりは、釣に使う餌のようだ。しかしこれがサモア人の間では、年に一度だけ味わえるご馳走だという。
ほんのり磯の香りがする。おそるおそる、口にしてみると、うっすら塩味、海の味。食感としては、トロリといったところ。姿形がグロテスクなので味より見た目で気持ち悪い気がしてしまうが、熱々ご飯にイカの塩辛が大好きという人なら、食べられないことはない。いや、「結構イケる」と言えなくもない。
しかし、このパロロ、釣り餌に見えるのも無理はない。生物学的にも、ミミズやゴカイの仲間で、環形動物門多毛網イソメ科の生き物だそうだ。普段はサンゴ礁の細い穴の中に生息しているが、1年のうちの10月か11月あたりの特定の日にだけ生殖活動のために海中を浮遊する不思議な生物なのだ。またその時期は月の満ち欠けや海水の温度などが微妙に影響するため収穫できる確実なエックスデーを知ることは難しいらしい。
実は、私もサモアで暮らした頃に一度だけ、パロロ狩りを体験した。とは言うものの、現れるはずのパロロはその日、浮遊しなかったため、正確には、パロロ狩りは未遂に終わった。しかし、私はこの日、すくい網を手にした集団が、夜明け間近の漆黒の海にゾロゾロと入って行くという、異様としか言いようのない光景を見た。南海の珍味、パロロ収穫にかけるサモア人の意気込みがスゴイことを実感した。
考えてみれば、生物学的に云々ということなど、昔のサモア人は知る由もなかったはず。太古の昔から、珊瑚礁近くの浜に住む人々が生活する中で、パロロの存在を見つけ、食べてみたらおいしかった。以来、毎年エックスデーを予想して、年に一度のご馳走を味わってきたのにちがいない。世界で環境破壊が進むなか、いつまでもサモアの海で神秘の生き物、パロロが浮遊し、年に一度のご馳走が楽しめることを願っている。
≪椰子ノ木やほい/プロフィール≫
1997年より2001年まで南太平洋の小国サモアに在住。現在は五大湖に囲まれた、米国・ミシガン州在住。新鮮な魚介類が、安く簡単に手に入ったサモア時代と比べると、魚料理を食べるチャンスがほとんどない毎日。湖はあれど海は遠い。ミシガン人は海の幸を好んで食べないためか、新鮮な魚介類を売る店はない。あ〜たまには新鮮なお刺身が食べたい!
]]>
『こんなもの食べる?」
2008-04-10T20:40:42+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=459900
白でトータルコーディネート(ネパール)
『世界の冠婚葬祭』
文:うえのともこ(ネパール・カトマンズ在住)
街中で時折見かける全身白尽くめの男性たち。大抵は白い帽子も被っている。帽子の下はと言えば丸坊主。しかしつむじの部分に一束だけ剃る前の長い毛髪を残している。このちょろっとしたねずみの尻...
『世界の冠婚葬祭』
文:うえのともこ(ネパール・カトマンズ在住)
街中で時折見かける全身白尽くめの男性たち。大抵は白い帽子も被っている。帽子の下はと言えば丸坊主。しかしつむじの部分に一束だけ剃る前の長い毛髪を残している。このちょろっとしたねずみの尻尾のような部分を「トゥピ」と呼ぶ。なぜこのようないでたちをしているのか? 親族(両親、祖父母、配偶者)を亡くし、喪に服している期間だからだ。
足元は白いスニーカー、靴下、ズボン、シャツ、セーター、ジャケット、マフラーまでも白で、頭もスースーするから野球帽やニット帽なんかを被る。アンダーウエアももちろん白だろう。(未確認)白に準ずると思われる生成り、クリーム色、肌色、ベージュくらいまでがOKラインなのか、そんな控えめなグラデーションになっていることも。
ある初老の男性は、手編みと思しき複雑なアラン模様を編みこんだ生成りのフィッシャーマンズセーターを着ていて、おや、何気にかわいいじゃない?と思わせた。海のない国でアイリッシュフィッシャー風だなんて本人は露とも意識していないはずだが。一方、登下校中の制服を着た元気な小学生の集団に、一人坊主頭で真っ白な服装の男児を見つけると痛々しい。
さて、モーターバイクの運転者にはヘルメット着用が義務付けられているが、このような全身白の人たちはノーヘルが許可(黙認? )されているようである。わざわざ白いヘルメットまで買う必要はないということなのだろうけれど、バイクに乗る時でさえ、白以外の色を決して身に着けないという徹底ぶりに、大概のことには大らかでいい加減なネパール人がそこまでこだわるどんな理由があるのだろう? と気になるではないか。生きている人間の安全面よりも伝統としきたりを重んじるこの国らしいといえば納得。
女性の場合は配偶者が亡くなった場合のみ、白いサリーを着て、最短でも13日間、長い場合は数ヶ月家から出ないようにして過ごすそうだ。だから白装束の女性を街で見かけることがないというわけだ。白いサリーやクルタスルワール(※)を着ている女性は看護師か看護学生なのでお間違いなく。
服喪中の決まりはほかにもあり、最低13日間、塩を口すべきでないとされていたり、毎年命日には丸めたご飯(ピンダ)を死者のために川に流したりする。私が頬張るおにぎりにネパール人の異様な眼差しを感じるのは、これが理由らしい。
※ブラウス、パンツ、ショールの3点スーツ。パンジャビドレスなどとも呼ばれる。
≪うえのともこ/プロフィー ル≫
実は服喪中の人以外に、常にノーヘルを黙認されている人々がいる。それはシーク教徒の男性たち。ネパールでは少数しか見受けられないが、頭にグルグルとターバンを巻いているのですぐにわかる。やはり安全規則より信仰や伝統が重んじられているのね。よく見ればなるほど、しっかりと巻かれていてヘルメットよりもプロテクト効果大かも。かれこれ在住のべ5年。「ネパールの達人」 としてブログで情報発信している。
]]>
『世界の冠婚葬祭』
2008-03-25T00:00:58+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=459903
リゾート地ならでは! ゴルフ場ウェディング
『世界の冠婚葬祭』
文:ケイブ(ゴールドコースト・オーストラリア在住)
私はゴルフ場で結婚式を挙げました!意外な場所だと驚かれましたか?ゴールドコーストは、1年を通して温暖な気候のため野外ウェディングが一般的であり、ゴルフ場ウェディングは実は人気の...
『世界の冠婚葬祭』
文:ケイブ(ゴールドコースト・オーストラリア在住)
私はゴルフ場で結婚式を挙げました!意外な場所だと驚かれましたか?ゴールドコーストは、1年を通して温暖な気候のため野外ウェディングが一般的であり、ゴルフ場ウェディングは実は人気のスタイルのひとつなのです。
ゴルフ場などで式を挙げる場合、マリッジセレブラントと呼ばれる結婚執行人のほかに証人2名がいれば、法的に結婚が成立します。その他には、教会での牧師さんによる式や日本でいうと家庭裁判所のような役所で式をあげる方法があります。
結婚式の準備は新婦とその家族が担当。招待状、花束、ケーキ、車の手配など一切を仕切るのです。はっきりいって新郎は当日正装をして現れるだけ。以前は結婚費用も新婦側が持つ風習だったよう!費用に関しては、その逆の認識をしていたので驚きの事実でした。
さてゴルフ場でのウェディング。澄み渡った青い空ときれいに整えられたグリーンのコントラストはとても美しく、晴れの日のムードを高めます。招待客はみんなサングラスをかけて出席しているのもオーストラリアらしい風景。式が終わると、シャンパンを飲みながら歓談します。
そして、新郎新婦は写真撮影のため、ゴルフコース内の噴水やグリーン、思い思いの場所をプロのカメラマンと一緒に出かけます。街中やビーチに出かけるカップルも多く、短くても1時間半、なかには4時間もかけて撮影するカップルも!それだけにそのまま書店に並べてもいいようなステキなアルバムに仕上がるのです。
写真撮影から新郎新婦が戻ると披露宴の始まりです。ゴルフ場のゲストハウスでのパーティはカジュアルなスタイルが多く、立食パーティを選ぶカップルが多いようです。パーティでは、まず新郎が挨拶をし、その後、新郎の父親、新婦の父親と挨拶が続き、一通り挨拶が終わると、新郎新婦も混じって食事を楽しみます。
パーティも後半になると、新郎新婦によるブライダルワルツの始まりです。このときの選曲は2人の一生の思い出の曲となるのです。私はこのワルツのために事前に何度も練習をしました。新郎新婦によるワルツが終わると、それぞれの両親がダンスに加わり、その後招待客らが次々とダンスの輪に混じり、ダンスパーティ会場へと変貌していくのです。
ダンスパーティでひとしきり盛り上がった後、招待客たちはそれぞれ時間を見計らって会場を後にします。最後に会場に残るのは新郎新婦と家族。日本とは逆に、新郎新婦が招待客を見送るのです。会場が許す限り、たいていの場合深夜11時過ぎまでパーティが続くという本当に長い一日なのです。
ちなみに新婦は、お色直しはせず一日ウェディングドレスで過ごします。ドレスは、レンタルよりも購入する人が多く、その後もずっと手元に残します。将来、娘や孫が自分のドレスを身に着けてくれる日が来たら、それはとても素敵なことだと思います。
≪ケイブ/プロフィール≫
日本での外資系ITメーカー勤務の後、海外生活を実現させるためオーストラリアに渡る。ITマネージメントを現地大学院で学んだ後、永住権取得。現在は、一男の母、主婦、そしてIT関係でパートタイムで働く日々。次なる夢はエッセイストとして活躍すること。がんばります。
]]>
『世界の冠婚葬祭』
2008-03-25T00:00:02+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=447042
グーディスは週末のお楽しみ
『世界の駄菓子』
文・写真:田中ティナ(スウェーデン・エステルスンド在住)
「今日は土曜日。“Lördagsgodis(ローダスグーディスと読み、日本語で『土曜のお菓子』の意)”買ってもいいでしょ。ねぇーっ」。
週末、スーパーで買い物をしていると、子ども...
『世界の駄菓子』
文・写真:田中ティナ(スウェーデン・エステルスンド在住)
「今日は土曜日。“Lördagsgodis(ローダスグーディスと読み、日本語で『土曜のお菓子』の意)”買ってもいいでしょ。ねぇーっ」。
週末、スーパーで買い物をしていると、子どもたちのせがむような声が聞こえることがある。近年太り気味の子どもたちが増えてきたせいか、はたまた虫歯にならないようにとの配慮からか、それともしつけのためなのかは定かではないけれど、「甘いものは週末だけの特別なお楽しみね」、という家庭が多いためだ。
なくても生活に支障はないけれど、あればより楽しい気分になれるお菓子。ピンク、赤、緑に黒など色とりどりで、キノコにイチゴやドクロなど形もさまざまなグミをはじめ、各種キャンディやチョコレートなど、豊富な種類から、好きなものを好きなだけ袋につめて購入する、量り売り形式。口の中に広がる甘さはもちろん、ビジュアル的にも子ども心のみならず、子ども時代を懐かしむ大人心をくすぐるラインアップが揃っている。週日とはちょっと違う特別の日、週末だから口にできるグーディス。「毎日、好きなだけいくらでも食べていいよ」といわれたら、楽しみも激減することだろう。
そして、販売店側も考えたもので、買い物の最後、清算をするためにレジに並びながらどうしても目に入ってしまうような場所にグーディスコーナーを設置している。つまり、スーパーに行けば週末のみならず年中、「おいしいよ。さあいらっしゃい」と私たちにささやきかけている。親が、「グーディスは週末だけ」と決め、子どもたちが日々の誘惑に打ち勝つのはホント難しそうだ。
さて、このグーディスの中で、個人的にどうしても好きになれないのが、甘草やアニスの香りが特徴の真っ黒なリコリス。なかでも、塩味風味のリコリスを口にしたときの驚きと強烈な印象は、今でも心の隅にしっかりと残っている。友人は「これがおいしいんだよねぇ。エッいらないの。じゃ私が」と嬉しそうにつまんでは、ポイポイと口に入れている。味の好みは本当に千差万別。
ところで、ある研究によると人工着香料や着色料を使った食品は、落ち着きがなかったり、集中力が続きにくい状態、「ハイパーアクティブ」の原因として注目されているという。製造会社は「安全な材料を使っている」とのことだが、おいしい味と夢を運んでくれるグーディスが末永く、肉体的にも精神的にも私たちの味方になってくれるように、と祈っている。
魅惑のお菓子がぎっしり詰まったグーディスコーナー。好きなものを好きなだけどうぞ。
これが黒光りするひも状リコリス
≪田中ティナ/プロフィール≫
フリースタイルのジャッジとしてソルトレイク、トリノオリンピック、ワールドカップの審判を、また、2007年イタリアの世界選手権では主審を務める。真剣勝負に挑む選手の演技に負けないように、ジャッジングの技術の向上に努力中。海外情報やこぼれ話をはじめ、スポーツの面白さも皆様にお届けしていきたいと思っている。
]]>
『世界の駄菓子』
2008-03-10T00:04:31+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=447032
家庭内論争の主役?!オランダの駄菓子
『世界の駄菓子』
文・写真:澤野禮子(オランダ・アムステルダム在住)
「今日はヘビ食べる?それとも,クモ?」
「うーんとね、毛虫がいいや。ある?」
「ない」
「あっそ。じゃ、クモでいいや。クモ頂戴」
ちなみにこれは、万国ビックリショーで交わされる...
『世界の駄菓子』
文・写真:澤野禮子(オランダ・アムステルダム在住)
「今日はヘビ食べる?それとも,クモ?」
「うーんとね、毛虫がいいや。ある?」
「ない」
「あっそ。じゃ、クモでいいや。クモ頂戴」
ちなみにこれは、万国ビックリショーで交わされる会話を抜粋したものではない。ごく普通のオランダの子供たちが日常口にするフレーズである。それにしても、かなり気色が悪い。ヘビ食べる?とは、一体何ぞや?実はこれ、駄菓子について話し合っているのだ。オランダの駄菓子は、総称でSnoep(スヌープ)と呼ばれる。これは実際、ただのグミ菓子であって、日本の駄菓子のように、バラエティに富んでおらず、結構味気ない。その代わり、その形態は軽く500種を超えるのがミソで、ありとあらゆる色や形が揃っている。従って、ヘビとかクモの形をしたものも当然存在するというわけである。
この、縄のようなスヌープは、通称・“タウ(紐)“。最も人気があるスヌープのうちのひとつ
このスヌープを買うには薬局へ行く必要がある。何だか意外な感じがしないでもないが、大手薬局でだけ販売されているためだ。このスヌープ、子供に限らず、女性にも大人気。つまみながら出勤するOLもいるし、家庭の主婦らは、体重を気にしつつも、スヌープ・ジャンキー(駄菓子漬け)と称してはばからない人もいるほどである。
スヌープの形態は千差万別
また、家庭内問題の核となる存在でさえある、といったら大袈裟に思われるだろうが、このスヌープ、嫁姑問題の理由第1位の座を獲得したという統計まであるくらいだ。歯に悪いという理由で大抵の親が買い与えないスヌープを、おじいちゃん、おばあちゃんの世代が、孫を溺愛するが余り、これでもかと与えるため、親子2代の間でスヌープ賛否両論が交わされることとなり、下手をすれば絶縁に発展するまでの家族会議を、堂々と提供してしまう存在なのである。
たかが駄菓子、されど駄菓子。生活に密着しすぎた感のあるスヌープだが、オランダにお越しの際は是非一度、お試しあれ。やみつきになること、請け合いだ。これならば、家族内で物議をかもし出すのも無理はない味、かも!?
≪澤野 禮子 (さわの れいこ)/プロフィール≫
最初スヌープを見たとき、その着色料のどぎつさに驚いたが、それもはるか昔のこととなってしまった。幸い我が家では、家庭問題が引き起こったことはないが、自らも、りっぱなスヌープ・ジャンキーと認めている。
お気に入りは、日本でも人気のHARIBO。
]]>
『世界の駄菓子』
2008-03-10T00:02:05+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=447018
くまちゃんグミ(ドイツ)
『世界の駄菓子』
文・写真:ツムトーベル由起江(ドイツ・キール近郊在住)
ドイツの駄菓子代表選手はなんといってもグミだろう。小児科で注射のチクッ!に我慢できたら、グミ。誕生会におよばれしてもらうお返しの小袋に必ず入っているのも、グミ。いたるところ...
『世界の駄菓子』
文・写真:ツムトーベル由起江(ドイツ・キール近郊在住)
ドイツの駄菓子代表選手はなんといってもグミだろう。小児科で注射のチクッ!に我慢できたら、グミ。誕生会におよばれしてもらうお返しの小袋に必ず入っているのも、グミ。いたるところでグミをもらい食べている。中でも人気不動なのが、くまのかたちをした通称Gummibärchen――くまちゃんグミ(私訳)――だ。ゴールドベア(Goldbären)という正式名があるのだが、なぜかみんな親しみをこめて通称で呼ぶ。
このグミの生みの親は、1920年にボンでHARIBO社を創立した飴職人ハンツ・リーゲル氏(社名はHans Riegel Bonnの頭文字をとっている)。当時まだ巷でよく見られた曲芸するくまの姿と、人気沸騰中だったくまのぬいぐるみをモチーフに、1922年くまちゃんグミを誕生させた。当初は数名の従業員がグミを町工場で作り、自転車で配達していたという。その後、くまちゃんグミや姉妹商品の人気のおかげで事業は拡大し、同社は現在約6,000人の従業員と欧州18の拠点をかかえる一大メーカーとなっている。
世界中100以上の国に輸出されているそうだから、日本でもその愛らしい姿を目にされた方が多いのではないだろうか。こぐまが「たっち」をした姿と、ストロベリー、レモン、オレンジ、ラズベリー、パイナップルそれぞれの味に合わせた色で目も楽しませてくれる。これまで5つの味で親しまれてきたが、生誕75年の記念すべき昨年、新しい味アップルが登場した。ちなみに青色のくまちゃんがいないのは、果実や植物から抽出した着色料のみを使用しているからなのだそう。また、気になる原料のゼラチンも豚由来のものに限定し、子どもの健康への配慮を前面に打ち出している。
ドイツのスーパーに行けば、グミは菓子売り場の実に3分の1を占めている。なぜこんなに人気なのか。大きすぎず柔らかいから小さな子どもも喉につめない、甘すぎないし低カロリーでお腹にたまらないから食事の妨げにもならない、など様々の理由はある。でも実際に子育てしてみて気づいたのは、何はさておき、グミが「汚くしない」菓子だということだ。クッキーのようにぼろぼろこぼれないし、チョコのように手や服もべたべたにならない……。小さな子どもを持つ親にとって、これは意外に大きなポイントなのだ。子どもに人気と思われているグミ、実は大人を喜ばすお菓子なのかもしれない。テレビでは今日も50年代から変わらないCMソングが流れる。♪HARIBOで子どもはハッピー。そして大人もハッピーに。♪まったく仰る通り……。
≪ツムトーベル由起江/プロフィール≫
レポート・翻訳・日本語教育を行う。1999年よりドイツ在住。NHKラジオジャーナル、MAGAZINE ALCなどで、ドイツの社会面から教育・食文化までレポート。ドイツ人の夫、6歳の長男、4歳の長女、1歳の次女とともにドイツ北部キール近郊の村に住む。趣味は楽しいドイツの絵本をみつけては買ってきて、即興で日本語に訳し読み聞かせること。
]]>
『世界の駄菓子』
2008-03-10T00:00:46+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=438339
「インドで牛発電って?」
『各国エコロジー事情』
文・写真:冬野花(インド・ニューデリー)
先日、朝の新聞をめくっていたら、「ジャールカンド州で牛発電」と出ていた。
う、牛発電って何……? 冗談? と思ったのだが、「ムンバイのKVIC(家内工業委員会)によって設立された、ビル...
『各国エコロジー事情』
文・写真:冬野花(インド・ニューデリー)
先日、朝の新聞をめくっていたら、「ジャールカンド州で牛発電」と出ていた。
う、牛発電って何……? 冗談? と思ったのだが、「ムンバイのKVIC(家内工業委員会)によって設立された、ビルラー(インドの財閥のひとつ)のテクノロジー研究所の機械工学部門がこのたび発明した。試運転において、そのジェネレーターは、牛一頭により一度に18軒の家の35本の蛍光灯をつけることに成功。KVICによって5年のうちに試行された20のプロジェクトのうちのひとつだ」とある。なにやら、まじめそうではないか!
ジャールカンド州というのは、インドの中でも田舎中の田舎。貧しく、他の州よりも数段遅れており、観光資源すら乏しくガイドブックにもろくに登場しない州だ。インドに詳しい人でなければ普通、耳にすることもないだろう。昨今のインドの急速な発展とか、IT企業の躍進、などという事柄にも何の関係もない。
そのジャールカンド州の農村部での慢性的な電力不足を、牛による発電で補うというアイデアらしい。
だが、牛が具体的に何をすることにより発電が可能なのかについては、その記事には書かれておらず、また少し調べてみたのが、今のところ詳細は不明だ。牛が走って、または歩いて何か重いものを引っぱる力を、電気に変換するのだろうか? それとも何かほかの方法だろうか?
“このポータブル・ジェネレーターは簡単にインストールでき、また、いつでも必要な時に稼動できる”のだそうだ(新聞には、このようにユーモアを込めて、まるで工業製品かのように表現されていた)。そしてコストは4500ルピー(1万3千円程度)で、携帯電話の充電やテレビを見るための充分な電力も供給できるだろう、という事である。
ところで、これはエコと言えるだろうか……?(笑)。斬新なエコ発電と言える? と思い取り上げてみたが、微妙だ。田舎の農村地帯で展開されているであろうその光景を想像すると、なんだか少し笑えてしまう感じもするのだが、牛の立場になってみれば、「冗談じゃないよ!」と言うかもしれない。
IT企業の躍進と、村の牛発電。この2つが同時進行しているインドが面白い国であることは確かだが。
≪冬野花 (ふゆのはな)/プロフィール≫
2004年夏よりニューデリーに単身在住。ヒンディー語をしゃべりながら暮らす。フリーライターとして活動しながら時間を見つけてはインド国内旅行をする日々。夏は最も魅せられているヒマラヤ方面、冬はポルトガル植民地時代の面影が残るゴアがお気に入り。旅ルポ、アーユルヴェーダ、ヨーガに関しての執筆も得意。ホームページhttp://fuyuhana.wancoworks.com
]]>
『各国エコロジー事情』
2008-02-25T00:03:31+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=438335
エコバックと抽選券
『各国エコロジー事情』
文・写真:伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)
「大型グローサリーショップ*と薬局で、分解性ではないプラスチック製レジ袋のサービスを禁止する」。サンフランシスコ市が、こう宣言してからまもなく1年になる。ここでちょっと補足した...
『各国エコロジー事情』
文・写真:伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)
「大型グローサリーショップ*と薬局で、分解性ではないプラスチック製レジ袋のサービスを禁止する」。サンフランシスコ市が、こう宣言してからまもなく1年になる。ここでちょっと補足したい。こちらではレジ袋が2種類ある。紙製と、もう1つはサンフランシスコ市が禁止したタイプ。原料はポリエチレンといった合成樹脂で、つまり石油から作られるプラスチック製品なので、英語では“plastic”と呼ぶようだ。日本のスーパーのレジ袋も、これだろう。
サンフランシスコ・クロニクル紙によると、世界中で1年間に、約5兆枚のプラスチック製レジ袋が使われている。これを1億枚作るためには、160万リットルほどの石油が必要になるそうだ。リサイクルが困難で、ゴミ処理所では場所をとるという難点も指摘されている。
エコロジーへの関心が高まる中、マイバック派は増加している。オリジナルのエコバックを店内で販売するグローサリーショップは多い。ある日系スーパーでは緑地に地球の絵を入れた、いかにも「エコ」といったマイバックを売り、不要のレジ袋を回収する箱を設置している。
全米に店舗展開するTrader Joe’sというスーパーは、エコを真剣にとらえつつ消費者が楽しめるように配慮している。同スーパーは、数種類のエコバックを販売している。鮮やかな色合いでおしゃれな感じのバックを、ショッピング以外の目的で使用している人をよく見かける。中にクッションを入れた頑丈なタイプのマイバックは、大きめで通常のレジ袋3袋分ほどの食品が入りそうだ。これを、日本へ帰国の際にお土産にする、という友人がいた。私は親子でのピクニックやビーチへ行く際、お弁当や飲み物を入れるために、このエコバックを愛用している。
Trader Joe’sでは、こんなうれしい企画がある。マイバックを持参すると、商品券がもらえる抽選券をくれる。他社のエコバックでも、かまわない。同社の広報部によると各店舗によって多少やり方は異なるそうだが、私がよく行くカリフォルニア大学アーバイン校の前の店では、「月に1人、25ドルの商品券があたる」そうだ。そういえば、もう何回も応募しているけど1度も連絡がない。そう告げると、「毎回、応募者が多すぎてね」と店員に笑われてしまった。確かに抽選券を入れるバスケットは、かなり溢れていた。これだけ、マイバックで買い物する人がいる、ということなのだ。
同スーパーでは、アライグマのぬいぐるみを店内のある場所においており、それを見つけた子どもには飴をくれたりする。こういった楽しい企画をしてくれるスーパーが、もっと増えるといいと思う。
(注)日本の大型スーパーのような店。生鮮食品、冷凍食品、保存食、日用品、生活雑貨、雑誌や新聞などを販売している。
≪伊藤葉子(いとうようこ)/プロフィール≫
ライター・翻訳者。カリフォルニア大学卒業後、地元の新聞社勤務。日系企業に関する取材記事を英語で執筆。現在では子育てを通じて、別の視点から米国事情を学んでいる。訳書に『免疫バイブル』(WAVE出版)がある。在米14年。
]]>
『各国エコロジー事情』
2008-02-25T00:02:41+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=438332
“エコ症”
『各国エコロジー事情』
文・写真:増本昌子(カナダ・モントリオール)
みなさん、“エコ”していますか?
私は今、“エコ症”にかかっています。私的診断によると“不完全エコ性精神不安定症”となります。症状はこのような場合に顕著に現れます。
症状例1...
『各国エコロジー事情』
文・写真:増本昌子(カナダ・モントリオール)
みなさん、“エコ”していますか?
私は今、“エコ症”にかかっています。私的診断によると“不完全エコ性精神不安定症”となります。症状はこのような場合に顕著に現れます。
症状例1ショッピングタイム
私は週1回大きな買い物をします。野菜、果物、肉類、および日本食品を2時間ほど掛けて3〜4店を回って調達します。ですから帰宅すると20ほどのポリ袋が車のトランクに満載となっています。ポリ袋は環境に悪いからと、マイバッグ・キャンペーンも盛んです。
「私も消費者として環境にやさしく生きようではないか!」と、こぶしを振り上げガッツポーズを取って出かけますが、レジの横にぶら下がっているマイバッグはまたまた見送りとなり、自分的には論理的根拠があると確信しながら、結局ポリ袋に詰め込んで家路に着きます。
20袋もマイバッグを持って歩くのも大変!
毎週20袋のマイバッグを洗うのも大変!
先週お肉を入れた袋に野菜は入れたくない!
もうひとつの選択肢であるマイボックスは、腰痛もちの私にとって許容重量オーバーです。中身の重さも考慮に入れるとするならば、ボックスは30センチ角くらいが限度でしょう。レジ近くに積み上げられている、重量挙げ選手用としか考えられない、巨大ボックスを見るだけで、私の背中は悲鳴を上げ始めます。「ボックスを無料配給します」と言われても使う気になりません。一般消費者にとってポリ袋は、もっとも運びやすい方法といえます。
“エコ”しようと思う心と現実の行動が、なかなか直結しない結果、溜まったポリ袋をリサイクルに出す時、挫折感と共に“エコ”を強要されている不満が頭を過ぎり叫びたくなります。「マイバッグを強要する前に、微生物で分解されるポリ袋を使って欲しい」
症状例2クッキングタイム
いつも行くマーケット形式の八百屋で買いそびれ、近くのスーパーに行くと必ず生じる問題で、こちらの症状のほうが後をひくようです。
それは、食品の受け皿として付いてくるポリスチレンパッケージのほとんどが、リサイクル出来ません。パッケージの裏に記されている番号を確認すると、ほとんどがゴミ箱へ“ポイ”タイプの6番です。
下のサイトを見てください。
私の住む町のリサイクルに関する通知です。 (英語とフランス語)
リサイクルできない物として、ハードプラスチック“6番ポリプロピレン製ハードプラスチック”、ソフトプラスチック“ストレッチプラスチック;つまりラップ”とあります。これが問題で、トレイの裏にはいろいろな番号がいくつも印刷されているくせに、肝心の三角リサイクルマークの中は6番です。
食品パッケージはすべて、防水性がある6番プラスチックのトレイを使用しラップでカバーされています。マーケットと異なりスーパーでは、品質管理、衛生管理、盗難予防、防犯予防と、あらゆる障害を乗り越える為、商品は完全防備です。本音は、いいとこ取りされず、万遍なく売りつくしたいスーパーの見解から、すべてをパッケージ化しているのに違いありません。
スーパーのブロッコリーを食べることにより、ラップとプラスチックトレイのゴミがおまけとなってついてきます。そしてそのゴミ処理の責任は消費者が負うことになります。また、木の箱も持って行ってくれません。みかんの箱の写真を見てください。この箱もゴミとして捨てなければなりません。せっかくモロッコからはるばるみかんを運んで来たのに。
エコ意識を持てば持つほど、不燃焼と言うか、思うように“エコ”出来ないことへの欲求不満が募ります。エコロジーが社会的問題ならば、流通業者が率先して研究開発し、消費者がリサイクルできるポリトレイを使って欲しい。
≪増本昌子(ますもとまさこ)/プロフィール≫
モントリオール在住。パン作りが高じて昨年暮れブレッドメーカーを衝動買いしてしまった。家に帰って気がついた。毎回3ポンドのパンを作って誰が食べるの?私は自称ニクタリアン(注:つまりアトキンズダイエット)でパンは食べない。娘も母も少食ならぬ微食。かくして我が家の冷凍庫には、コルネパン、ハムパン、レーズンパン等が熟睡している
]]>
『各国エコロジー事情』
2008-02-25T00:00:12+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=426005
孵化寸前のアヒルのたまご、ホビロン(ベトナム)
『こんなもの食べる?』
文・写真:平林豊子(日本・東京在住)
「孵化寸前のアヒルのたまご、“ホビロン”がウマイよ。あれは絶対に食べておくべき!」
ベトナム旅行に行く前に、旅人仲間から得た情報である。現地においては現地のものを、を基本としている私と...
『こんなもの食べる?』
文・写真:平林豊子(日本・東京在住)
「孵化寸前のアヒルのたまご、“ホビロン”がウマイよ。あれは絶対に食べておくべき!」
ベトナム旅行に行く前に、旅人仲間から得た情報である。現地においては現地のものを、を基本としている私と相方は、「それは珍しい。ぜひ食べておかねば」と食べたいものリストのひとつに数えて、それは楽しみにしていた。
ベトナムでは首都ハノイから南のホーチミンまで下っていったが、なかなかホビロンにお目にかかれない。ベトナム一の都市、ホーチミンならばきっとあるのだろうと気楽に構え、ホーチミン入りしたものの、やはり、どこにも見当たらない。
市場では、“鶏をゲージに入れずに売ってはだめ”、だとか、“たまごをむき出しで売ってはだめ”、といった看板が目に付く。「むむ、ひょっとして鳥インフルエンザの影響でホビロンも消えてしまったのか!?」という懸念がむくむくと頭をもたげてくる。
市場でショッピングをし、近くにあったきれいなレストランに珍しく入ったら、英語のメニューが置いてあった。そして、そこにはアルファベットで“ホビロン”と読めるメニュー名が!
「おお! ついに発見か!」と相方と喜び合い、オーダーすると、果たして答えは「今はやってない」なのであった。理由を尋ねると、「Because of sickness」だという。要するに、鳥インフルエンザ流行の影響で自粛中なのであろう。
あちこちで「ない」と言われ続けてもうあきらめかけていた頃、ハマグリを肴に一杯やろうと、前に蒸しハマグリを買った屋台にまた出向いてみた。すると、小汚いガラスケースの中に、たまごらしきものの姿が見えるではないか!
……「ホ、ホ、ホビロン!?」。たまごを指差す私。
「イエス」。うなずく屋台のオバちゃん。
あったぁ〜〜!! 念願のホビロン、ついに発見だ。さっそく相方とひとつずつオーダーし、テーブルに着く。たまごに触れるとじんわりと温かい。オバちゃんがたまごの頭をコンコンと叩いてヒビを入れ、上のほうだけ上手に殻を取ってくれた。そこまではよかったのだが、ホビロンの中の汁をたまご立てにあけてコショウを振り、さあ飲め、という。予想外の展開に面食らいつつ、スープにそっと口を近づけてみる。鳥だからダシは出ているのだろうが、なんだか生臭い気がして気持ちが悪い。相方はウマイウマイと全部飲み干してしまった。
さあ、次はいよいよ中身へ突入だ。黄身の部分はゆでたまごと同じような感じで普通に食べられる。しかし、問題は白身である。いかんせん見た目がグロい。孵化寸前なため、羽がすでにできあがっている。内臓が見える。血管も走りまくっている。しかもすべてがぬらぬらと濡れて気味悪く光っているのだ。
暗がりの中、屋台のオレンジ色の灯りに照らされて浮かび上がるその濡れた血管やら羽やらのグロテスクさにすっかり恐れをなしてしまった私。ふた口ぐらいは口にしたが、食感もアウト。これは羽だ……と舌が判別できるので、気持ち悪さが先に立って飲み込めないのだ。完敗である。
一方、相方は一応「グロいな〜」などと言いはするものの、全部食べている。なんてやつだ、どこでも生きていけるなコイツ、とあきれた目で相方を見やる私。しかも、レストランのお兄さんは、「あんなもの僕たちは食べないよ! 男が食べるもんじゃないよ」なんて言っていたのに。
すっかり試合放棄してグッタリしていた私のところに、宝くじ売りのおばあちゃんが来た。「外国人なんだからクジなんていらないよ〜」と断っても、ベトナム語で何やらしつこく言ってくる。そのときに、「ホビロンは女性に人気がある」とレストランで聞いたのを思い出した。私の食べかけのホビロンを指差し、食べる?とジェスチャーで聞いてみる。おばあちゃんは嬉しそうににっこりとし、その場にしゃがみこむと、あっという間にきれいに食べ尽くしてしまった。たまごを逆さまにして、最後に残った汁をすすることも忘れずに。
ちなみにこのホビロンのお値段は、ひとつ3000ドンだった。日本円にしてわずか23円である。23円でこのホラー的エンターテイメントが楽しめるのであれば、たとえマズいとしても(少なくとも私にとっては)、体験してみる価値は大ありだといえる。みなさんも、ベトナムにお出かけの際にはぜひ試してみてはいかがだろうか?
私は、もう、遠慮しておきますが……。
≪平林 豊子/プロフィール≫
旅するエディター&ライター。年に一度、ひと月の休みをとって旅に出かけることを楽しみにしている。現在、アジアンテイストなファッションが好きな人のための『WE LOVE ASIAN FASHION』という本を編集・執筆中。2008年4月4日発売予定。
]]>
『こんなもの食べる?」
2008-02-10T03:38:52+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=425948
野山の恵みで商売
『こんなもの食べる?』
文・写真:うえのともこ(ネパール・カトマンズ在住)
子どもの頃、レンゲを摘んだり、花の蜜を吸ったりして草花での遊びを楽しんだ。カラスノエンドウは、さやえんどうのミニ版で赤紫の小さなかわいい花が目印。細いさやから中の豆を取...
『こんなもの食べる?』
文・写真:うえのともこ(ネパール・カトマンズ在住)
子どもの頃、レンゲを摘んだり、花の蜜を吸ったりして草花での遊びを楽しんだ。カラスノエンドウは、さやえんどうのミニ版で赤紫の小さなかわいい花が目印。細いさやから中の豆を取り出し、筒にしてピーピー笛のように音を鳴らして遊んだものだ。どんぐりをおままごとの食材に見立てて遊びながら、どんぐりを食べたらどうなるだろう?食べてみたいな、なんて考えていたけれど。
あれから数十年。遊びに使っていたカラスノエンドウとどんぐりがネパールではおやつとして食べられているのを見て、驚くことになろうとは。
草刈りしてきたまんまと思しき草の束をおばちゃんが道端で販売しており、それを大人も子どももごっそり買って、草に潜んでいるさやをちぎっては、中のちっこい豆を数粒取り出して口に放り込んでいる。それらはもちろんわざわざ栽培されているものでなく、紛れもない雑草だ。あれはヤギや牛のえさではないの? 動物や人間の排泄物なんてひっかかってはないかしら? さやの中ならきれいなもんか? 疑問がグルグル巡る。
春祭りで賑わう古都で一休みしていると、横に腰掛けた若者が親切にそのカラスノエンドウを子どもに手渡してくれた。うれしそうに食べる子ども。「ハイ、ママにもね!」「えっ、あ、ありがと」口に入れると新鮮な青臭さのなかにもほのかな甘みがあって意外にもイケる!
さて、どんぐり。これまたこちらじゃ立派な(?)おやつで、殻を剥いては生でボリボリ食べる。子どもらと日向ぼっこをしていたら、義姉に「ほれっ、食べろや」と渡された小粒のそれ。子どもらも義姉も口に放り込んでいる。 大人も食べるの?食べてもいいのね?
どんぐりはアクが強く食べると腹を壊すと聞かされていたので、かなりおっかなびっくりで。決してうまいものではないけれど、食べ物がなかったなら、まぁ食べるのかな、といった感じ。
秋祭りのシーズンが近づくとコケモモを売る人たちが増える。これも森で採集してきたアイテム。新聞紙を円錐に丸めたカップに盛り、以前紹介したビレヌン(紫岩塩) を振りかけてくれる。
日本では売っていないこんな野山の実り。これらを美味しいと思える味覚を持っていることは、人工加工品に毒されていないピュアな味覚を維持していると言えよう。しかし食べるという事実より、なんでも商売になっちゃうことに驚きと感心する次第。
≪うえのともこ/プロフィー ル≫
ネパール語ではどんぐりと栗という単語は同一で区別がない。栗を食べたい、と言うと夫に街角で売られているどんぐりを見せられ「これではないのよっ!」と怒り半分で力説したことも。韓国のどんぐり料理「ムッ」とやらを一度食べてみたい。 「ネパールの達人」 としてブログで情報発信している。
]]>
『こんなもの食べる?」
2008-02-10T01:01:18+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=425941
「ジーミーカンドの正体は?」
『こんなもの食べる?』
文:冬野花(ニューデリー・インド)
八百屋の屋台に、いつも妙に気になる野菜があった。それは見た目がかなりグロテスクで、ボコボコした茶色の塊。大きいので切り売りしているのだが、切ったあとの断面は糸が引くほど粘っこい。
...
『こんなもの食べる?』
文:冬野花(ニューデリー・インド)
八百屋の屋台に、いつも妙に気になる野菜があった。それは見た目がかなりグロテスクで、ボコボコした茶色の塊。大きいので切り売りしているのだが、切ったあとの断面は糸が引くほど粘っこい。
気になりながらも見てみぬフリして1年くらい過ごした頃だったろうか。とうとう私は一緒にいた友人に「ねぇ、これって何?」と、聞いてみたのだ。すると彼は「これは、ジーミーカンド。英語ではエレファントフットって言うんだけど」と教えてくれ、「食べてみる?」と聞いてきた。確かに言われてみれば、まるで象の足のよう。その見かけにかなりビビっていた私は、不味かったら困るな、なんて一瞬思ったのだが、彼にそれで料理を作ってもらうことにした。
買ったジーミーカンドを切り始めた彼が言うには、「ナマの時のネバネバは、手につくと石鹸で洗っても簡単にはとれない」のだそうだ。確かに彼は、手にビニールをかぶせて切っている。しかも強力な粘り気のせいで、切るのにそうとう力がいるらしく、体重をかけている。こんなものが食べれるの? いったいどんな味と食感なのか、この時点では予測不可能であった。
さて、1センチ角程度のサイコロ状に切ったら、次にどうするのか? 油で揚げるのである。するとネバネバがなくなり、食べられる状態になるとのことである。そして、それをカレーの具にして食べるのだそうだ。だが、待てなくなった私はカレーに入れる前に、きつね色に揚がったジーミーカンドをそのまま食べてみた。
すると……お、おいしい〜! おいしいといっても、それ自体には特に味がなく、かなり淡白。だが、とてもホクホクした暖かい感じだったのだ。「なんだ、おいしいじゃん!」ネバネバも完全になくなっており、あの見かけからは想像もできない味だった。もちろんその後、カレーにして食べても非常に美味だったことは言うまでもない。
ところで、このストーリーには後日談があるのである。ジーミーカンドにちょっと感動してしまった私は、インターネットでいろいろ情報を探してみたのだ。そして得た驚きの結果は……、なんとジーミーカンドとは、こんにゃく芋のことだったのだ! 思えば、今まで“コンニャクはこんにゃく芋から作られる”という事実は知っていたものの、こんにゃく芋は見たことがなかった。
「1年間も気になっていたあなた、こんにゃく芋だったのね。しかも、インドでも食されているなんて思いもよらなかったわ」
≪冬野花 (ふゆのはな)/プロフィール≫
2004年夏よりニューデリーに単身在住。ヒンディー語をしゃべりながら暮らす。フリーライターとして活動しながら時間を見つけてはインド国内旅行をする日々。夏は最も魅せられているヒマラヤ方面、冬はポルトガル植民地時代の面影が残るゴアがお気に入り。旅ルポ、アーユルヴェーダ、ヨーガに関しての執筆も得意。 ホームページ
]]>
『こんなもの食べる?」
2008-02-10T00:03:46+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=413238
パリ、1月、真冬の路上で芽生える恋
『ところ変われば……』
文・写真:夏樹(フランス・パリ在住)
フランスでは、この1月1日から、バーやレストラン内での喫煙が禁止されるようになった。15年程前、駅構内や仕事場が禁煙になって以来の、厳しいお達しだ。
最近、フランス映画50年代の名作...
『ところ変われば……』
文・写真:夏樹(フランス・パリ在住)
フランスでは、この1月1日から、バーやレストラン内での喫煙が禁止されるようになった。15年程前、駅構内や仕事場が禁煙になって以来の、厳しいお達しだ。
最近、フランス映画50年代の名作、ゴダールの『勝手にしやがれ』を、20年ぶりに見た。学生時代、夢中になって見た映画だ。ジャン・ポール・ベルモンドのタラコ唇からだらりとぶらさがるタバコの煙で、画面が煙っていた。そう、あの頃見た映画で、タバコをくわえていないスターなんていなかったのだ。彼らが両切りの太いジタン(写真参照)を箱から出すときの手つき、火を点けるときに撓う(しなう)うなじ、そんなすべてが、私にとっては「憧れのおフランス」だった。
「タバコを吸えば大人の女になれる」と勘違いしていた私も、その頃は、かなりのチェーンスモーカーだった。禁煙に踏み切ったのは、その後、育児をするようになってからだ。時を同じくして、フランス政府は禁煙政策をとるようになり、映画の中でも、タバコが小道具として使われるようなことは少なくなった。煙で霞んだような映像も時代遅れになったのか、今は、ガタガタ揺れる画面が流行っている。
昨日、友達の家に食事に行った。デザートに入る前に、ミッシェルは早々と席を立ち、コートを着込んでいる。
「もう帰るの?」と聞くと
「ううん、ちょっと吸ってくる」と言って、ポケットからタバコの箱をちらりと見せ、彼女はベランダに姿を消した。
テーブルを囲んで、たちこめる煙に煽られるようにして、口角泡を飛ばして議論することもなくなったのだ。喫煙者は、音をたてず、ひっそりと外に消える時代になった。私も、元喫煙者だ。食事のあとの一服の味が格別なのは忘れていない。わざわざ外に出て行く彼女が不憫で、声をかけた。
「でも、外に行って吸うのって、やっぱり不便じゃない? とくにこんな寒い時期に、コート着て、帽子被って、手袋はめてなんて、準備するだけで面倒だし」
「でも、楽しいこともあるのよ。昨日、バーに一杯飲みに行ったんだけど、結局、喫煙者だけ追い出されるから、グラスもって外に出て吸うわけ。そうすると、深夜の路上には、喫煙者だけの水入らずの親密さっていうのができるのよ。知らない人でも、『火ある?』っていうのが合い言葉で、すぐ、仲良くなっちゃうの。だから、この1月1日以降にタバコを縁に知り合ったカップルっていうのが多いんだって。私も別れたばっかりだから、いい男に会えたらいいなって思ってるんだ!」
真冬の深夜、零下1度に冷え込むパリ、バーの前の路上は、迫害されたマイノリティーがたむろする悲しい場所ではないらしい。それどころか、新しい恋が芽生える、とっておきの秘密クラブらしい。
≪夏樹(なつき)/プロフィール≫
フリーランスライター。在仏約20年。パリの日本人コミュニティー誌「ビズ・ビアンエートル」や日本の女性誌に執筆。
]]>
『ところ変われば……』
2008-01-25T00:01:24+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=413231
中国トイレット・トレーニング事情
『ところ変われば……』
文・写真:長 晃枝(東京・日本)
よちよち歩きをはじめた子どもが、おぼつかない足取りで歩く姿はなんともほほえましい。その愛らしさを際立たせるのが、おむつでモコモコにふくらんだ大きなおしり……だと思っていた。中国の子どもたちを...
『ところ変われば……』
文・写真:長 晃枝(東京・日本)
よちよち歩きをはじめた子どもが、おぼつかない足取りで歩く姿はなんともほほえましい。その愛らしさを際立たせるのが、おむつでモコモコにふくらんだ大きなおしり……だと思っていた。中国の子どもたちを見るまでは。
歩きはじめる年頃の中国の子どもたちのおしりは、日本はもちろん、私の知る限りの多くの国の子どもたちのおしりと違い、かなりすっきりしている。それもそのはず、おむつはおろか、パンツもはいていないのだから。おまけにズボンの股にも大きな穴があいていて、かわいいおしりが丸出し状態なのだ。
もちろん、お兄ちゃんやお姉ちゃんのお古で穴あき、というわけではない。もよおしたらすぐに用が足せるように、というわかりやすい構造なのである。そう話には聞いていたが……実際にその姿を目の当たりにしたときはやっぱり目が点になった。
確かに合理的ではあるが「おしりは隠すように」と育てられた日本人のワタシとしては、どうにも違和感を覚える。何度見ても、自分がおしりを出しているわけでもないのに、なんだかスースーするような気がして落ち着かない気分になるのだ。
それに、子育て経験者としては、衛生状態がよいとは必ずしも言い切れない中国のこの環境で、まだ抵抗力の弱い幼い子どもがおしりを出していてバイキンが入ったりしないのか、おなかが冷えて下してしまうのではないか、寒くて風邪をひいたりしないのか、と余計な心配ばかりが頭をよぎる。
しかし、当の子どもたちはいたって快適な様子。実際に用を足すところも見かけたが、たしかにすこぶる便利であることは間違いない。おまけに、自分で用が足せるようになるのも早いらしい。といっても、子どもなら道端でも、ヘタをすると列車の中でも、ところかまわず用を足しても許されるという文化のなせる業でもあるのだが。
そんな天真爛漫な子どもたちを見て「私は娘のおむつはずしにそれなりに苦労したんだけどなぁ……」とちょっと遠い目になった。まぁ、そもそもおむつをしていないのだから「おむつはずし」とは言わないのだろうが……。
中国の風景の中では、おむつでモコモコではなく、丸出しのおしりのよちよち歩き姿もまたかわいいもの。なんとか写真におさめたいと常々思っていたが、これがなかなかむずかしい。カメラを向けると、たいていの親はこちらに最高の笑顔をむけるように仕向けてくれるのだ。まさか「そのおしりが撮りたいんだけど……」と言うワケにもいかず、満面の笑顔の親子のツーショットを撮ることになってしまう。あるいは、写真を撮られることをひどくうとまれる場合もある。
おまけに、北京や上海などのすっかり都会化した中心部では、さすがにこんな姿の子どもに出会う機会は少ない。おしゃれな若夫婦に抱かれた子どもは、もちろん穴あきズボンではなくファッショナブルな子ども服をまとっている。庶民的なエリアでは、今も穴あきズボン姿を見かけることはあるが、そこから紙おむつがのぞいていることもしばしばだ。
しかし、この夏に訪れた平遥で、ついにかっこうのフォトジェニックに出会った。リンゴをかじりながら、お父さんと散歩していた彼女はとても人懐っこく、最高の笑顔で近寄ってきた。そして、カメラをかまえるワタシの周りを、穴あきズボン姿でひとしきり歩き回ってくれたのだ。平遥は世界遺産に指定されている古都。歴史ある町並みを背景におしり丸出しで楽しそうに歩く姿は、いかにも大陸的なおおらかさにあふれていた。
≪長 晃枝(ちょう あきえ)/プロフィール≫
フリーランスエディター&ライター。娘たちも自分のことは自分でできるようになったので、ハハは世界を駆け巡る……はずが、ガイドブックを手がけることになってしまったこのごろは、もっぱら東アジア行脚の日々。メインテーマである食べモノと旅モノを追及するにはうってつけだが、たまには自分のためのオシャレな旅にも行きたいなぁ。
]]>
『ところ変われば……』
2008-01-25T00:00:17+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=402352
イネ・畑・競馬ウマ?!世界中を駆け巡る婚家先の珍名度!
『国際結婚・笑える名前』
文:澤野 禮子(オランダ・アムステルダム市在住)
婚姻を機に、苗字をオランダ姓に変えたのは今から10年ほど前になる。どうも、農業関連の名前と縁があるようで、私の旧姓はイネに因む苗字であるし、婚家先名は和訳すれば「高台のだだっぴ...
『国際結婚・笑える名前』
文:澤野 禮子(オランダ・アムステルダム市在住)
婚姻を機に、苗字をオランダ姓に変えたのは今から10年ほど前になる。どうも、農業関連の名前と縁があるようで、私の旧姓はイネに因む苗字であるし、婚家先名は和訳すれば「高台のだだっぴろい畑」だ。この高台の畑なる姓が、これほどの誤解と混乱を招くとは当時予想すらしていなかった。
オランダでは結婚と同棲が法的にも同等である。従って、敢て婚姻を理由に姓を変更する女性はまずいない。生涯、持って生まれた名前で通すオランダ人女性が殆どである。外国人の私は、自分の意志で姓の変更を行ったわけだが、これがまたオランダ人たちには、稀有にうつったようである。変更届けを提出した市役所の役人が、申請書を見るなり、息せき切ったように言ったセリフがそれを物語っているといえるだろう。
「いやはや、わざわざ地球の裏側からやってきて、オランダ人と結婚したとは!苗字まで変えたいって? 何と奇特なこった!それはそうと、一体どこでお2人は知り合ったんです?」
事務的な処理は二の次三の次、といった按配だったので、馴初めを報告しに市役所に出向いたようなものだ、と苦笑せざるを得なかった。
以来、私は法的にもホーフアッカーさん、と呼ばれるようになったのだが、これがまた、やたらと発音が難しい苗字なのである。ホー、で1拍置き、アッの所は喉で唸るようにして響かせ、カーはため息をついて語尾が消え入るように発音するのだ。
この苗字を引っさげて、在蘭日本大使館まで姓名変更届けを提出しに行ったときのこと。苗字を見た館員らの困惑しきった表情は今でも決して忘れられない。日蘭双方の戸籍謄本を、代わる代わるじっくり見直していた2人の館員は、おもむろにこちら側に背を向け、何やらひそひそ声になった。どうやら、私の苗字について話し合っているようだ。
「ああ、これこれ。ホー? 何て読むのこれ?」
「ホー、ハッカー、でしょ」
「え? ハッカー、ってのはまずいじゃん」
「そうだねえ。じゃ、ホガッカーかね?」
「何かさ、競馬ウマみたい」
ホッカー、ホーアガッカー、フーガカー、オウーガッケーア。
変幻自在の珍名に嫁いだ結果となったが、最近では訂正する気力も失せ、どう呼ばれてもよくなってきた。日本語読みを始めとして、英語読み、ドイツ語読み、フランス語読みと、世界中どこを駆け回っても、私の苗字はインターナショナルな珍名であることだけは、変わりないようである。
≪澤野 禮子(本名・かおる ホーフ アッカー)/プロフィール≫
本名を述べると、職業は漫才師か、はたまたマジシャンか、それともコメディアンか?と質問されるようになって以来久しい。最近、ペンネームも兼ねて姓名の変更を行ったばかりだが、その理由はお読み頂いたとおり。
]]>
『国際結婚・笑える名前』
2008-01-10T00:03:41+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=402360
難しすぎる?! ポーランドの苗字
『国際結婚・笑える名前』
スプリスガルト 友美(ポーランド・ポズナン在住)
私が未来の夫と初めて出会った時、苗字を聞いて耳を疑った。聞き取れなかったのだ。スペルを紙に書いてもらい、もう一度発音してもらってやっと理解した。後で聞いたところによると、夫の...
『国際結婚・笑える名前』
スプリスガルト 友美(ポーランド・ポズナン在住)
私が未来の夫と初めて出会った時、苗字を聞いて耳を疑った。聞き取れなかったのだ。スペルを紙に書いてもらい、もう一度発音してもらってやっと理解した。後で聞いたところによると、夫の苗字はドイツ系で、ポーランドでも大変珍しく、スペルミスや聞き直しは日常茶飯事なのだそう。私の旧姓は“伊藤”というありふれたもので、常に珍しい苗字に憧れていたものだが、結婚してそれが現実になったどころか、ポーランドでも日本でもかなり稀な苗字になってしまった。同姓同名の人物に会える確率はゼロに近い。
一時的に日本に滞在することになって、“憧れの珍しい苗字”が苦労のもとに変わった。電話口で何度苗字を繰り返したことだろう。「スイカのス、プリンのプ……」、などと一文字ずつ区切って苗字を説明しても間違われることがしばしば。“スプリット”さん、“スプリント”さんなどと呼ばれる始末だ。
ポーランドの苗字で一般的なのは“-ski(スキ)”で終わる名前。中でも“Kowalski(コヴァルスキ)”という名は“Nowak(ノヴァク)”と並んで最もよくある苗字の一つである。(ちなみに、“-ski”で終わる苗字はポーランドのものだそうで、世界各国で見かける同様の苗字を見れば、先祖にポーランド出身者がいたということになるようだ。)
ポーランドに住み始めてから様々な苗字を目にするようになったが、実は上記のコヴァルスキさんやノヴァクさんにお目にかかったことはあまりない。それよりも面白い苗字が目に留まる。
たとえば、有名人だとテレビアナウンサーの“Lis(リス)”さん。“Lis”とはポーランド語で“キツネ”を意味するのだが、日本でも親しまれそうな名前だ。銀行や病院などで“リスさん”なんて呼ばれたらかわいらしいだろうな、などと想像してしまう。
“Budda(ブッダ)”なんていう苗字も見たことがある。ポーランドは言わずと知れたカトリックの国なのに、“ブッダ(仏陀)”なんて。日本のお寺で名前を書いたら、ふざけていると思われてしまうだろうか。
国際結婚しなければ、気にならなかったであろうカタカナの苗字。日本ではどんなに難しい苗字と思われようとも、私にとっては大切な家族の苗字であり、これからも誇りに思っていたい。
≪スプリスガルト友美(スプリスガルトトモミ)/プロフィール≫
フリーランスライター・翻訳者。東京外国語大学にてポーランド語を専攻。日本文化を専門にするポーランド人の夫と2002年からポーランド在住。大好きなポーランドの児童書に囲まれて過ごす日々を送る。自分が翻訳した児童書を出版する日を夢見て、児童書を含むポーランドに関する情報をホームページやブログで発信中。「友美とヤツェクの宝箱」 夫と共同で運営しているホームページ「poziomkaとポーランドの人々」 ポーランド関連のことを記しているブログ
]]>
『国際結婚・笑える名前』
2008-01-10T00:02:08+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=402380
名前に取り憑かれて
『国際結婚・笑える名前』
文:夏樹(フランス・パリ在住)
夫の同僚に、クレタンさんという女性がいる。クレタンというのは、仏語では「馬鹿、低能」という意味だが、名前とは反対に、彼女は優秀な社会学者だ。
また、うちの隣のアパートには、ネアン氏という...
『国際結婚・笑える名前』
文:夏樹(フランス・パリ在住)
夫の同僚に、クレタンさんという女性がいる。クレタンというのは、仏語では「馬鹿、低能」という意味だが、名前とは反対に、彼女は優秀な社会学者だ。
また、うちの隣のアパートには、ネアン氏という不思議な人物がいる。ネアンというのは「虚無」「無価値」という意味である。「虚無」氏はいつも松葉杖をついていて、アパートの入り口の前で誰かが通るのを待っている。そして、通りすがりの人に頼むのだ。「申し訳ないのですが、身体が不自由なもんで、ドアを開けていただけますか?」ちょっとはにかんだような、薄い笑みを浮かべて。
しかしある日、地下鉄の駅で、ホームに停車していた電車に乗るために、ものすごい勢いで階段を駆け下り、猛ダッシュして来る「虚無」氏を見かけてしまった。松葉杖持っているのに……
この話を、「虚無」氏と同じアパートの住人のひとりにしたところ、彼は笑って言った。
「ばっかだな、本当にあいつが足が悪いなんて信じていたの? 松葉杖がなかったら、誰にも相手にされないような奴さ」
いったいどういう経過を経て、「虚無」氏は身体が不自由な人を装うようになったのだろう? 松葉杖を手にすると、みんなが親切にしてくれて、「存在」することができるようになるのかしら? そう考えると、もし、彼が「虚無」なんていう名前でなかったら、別の人生を歩んだかもしれないと考えざるをえないのだ。
ネアン氏のように名前に乗っ取られる人もいれば、クレタンさんのように名前を超える人もいる。しかしどちらにしても、名前に取り憑かれた人生であることに変わりはない。
私の本名は咲耶だ。古事記にある「木の花咲耶姫」に由来するにもかかわらず、こどもの頃は「さくやはくさい」といって、囃(はや)し立てられた。フランスに来てからは、「さく」というのがフランス語では男性の身体の一部をさすことから、さんざん笑われた。
「その名前、フランス風に変えたら?言いにくいし、憶えにくいもん。『サビーヌ』とか?」こう勧められたことがある。
私の中に、憤りのようなものがこみ上げた。夫のはなしを思い出したのだ。「うちのおばあちゃんは、女中さんはみんな、『マリー』って呼んでいた。たかだか女中の本名なんて憶えるに値いしないって言ってね」
「なめてもらっちゃ困るわ。あんたたちが憶えやすいようにって、自分の名前を変えたりなんてしない!」
気がついたら、私も名前に取り憑かれて、「困難な人生」を選んでいた。「サヤカ?」「サキヤ?」「セイコー?」と毎回まちがえる輩を相手に、憶えるまで、何度でも「サクヤだったら!」と繰り返す毎日を。
≪夏樹(なつき)/プロフィール≫
フリーランスライター。在仏約20年。パリの日本人コミュニティー誌「ビズ・ビアンエートル」や日本の女性誌に執筆。
]]>
『国際結婚・笑える名前』
2008-01-10T00:00:29+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=387838
「金は禁!?出る杭だって絶対に打たれないオランダ」
『日本の常識は世界の非常識?』
文:澤野 禮子(オランダ・アムステルダム市在住)
「沈黙は金」、という言葉がある。やたらと無駄に喋るよりも、黙っていたほうがずっと、相手に威圧感を与え、説得力を感じさせる効果がある、という意味らしい。
し...
『日本の常識は世界の非常識?』
文:澤野 禮子(オランダ・アムステルダム市在住)
「沈黙は金」、という言葉がある。やたらと無駄に喋るよりも、黙っていたほうがずっと、相手に威圧感を与え、説得力を感じさせる効果がある、という意味らしい。
しかし、だ。「ここは黙って」とか、「減らず口をきかず」といったような、日本でだったら当然のことが、オランダでは全く通用しないのである。
初めてオランダに来た年の暮れ、配偶者の家族とクリスマスの食卓を囲んだ時のことだ。まずオードーブルが運ばれてきて、それでは静かに頂きましょう、などとかしこまっていたのは私だけ。開口一番、皿の上に乗った食材の吟味と品評が始ったのである。エビの大きさが皿のサイズに合っていない、アボカドの色が悪い、塩加減はどうだ、思ったよりもまずい、などなど、彼らにとっては、食するよりも批評を述べるほうが重要らしく、機関銃の如くに各人が勝手に喋りまくるという具合である。大声のモノローグ、とでもいおうか、誰もお互いの意見に耳を傾けたりはしない。ただ勝手に、自分の思いつくままを怒涛の如く吐き出しているだけなのである。
会話とは、ピンポンとかテニスに似ていて、相手が打ったらこちらが受け返すものだ、などというのは、オランダ人同士の会話では皆無である。常識をここまで覆した非常識があったということを悟った出来事であった。
親しい家族内でもこの調子だからして、赤の他人と会話を交わすともなれば、更なる覚悟が必要となる。オランダ人は概して相手の言い分を絶対に聞かない。わが意見こそ正当だと、限りなくゴリ押しをする。彼らにとって、自分の声は神の声。従って、オランダ人を説得したり、言い合いをして打ち負かすことはまず不可能なので、避けるか逃げるかをしたほうが無難、といえよう。
そこで、オランダ人である配偶者に尋ねてみた。
なぜ、オランダ人は人の話を聞かず、自分の意見ばっかり述べているのか? と。
「沈黙しているってことは、この国では隠し事をしていることに通じるからさ」
つまり、多くの人と一緒にいる場において沈黙を守ったり、意見も述べられないような人というのは、”隠し事の多い、疚しい人物”と見なされるのだそうである。
かつて長崎の出島に出入りしていた蘭学者だかが、実際にオランダ人たちが喋りあっているその様子を目の当たりにした際、その騒がしさにたまげたそうだが、それも然り、かもしれない。
ただやたらと耳障りな言葉を、大声で怒鳴りあっているに過ぎない、と江戸時代の日本人が評していたことを、平成に生きる私も、全く同じに感じているからである。
教訓・オランダでは、沈黙とは、あくまでも禁。
≪澤野 禮子 (さわの れいこ)/プロフィール≫
フリーライター。日本とは何もかもが正反対、といわれる国オランダに住み、早12年。水を得た魚、とまではいかなくとも、エサを得て、この国を自由に泳ぎまわっている。
]]>
『日本の常識は世界の非常識?』
2007-12-25T00:03:43+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=387831
「沙漠の国のガーデニング」
『日本の常識は世界の非常識?』
文:郷らむなほみ(オンタリオ州・カナダ)
イラク戦争に伴う日本への退避帰国を終え、滞在先の名古屋を出発したのは梅雨の真っただ中。久しぶりの我が家に戻ったら、すっかり夏! というサウジアラビア・リヤドの気温は、既...
『日本の常識は世界の非常識?』
文:郷らむなほみ(オンタリオ州・カナダ)
イラク戦争に伴う日本への退避帰国を終え、滞在先の名古屋を出発したのは梅雨の真っただ中。久しぶりの我が家に戻ったら、すっかり夏! というサウジアラビア・リヤドの気温は、既に40度を超えていたのでした。殺風景なウチの庭に色が欲しいと思っていたのに、この暑さではペチュニアも一晩でドライフラワーになってしまいそうです。
そういえば、外出時に車の窓から見た街路樹は元気がなく、草木は茶色い葉を付けています。えーっ! 夏は植物が枯れちゃうの? 夏枯れ? と、軽いカルチャーショックを受けたのでした。
リヤドは内陸部で、夏場の気温はとても高く、庭にデジタル温度計を置いているご近所のマダムは、最高気温が50度を超えるかどうか、毎日嬉々としていました。それでも、ドバイやアブダビといった沿岸部の都市とは違い、湿度は限りなく低いのです。湾岸地方では、エアコンの効いた建物から外へ出ると、一気にメガネが曇ってしまいます。足元が見えず、つんのめって転びそうになってしまったことも度々でした。その点、リヤドはどんなに暑くてもカラッとして快適。まとわりつくような湿った空気、さっきシャワーしたばかりなのにすぐまた汗が滝のように吹き出して来る、などということはありません。
9月になると、ずいぶん気温が下がるようになり、10月はすっかり秋。日中の最高気温は30度くらいです。そうなると、植物は元気を取り戻して、ぐんぐん成長していきます。プラントスーク(植物の市場)が賑わうのはこのころです。毎年、今年こそは枯らさずに上手に育てようと思っても、メイドさんのいない我が家は、長期休暇で出かける度に水やりができず、結局は秋がやって来る度に新しい鉢を買うことになってしまうのでした。
クリスマスまで2ヵ月程だと思うと、ちょっとツリーを探してみたくなります。が、イスラム教が国教のサウジでは、異教徒の象徴であるクリスマス関連の品物は公には販売されておらず、クリスマスツリーも御法度。特にクリスチャンではなくても、時季的な反応なのでしょうか、ないと余計に欲しい! さりげなくそれっぽい、“なんちゃってクリスマスツリー”をゲットして玄関に置き、赤い小さいリボンをたくさん飾ります。ホワイトクリスマスとは無縁の地ですが、それなりに工夫して季節感は出せるのだと思いました。
ガーデニングは冬のお楽しみという、アラビア半島の暖かい冬が懐かしい今日この頃です。
≪郷らむなほみ (ごうはむなおみ)/プロフィール≫
フリーランスライターで転勤族の妻。2003年〜2007年夏まで、4年8ヵ月をサウジアラビアの首都リヤドで過ごした。最初の年は気合いを入れてガーデニングに勤しむも、翌年の春が来たら一気に死滅してしまった庭の鉢植えに絶句。その年の冬に日本風石庭を造って、残りの任期は手間要らずになった。数十年ぶりの厳冬というカナダで、毎日雪かきに追われている今日この頃……。
]]>
『日本の常識は世界の非常識?』
2007-12-25T00:00:44+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=372367
「遊牧民のもてなしって……」
『こんなもの食べる?』
文:郷らむなほみ(オンタリオ州・カナダ)
「遊牧民のもてなしって…」
アラビア半島で沙漠の民の栄養補給といえば、ウルトラ高カロリーのデーツ(ナツメヤシの実)だと言われている。まるで日本の干し柿のような甘さ、どんなに頑...
『こんなもの食べる?』
文:郷らむなほみ(オンタリオ州・カナダ)
「遊牧民のもてなしって…」
アラビア半島で沙漠の民の栄養補給といえば、ウルトラ高カロリーのデーツ(ナツメヤシの実)だと言われている。まるで日本の干し柿のような甘さ、どんなに頑張ったって主食にはなり得ない。では、食事には一体何を食べるのだろうか?
フィールドワークでベドウィンと暮らしたという片倉もとこ氏によれば、普段は野菜中心の食事を取っているらしい。郡部のガソリンスタンドにあるコンビニでも売られている平べったいパンとともに、ヒヨコマメ、オクラやズッキーニといった野菜が食卓に上るのだろう。
日常生活ではベジタリアンの遊牧民も、旅の人や親類縁者などの客人があった時は、大盤振る舞いでヤギや羊といった家畜をほふるのだという。サフランやクローブなどのスパイスで調理された細長ライスの上に、デーンと鎮座して出て来るケダモノの頭!
これだけでもう、インパクトは特大級なのだが、客人には必ず、その眼球が勧められると言うのだ。
うーん。初めてこの話を聞いた時、なかなか過激なもてなしですね……と、卒倒しそうになってしまった。沙漠でよく見かけるつぶらな瞳の子羊ちゃん、あの子のおめめが私の皿に乗るなんて。
幸か不幸か、唯一私たちが招待された時は、どーんと大皿料理が並ぶ大広間に私たちだけ。
先輩駐在員夫婦によれば、家人が誰もいない方が外国人の客はリラックスして食べられるだろう、という計らいなのだそうな。確かに、その心づかいは嬉しいかも。いきなり眼球を大勢の前で差し出されても、それはちょっと困る。
しかしながら、ここでふっと沸き上って来る素朴な疑問。
なぜ、眼球なのか。
思うに、この目玉というのは、ゼラチン質でしかもタンパク質に溢れているのではないだろうか。荒野を長らく旅して来た者が不足しているであろう栄養分を、上手く補ってくれるに違いない。
そして、何しろ眼球は一つの個体に2つしかないのだから、一頭ほふっても2人にしか行き渡らない。貴重な目玉で訪問者をもてなすというのが、アラブ式ホスピタリティーなのだろう。
何ごとも必然があって生じたと思えるアラブの暮らし。
仮にまたサウジアラビアを旅することがあって、もし眼球を出されたら、私は喜んで……夫に譲ろう。
≪郷らむなほみ (ごうはむなおみ)/プロフィール≫
フリーランスライターで転勤族の妻。夫の赴任に強制同行、2003年〜2007年夏までサウジアラビアの首都リヤドに在住した。沙漠のオフロード走行に取り憑かれた元F3レーサーの夫に連れられて数々の沙漠旅行を経験、日本人未踏の沙漠体験多し。沙漠性気候の暑いアラビア半島に土着化しすぎて、極寒カナダの冬に脅えている今日この頃……。
]]>
『こんなもの食べる?」
2007-12-10T00:00:53+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=372364
ピーナッツバター&ジャム・サンドイッチ
『こんなもの食べる?』
文・写真:伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)
子どもの学校のお弁当を毎日作るようになり、情けないがすぐにネタ切れしてしまった。中国系のママさんに、何を入れているか訊いてみた。
「我が家はね、もっぱら“ピーナッツバター...
『こんなもの食べる?』
文・写真:伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)
子どもの学校のお弁当を毎日作るようになり、情けないがすぐにネタ切れしてしまった。中国系のママさんに、何を入れているか訊いてみた。
「我が家はね、もっぱら“ピーナッツバター&ジャム・サンドイッチ”よ」という答えが。このサンドイッチこそ、アメリカの子どもの定番ランチ。下ごしらえは一切なし。料理の腕など関係なし。スーパーで買った普通のパサパサのパンに、ピーナッツバターとジャムをはさんだだけの、シンプルなサンドイッチ。腐る素材を用いていないので、保冷剤は不要。略して“PB&J”とも呼ばれているこのサンドイッチは、日本人にとっての“おにぎり”に近い存在ともいえる。PB&J、バナナ、牛乳という組み合わせは、こちらの子どもの大好物で、週に3回ほどお弁当に登場するようだ。母親には超ラクで、子どもは大喜び。こんなすごいメニューは、なかなかないと思う。
Wikipediaというネット上の百科事典によると、PB&Jは第二次世界大戦中、米兵により考案されたといわれているそうだ。平均的アメリカ人なら高校卒業までに、このサンドイッチを、何と1,500個食べ、卒業後も食べ続ける。職場のランチに、スナックに、朝食に、いつでも気軽に登場する。最初にPB&Jを出されたときのことを、今でも鮮明に覚えている。しっとり感が皆無のパンと中身の甘さに驚き、その素っ気なさのため、無理やり牛乳で流し込んだ。以来、米国在住13年間1度も食べていない。こちらの人は、ピーナッツはたんぱく質を豊富に含むため、“栄養的には問題ない食べ物”と言うのだが。
スーパーの棚には、ピーナッツバターがずらりと並ぶ。
クリーミー、クランチー、オーガニック、トランス脂肪酸なし、と種類もさまざま。
ところが最近では、みんなの大好物PB&Jが、学校から消える可能性が出てきてしまった。Newsweek誌によると、米国では1,100万人が食品アレルギーに悩み、年々増加傾向にある。同アレルギーで特に深刻なのは、最悪の場合死亡にいたる、ピーナッツアレルギーだ。当然ながら、PB&Jを食べられない子どもが増加しているのだ。私の子どもが卒業したプリスクール(注)では、ピーナッツ製品は一切禁止されていたので、PB&Jをお弁当に持ってくる子どもはいなかった。“オールアメリカン・フェーバリット”は、これからどうなるのだろうか?
注:キンダー入学前の子どもが通う学校で、日本の幼稚園に似ている。義務教育ではない。
≪伊藤葉子(いとうようこ)/プロフィール≫
ライター・翻訳者。カリフォルニア大学卒業後、地元の新聞社勤務。日系企業に関する取材記事を英語で執筆。現在では子育てを通じて、別の視点から米国事情を学んでいる。訳書に『免疫バイブル』(WAVE出版)がある。まもなく在米14年を迎える。
]]>
『こんなもの食べる?」
2007-12-10T00:00:51+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=358902
ハイブリッドカーはかっこいい
『各国エコロジー事情』
文・写真:ユカリ・トラビス(アメリカ合衆国・ロサンゼルス)
最近ロサンゼルスでは、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせた低公害車、ハイブリッドカーをよく見かけるようになった。こんなに普及した最大の理由はガソリン価...
『各国エコロジー事情』
文・写真:ユカリ・トラビス(アメリカ合衆国・ロサンゼルス)
最近ロサンゼルスでは、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせた低公害車、ハイブリッドカーをよく見かけるようになった。こんなに普及した最大の理由はガソリン価格の高騰だが、私は他にも理由があるように思う。その一つは皆がそれをかっこいいと思うようになったということだ。
一昔前まで、ロス住民は皆「ハイブリッドカーなんかをトロトロ運転しているのは環境オタク」と思っていた。そんな印象を打ち砕いたのが今年7月に起きたアル・ゴア元副大統領の息子の逮捕事件。24才の彼はロス付近の高速をハイブリッドカーの代名詞とも言えるトヨタ・プリウスで走っていて、交通違反で逮捕されてしまった。世間を騒がせたのはその時のスピードである。彼はなんと時速100マイル(=時速161?)で走っていたのだ。
「ええっ! プリウスって時速100マイルもでるの?」
人々は仰天し、「もしかしたらハイブリッドカーってかっこいいのかもしれない…」と思うようになったのだ。
ハリウッドのセレブリティたちもイメージアップの貢献者だ。パパラッチの情報サイトによると、パリス・ヒルトン、ジュリア・ロバーツ、ジェニファー・ロペス、ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオなどがハイブリッドカーの所有者として名を連ねている。セレブが参加するパーティの駐車場にもベンツではなく、プリウスがずらりと並ぶらしい。今やハリウッドでは「ガソリンをケチりたい人用の車」なんかではなく、「バリバリのセレブ車」なのだ。
実はセレブがこぞって乗る背景には「グローバル・グリーンUSA」という仕掛け人がいる。この環境団体はアカデミー賞やオスカーの授賞式に低公害車で現れる約束をしたセレブの名前を5年前から毎年公表。ビッグイベントがらみの情報はたやすく世界を駆け巡り、大スターにはハイブリッドカーが相応しいとのイメージが定着した、というわけなのだ。
やはり世の風潮というものは、どこかにいる黒幕によって巧妙に操作されているようだ。でも今回はそれが環境団体というのが新しい。私もイメージコントロールに素直に従って、近いうちにプリウスに買い替えようか、などと思うこの頃だ。
トヨタ・プリウス。カリフォルニアのハイブリッドカーには、二人(場所によっては三人)以上人が乗っている車しか通行できない「カープールレーン」を自由に走行できるシールが発行されていたが、あまりにも数が増えたため、現在は発行が中止されている。
≪Yukari Travis(ユカリ・トラビス)/プロフィール≫
ロサンゼルス在住14年目に突入したフリーライター。フード及び子ども関連誌を中心に幅広く執筆活動を続けている。2児の母。最近は特に興味があるのはアメリカの肥満問題、食育、セレブリティの環境問題への貢献など。ホームページ:http://yukaritravis.tripod.com/
]]>
『各国エコロジー事情』
2007-11-25T00:00:18+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=344673
エコロジーおむつ
『各国エコロジー事情』
文・写真:ツムトーベル由起江(キール近郊・ドイツ在住)
オムツでエコロジーといえば、まず思い浮かぶのが「布オムツ」。でも「紙オムツ」でもエコ商品になれる!と果敢にチャレンジしているのがMOLTEX ökoというこのオムツだ...
『各国エコロジー事情』
文・写真:ツムトーベル由起江(キール近郊・ドイツ在住)
オムツでエコロジーといえば、まず思い浮かぶのが「布オムツ」。でも「紙オムツ」でもエコ商品になれる!と果敢にチャレンジしているのがMOLTEX ökoというこのオムツだ。さて、どこがエコロジーなのかというと…?
パッケージを開けてまず目につくのがオムツの色。真っ白ではなく、いかにもナチュラルな薄茶色。このオムツの生産工程では、ダイオキシン発生の原因である塩素系漂白剤を一切使わず、また漂白工程自体も最低限におさえているというのがその理由。ゴミ処理時に有害物質が出ることもなく、工場廃水への環境負担も減らす工夫なのだ。
さて、肝心の原材料はどうだろう。MOLTEX社によれば、50%以上がパルプなどの再生可能な資源とのこと。この再生可能な資源とは、木材や植物性油脂など適切な生産管理を行えば継続的に入手できる資源のことで、原油などの枯渇性資源とは対極をなす。特にパルプについて同社は、森林の維持管理を適切に行う認証を受けた生産者からのみ仕入れるという力の入れようだ。
また、このオムツの大きな特徴は、生分解できる部分が多いこと。カバー部全体と吸収部のジェルの2割、そしてパッケージも、バクテリアや微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解でき、有機ゴミとして処理できる材質なのだ。他社のビニール製パッケージと比べても遜色のない外袋は「空になったら、有機ゴミ用袋としてご使用下さい。このままコンポストに捨てても数週間で分解されます」との表示つきだ。
ひとつだけ残念なのは、このオムツを使用後、有機ゴミとして処理できないことだ。それは、生分解できる材質の使用がまだ100%に至っていないため。この辺り改善の余地はないのか同社広報に尋ねたところ、同様の質問がよくあるそうで「もちろん最終的目標は有機ゴミとして処理できるオムツを開発すること。お客様からも叱咤激励を受けており、依然開発に努力を重ねている」という返事がかえってきた。「環境にやさしく」を徹底するドイツ自然派ママのお眼鏡にかなう画期的なオムツが登場する日もそう遠くないのかもしれない。
≪ツムトーベル由起江/プロフィール≫
レポート・翻訳・日本語教育を行う。1999年よりドイツ在住。NHKラジオジャーナル、MAGAZINE ALCなどで、ドイツの社会面から教育・食文化までレポート。ドイツ人の夫、6歳の長男、3歳の長女、1歳の次女とともにドイツ北部キール近郊の村に住む。趣味は本屋や図書館で楽しいドイツの絵本を探すこと。
]]>
『各国エコロジー事情』
2007-11-10T00:02:24+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=344670
「雨水の利用」
『各国エコロジー事情』
文・写真:あやこ(シドニー・オーストラリア)
オーストラリアは今、全国的に深刻な水不足に悩まされています。ニューサウスウェールズ州では、約8割が干ばつに見舞われていて、穀物や野菜の栽培、家畜の飼育を断念せざるを得ない農家...
『各国エコロジー事情』
文・写真:あやこ(シドニー・オーストラリア)
オーストラリアは今、全国的に深刻な水不足に悩まされています。ニューサウスウェールズ州では、約8割が干ばつに見舞われていて、穀物や野菜の栽培、家畜の飼育を断念せざるを得ない農家もあります。
幸いシドニーでは、十分とは言えないまでも、時々雨が降ります。しかも降る時は狂ったように一週間ほど雨が続くこともあるのですが、同じ日に貯水池のある地域にはまったく降っていないこともあり、全体としては相変わらずの水不足が続いているのです。
そこで恵みの雨を少しでも無駄にしないよう、「レインウォータータンク」というものを家庭に設置することが全国で奨励されています。レインウォータータンクは、水道水が普及していない地域の家庭では、長年愛用されています。大きさは高さ3m、直径5〜6mはあるでしょうか、それを縦にした状態で、新品のタンクがトラックに積まれて運ばれているのを地方で見かけたことがあります。しかし、最近は都市部の住宅にも設置しやすいよう、いろいろな工夫が施されています。レインウォータータンクといえば、通常スチール製やプラスチック製のものが主ですが、最近では住宅の床下に設置できる柔軟性のあるゴム製のものも登場しています。大きさもさまざまで、軒下にすっぽり納まる、省スペース型のものもあります。
雨水の収集方法は次のとおり。屋根に降る雨が、雨どいにつながっているパイプを通ってタンクに流れ込みます。このパイプの入り口にはフィルターがついており、木の葉や虫がタンク内に侵入しないようになっています。タンクにはポンプ機能がついていて、直接ホースをつないで庭の水撒きや洗車はもちろん、タンクからの配水管を整備することにより、トイレやシャワー、洗濯など家庭内のさまざまな場面で雨水を利用することができます。タンクの水を使って、ペットのワンちゃんを芝生の上でシャンプーしながら、同時に芝にも水撒き、などということもできるのです。
許容量、配水管の整備等の規定を満たしたタンクを家庭に設置すると、タンクの費用の一部が水道局から払い戻されることになっています。そして水道局では、水をなるべく使わない洗濯機や食器洗い機を購入するよう推奨しています。オーストラリアで売られている新品の洗濯機や食器洗い機には、「A」のマークがついたシールが貼られていて、その家電が消費する水の量をわかりやすく示しています。Aの数が多ければ多いほど、水の消費量が少ないのです。
家庭での水道水の使用が減れば、水道局へ支払う水道代が少なくなり、数年で元が取れるとはわかっていても、タンクの設置には投資が必要です。そのため、いざ購入となると、なかなか決心がつかない家庭が多いように思います。家庭でのスプリンクラーの使用、水道水の出る蛇口にホースをつなげての洗車、水打ちが禁止されて久しいオーストラリア。各家庭にタンクが普及し、夏の暑い日の夕方に、ほてったコンクリートの地面にタンクの水をホースでたっぷり撒いて、涼を求める人々の姿が見られるようになる日が、いつかはやってくると信じています。
5つ中4つの「A」マークがついている、我が家の洗濯機。全自動型洗濯機よりも、ドラム型洗濯機の方が水の使用量が少ないそうです。ちなみに、洗濯機の左側についているシールは、電力の使用量を星マークで示したもの。
≪あやこ/プロフィール≫
シドニー在住。通訳者・翻訳者。月末になってやっとお湿りがあったものの、先月も平年の3割ほどしか雨が降らなかったシドニー。実は今、外では雷が鳴っています!都市部だけでなく、どうかダムのある地域にも雨が降りますように!
]]>
『各国エコロジー事情』
2007-11-10T00:00:58+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=328582
母親と息子の関係
『ところ変われば……』
文:冬野花(ニューデリー・インド)
ところ変われば母子の関係も変わるものだ。日本では完全に「マザコン」と見なされるであろう光景が、母親と息子の間で普通に見られるのがインドである。
インドには「親離れ、子離れ」という概念す...
『ところ変われば……』
文:冬野花(ニューデリー・インド)
ところ変われば母子の関係も変わるものだ。日本では完全に「マザコン」と見なされるであろう光景が、母親と息子の間で普通に見られるのがインドである。
インドには「親離れ、子離れ」という概念すらないと思われる。人生というものを、私達とは全く異なった観点から捉えているインド人には、この言葉はいくら説明しても、理解してもらえないだろう。これこそが文化ギャップというものだ。親子が、むしろそれを「理想的な事」として、一生ベッタリ依存しあって生きている様は、日本で育った私の目からすると、見ているだけで窒息しそうになる。
例えば、バスや電車の中で、18歳や20歳くらいになった息子が母親の膝枕で眠りこける、母親がいい歳した息子の肩に体をあずけて眠る光景をよく目にする。インド人女性は子供を早く生むうえに、肉体的な老化が早いので、こちらとしては「奥さんだろうか?いや、母親……?」と戸惑うのだが、母親である事が多い。
また、映画などでよく見られるシーンがある。それは、なんらかの不幸の真っ只中という状況(←インド映画では必須だ)で、白髪まじりの母親が、もう完全に大人の息子の胸に抱かれて、さも“か弱いもの”として号泣。母親を胸に抱いた息子も、天を仰ぎつつ、さめざめと涙を流して悦に浸る、といったもの。ヒーローにとって不可欠な “母親思い”という要素を描くために、わざわざ母親を不幸な状況に置いている場合が多いように思えるほどだ。未亡人で体が弱く、そのうえ地主からいじめられており、幸せとは無縁の人生を送ってきた40代後半で白髪まじりの母親、といった風でなければならないわけである。
その他、恋人同士のシーンならうなずけるのだけれど……、といった母親と息子同士のシーンが満載なインド映画であるが、それら描写は私達の感覚からすると“母親思い”を遥かに飛び越え、時には禁断の近親相姦一歩手前に見えることもある。
私はまだ子供を持っていないので想像する事しかできないのだが、将来、大人の男になった息子の胸に抱かれてボロボロ涙を流すなんて、あり得ない気がする。顔から火が出そうだ。むしろ、自分の涙は息子にだけは見られたくないと思っている自分なら想像できるのだが。
母親と息子の関係。各文化において、いろいろな形が見られるものの典型と言えると思う。
≪冬野花 (ふゆのはな)/プロフィール≫
2004年夏よりニューデリーに単身在住。ヒンディー語をしゃべりながら暮らす。フリーライターとして活動しながら時間を見つけてはインド国内旅行をする日々。夏は最も魅せられているヒマラヤ方面、冬はポルトガル植民地時代の面影が残るゴアがお気に入り。旅ルポ、アーユルヴェーダ、ヨーガに関しての執筆も得意。ホームページhttp://fuyuhana.wancoworks.com
ブログ「心の暴風警報」
]]>
『ところ変われば……』
2007-10-25T00:03:38+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=328584
公務員が長期スト!?
『所変われば……』
西川桂子(バンクーバー・カナダ)
カナダで暮らして、早くも13年が経ってしまった。その間、見てきたストの中には、日本で生まれ育った私には信じられないようなものもあった。
例えば、今夏、バンクーバー市の職員がストをした。
へぇ、...
『所変われば……』
西川桂子(バンクーバー・カナダ)
カナダで暮らして、早くも13年が経ってしまった。その間、見てきたストの中には、日本で生まれ育った私には信じられないようなものもあった。
例えば、今夏、バンクーバー市の職員がストをした。
へぇ、公務員の市職員が…と思うかもしれない。
市役所の一部業務が停止している他、コミュニティセンター、スイミングプール、スケートリンク、図書館などの施設は休業。折角の夏休みにも市営プールは利用できなかった。コミュニティセンターで開かれるプログラムも全てキャンセルだ。そして、驚くのは、なんと! ゴミの収集員も参加していることだ。
それも24時間、48時間といった時限ストなどではない。7月下旬からだから、2ヵ月以上だ。図書館などは閉まっていると残念だが、許せる。しかし、ゴミが収集されないのは残念ではすむ問題ではない。市民にとっての一番の頭痛の種となっている。住宅街をまわってくる、民間のにわかゴミ処理業者にお願いしたり、徹底的な分別を行って、食品くずなど悪臭の元になるゴミだけは、冷蔵庫に保管する(!)などして何とかこの数ヶ月、やり過ごした。
2年前には公立学校の先生までストをして、1ヶ月近く学校が休みになってしまった。ゴミ収集が止まったのもこの13年で初めてのことではない。10年ほど前になると思うが、やはり1ヶ月ほど集めてもらえなかった。
公立病院の看護士が数週間にわたり、ストをしたこともある。カナダではクリニック、診療所は別にして、手術や入院をする病院は通常、公立だ。私立クリニックも少数だがあるし、その数はここ数年、増加傾向だと聞いているが、出産時、盲腸の手術など、殆どの人は公立病院を利用する。その看護士がピケを張ってしまった。
病院機能が完全にストップするわけではなく、生命に関わるような治療については対応していた。しかし、その他の治療は、解決するまで後回しだ。知人は運悪くスト中に出産。立ち会った旦那さまが、医師を手伝って無影灯を照らしたと懐かしそうに話していた。
さらに意外なのは、「労働者にはストを行う権利があるから」と容認する人が多いことだ。日本では争議行為など、公務員の労働基本権は制限されているが、カナダで認められている。私の周囲では「まったく人騒がせな!」と怒っているのは、ストに慣れていない日本人ぐらいだ。カナダ人は概して組合員に同情的。学校のストのときには、ピケをはっている先生方に差し入れする保護者もよく見かけた。
カナダのストはとにかく長い。そして、公務員のスト行使権が法律で認められている。
≪西川桂子(にしかわけいこ)/プロフィール≫
フリーランスライター、翻訳者。まっぷるマガジンカナダ(昭文社)、海外女性通信(婦人公論)他、3児の母の立場から、海外での子育てなどについても執筆。実はこのストライキ、悪いことばかりではない。おかげで、市民のコンポスト利用が増えたりと、エコ意識が高まった…という話もいつか書きたい。
]]>
『ところ変われば……』
2007-10-25T00:02:13+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=328527
タマネギ涙で目の浄化
『ところ変われば……』
文・写真:冬野花(ニューデーリー・インド)
インドで生活していて、すでに3人くらいのインド人から言われたことのあるセリフ。それは「あら、タマネギで出る涙は、目を浄化するからいいことなのよ」というものだ。
私がタマネギを切りな...
『ところ変われば……』
文・写真:冬野花(ニューデーリー・インド)
インドで生活していて、すでに3人くらいのインド人から言われたことのあるセリフ。それは「あら、タマネギで出る涙は、目を浄化するからいいことなのよ」というものだ。
私がタマネギを切りながらボロボロ泣いている時にも言われたし、サランラップで目を覆いながらタマネギを切っていた時にも笑われながら言われた。それどころか、以前住んでいた家の大家さんは「ドライアイの時や目にゴミが入った時には、タマネギを切るといい」とまで言っていた。わざわざタマネギを切って、意図的に目に涙をにじみさせるなんて!
そういえば、アーユルヴェーダの施術では、目の中にオイルを流し込む、というものもある。目の中にギトギトのオイルを入れるの?と最初はびっくりするものだ。タマネギで涙の場合は、涙をたくさん流すことによって汚いものを外に排出し、目を潤す、という事だろう。それがケミカルな方法ではなく、タマネギで、というところが自然界の知恵を集結させたアーユルヴェーダが生活の中に生きているインドならではである。
最近では日本でも浸透し始めているアーユルヴェーダという言葉だが、「インド伝承医学」と訳されることが多い。伝承医学とは、民間の間に広まっている、いわば“民間療法・家庭の医学”のようなものであるので「タマネギで涙を流して目の浄化」も、それら一連の療法のひとつと言って差し支えないだろう。(といっても、アーユルヴェーダは、学問としてもしっかり確立されているが)。
インドにいると、さまざまな“民間療法”の知恵が普段の庶民の生活に根ざしているのを実感する。特に、“浄化”や“毒素排出(デトックス)”といえば、アーユルヴェーダの最も得意とするところだ。
日本では“タマネギを切る時のゴーグル”まで売っているというのに、インドではタマネギで出る涙はいいことだなんて、面白い異文化体験だ。
≪冬野花 (ふゆのはな)/プロフィール≫
2004年夏よりニューデリーに単身在住。ヒンディー語をしゃべりながら暮らす。フリーライターとして活動しながら時間を見つけてはインド国内旅行をする日々。夏は最も魅せられているヒマラヤ方面、冬はポルトガル植民地時代の面影が残るゴアがお気に入り。旅ルポ、アーユルヴェーダ、ヨーガに関しての執筆も得意。ホームページ 。ブログ「心の暴風警報」
]]>
『ところ変われば……』
2007-10-25T00:00:41+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=314940
「エスプレット唐辛子(Piment d'Espelette)」
『こだわりの調味料』
文・写真:マイアットかおり(ビアリッツ・フランス)
かわいい小瓶は存在感のある赤と緑の文字のラベルが印象的。これはバスク産の唐辛子。エスプレットはバスク (かつてはバスク国として栄え、現在はフランス南西部とスペイン北西部...
『こだわりの調味料』
文・写真:マイアットかおり(ビアリッツ・フランス)
かわいい小瓶は存在感のある赤と緑の文字のラベルが印象的。これはバスク産の唐辛子。エスプレットはバスク (かつてはバスク国として栄え、現在はフランス南西部とスペイン北西部に分断) でもフランス側の小さな村の地名である。ここでとれる唐辛子はたっぷりの甘みにピリッと辛みが効いて、香ばしい。
フランス料理の中でも特にバスク料理は日本人の口にあうものが多い。そのひとつがこの唐辛子。伝統的バスク料理といえばほとんどこのエスプレット産唐辛子、"ピマン・ド・エスプレット"が使われているといっても過言ではない。肉料理や魚料理の仕上げにお皿の周りをふちどるように、アクセントとしてふんだんに取り入れられている。
単に色づけに使われるだけではない。料理のコクや味の引き立て役としてバスクのキッチンには欠かすことのできない調味料のようだ。バスク料理に使われるトマトのソース、Piperade(ピぺラド)は、普通のトマトソースとどこが違うかといえば、やはりこのエスプレット唐辛子の風味が生きているのだ。バスク料理の定番Poulet Basquaise (バスク風チキン煮込み) にも、そしてあらゆる料理に使われている。
育てたことがある人は分かると思うが、ピーマンは育成がそれほど大変な野菜ではない。ある程度の広ささえ確保できれば、夏にはかなりの収穫が見込める。かといって種が手に入りさえすれば誰でもこの唐辛子が作れるかといえば、それはまた話が違うのである。フランス産ワイン、チーズと同様、唐辛子には原産地呼称統制(AOC : Appellation d'Origine Controlee)が敷かれ、もう日本語では一般化してシャンペンと言われているあの発泡酒も、シャンパーニュ地方のものしかシャンパーニュと呼ぶことが出来ないように、エスプレット周辺地域でつくられたものでなければピマン・ド・エスプレットと呼ぶことはできない。これは原産地と品質を守ろうというフランスが厳しい基準を課している認定システムであり、これをクリアしなければAOCという印をラベルにいれることはできない。逆に言えばAOCラベルのついた製品を買い求めるときは安心してよいのだ。
ところ変れば品変る、できる野菜も土が違えば味も姿も異なってくる。丸みをおびたエスプレット産ピーマンはちょっと大きめで肉厚。畑が違えば辛さも違うようで、それほど辛くないラベルのものもあれば、辛いものもある。最初は日本の辛〜い唐辛子と比較して物足りなく思っていた私も、最近ではどのラベルが辛いか識別できるようになり、辛さが好みのラベルも見つけ、キムチを漬けるのにも使用するほどになった。バスクの人間がこだわりにこだわるこの調味料は、今や私のキッチンにもなくてはならない存在になりつつある。
※こちらはエスプレット唐辛子組合のサイト。歴史、製造、AOCの範囲についてなど細かく掲載されているので唐辛子好きの人必見。残念ながらフランス語のみ。http://www.pimentdespelette.com/wordpress/
≪Kaori Myatt(マイアットかおり)/プロフィール≫
翻訳・フリーライター、新潟県魚沼市出身フランス南西部、バスク地方在住。翻訳はアディダス、アップルコンピュータ、マイクロソフト、スターバックスなど、マーケティングや広告分野をひろくカバー。ポピュラーサイエンス、朝日新聞、ウェブコミュニティマガジン「greenz.jp(グリーンズ)」にも寄稿中。一歩上の英語を身につけ成功を手にする『パワーアップイングリッシュ』 の日本語訳担当。訳書に『トロールと奇跡の指輪』『創造のアトラス』等。
]]>
2007-10-10T00:03:46+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=314934
皇帝やブラームスも愛した岩塩?(オーストリア)
『こだわりの調味料』
文:パッハー眞理 (ウィーン・オーストリア )
オーストリアの一般家庭で欠かせない調味料は、やはりバード・イシェル産のハーブ入り岩塩ではないか?
ローズマリー、バジル、フェンネル、コリアンダー、タイム、パセリ、月桂樹、な...
『こだわりの調味料』
文:パッハー眞理 (ウィーン・オーストリア )
オーストリアの一般家庭で欠かせない調味料は、やはりバード・イシェル産のハーブ入り岩塩ではないか?
ローズマリー、バジル、フェンネル、コリアンダー、タイム、パセリ、月桂樹、などの7種類のハーブを含んだ調味料は、サラダをはじめとして、煮込みにもよし、中華の炒め物にもよしで国際色豊かな全ての料理と相性がいい。
ザルツブルグ近郊のバード・イシェルには岩塩の鉱脈がある。塩分を含んだ鉱泉を利用したオーストリア最古の湯治場だ。ヨードの濃い塩がとれる。そして岩塩を含む飲用温泉水が出るため、"飲む温泉地"としても知られている。もちろん、水着使用なら温泉につかるのも結構だ。
この土地はフランツ・ヨーゼフ皇帝が彼の生涯の殆どを過ごした事で有名だ。皇帝は別荘を建て、皇室専用のチャペルも作らせた。皇帝の行くところには貴族ありで、一帯には優雅な雰囲気がかもし出されていた。また作曲家ブラームスも弦楽五重奏曲第2番,クラリネット三重奏曲などの名曲をこの地で作った。
バード・イシェル物語という私が今回参考にした文献は大ミスをおかしていました。私も首をひねっていましたが、本当に彼はこの地で交響曲は書いていませんでした。さっそく訂正しておきましたよ。ありがとうございました!
私はここ何年もこのハーブ入り岩塩を愛用をしていて、切らすことがない。日本に帰国する際にも必ずトランクに何本かしのばせて行き日本滞在中に料理するときはこっそり利用している。皆に好評である手料理だが本当は私の腕がいいのではなく、7種類のハーブ入りの塩のおかげなのだ。でも家族、友達には調味料のことは特に披露していない。せめて、日本では『オーストリア郷土料理の達人』と思わせておこうではないか。
≪パッハー眞理(ぱっはーまり)/プロフィール≫
ウィーン生まれで東京育ち。ピアノ教師兼ライターとしてウィーンに暮らす。とうとう海外生活は33年目に突入。日本にいた時よりもはるかに外国暮らしが長い。毎日愛犬コッカースパニエルと自然の中を散歩して気分転換をはかっている。UCC上島珈琲、新卒OLを元気にするサイトの特派員もつとめホットな話題を提供している。オーストリアプレスクラブコンコルディア会員。著書 『アウガルテン宮殿への道』ショパン刊がある。
]]>
『こだわりの調味料』
2007-10-10T00:01:29+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=314926
ヒマラヤ岩塩 (ネパール)
『こだわりの調味料』
文・写真:うえのともこ(カトマンズ・ネパール)
妖しく光る黒い塊。
ヒマラヤ奥地で採れる"ビレヌン"とは「太古の塩」を意味する紫岩塩だ。その名の通り数億年前の海水が、マグマによって熱せられ出来上がったものと言われている。かつ...
『こだわりの調味料』
文・写真:うえのともこ(カトマンズ・ネパール)
妖しく光る黒い塊。
ヒマラヤ奥地で採れる"ビレヌン"とは「太古の塩」を意味する紫岩塩だ。その名の通り数億年前の海水が、マグマによって熱せられ出来上がったものと言われている。かつては遥々チベットから、ヤクやロバの背中にこの塩を積んだ行商人が交易路を経てインドまで運んでいたため、そのルートは「塩の道」と呼ばれていた。
日本でも健康ブームに乗って「ヒマラヤ岩塩」は注目され、高級な塩として高値で売られているようだが、こちらネパールでは、市場、路上、スーパーマーケット、どこにでも置いてある安価でポピュラーなもの。ミネラル豊富で、硫黄の匂いと独特のうまみ成分をもつ。調理にはもちろん、民間療法として内服、外用薬にも利用されている。ヒマラヤ岩塩にも数種類あり、紫のほか、ピンク、白それぞれ別の名称、効用がある。
さて、トレッキングに出かけ、お茶屋で紅茶を頼むと"ビレヌン"入り紅茶が出てきて、知らずに飲むと「ウゲっ」と目を白黒させられることがある。ビレヌンは疲労回復をすばやく助け、胃腸の調子を整える働きもあるとのこと、トレッカーにはうってつけの飲み物というわけだ。
冷たいレモンソーダにも入れられる。これもかなり「ウゲっ」。 グラスの底に黒い粉がジャリジャリ溜まっているなんて何かの間違いでは?と思ってしまうが、慣れると"ビレヌン"なしでは物足りなさすら感じるから不思議。生パイナップルやコケモモにも付き物と言っていいほどの定番パートナー。果物に塩だから、陰陽のバランスはバッチリ!これが正しいネパール式食べ合わせなのだ。
硫黄の香りはさながらゆで卵。生野菜にふりかけて、オイルとビネガーで和えれば、ベジタリアンのエッグサラダに。スープに加えるとだしが必要ないほど、コクのある味わいとなる。茹でたパスタにオリーブオイルと"ビレヌン"のみという究極にシンプルな料理さえも成立する。ネパール製ポテトチップスにはプレーンとマサラ味があるが、プレーンは思いっきり"ビレヌン"風味仕立てとなっている。
調味料としてだけでなく"ビレヌン"の毒素排泄を促す効能は高く、一掴み湯船に溶かせば"ヒマラヤ温泉"湯治場に。しっかり発汗でき、身体の芯まで温まって、お肌すべすべ、スッキリ爽快!
どこかの販売業者のような口上になってしまったが、とにかく大変利用価値のあるヒマラヤの恵み、我が家の台所とバスルームに欠かせない、優れた天然健康食品であることに間違いない。
≪うえのともこ/プロフィール≫
カトマンズのトレッキング旅行会社 で雑事を手伝っているくせに、自身は3日間のハイキング経験のみ。チベット文化が色濃く残る「塩の道」をキャラバン隊を引き連れトレッキングしたいと思っている。機会があれば塊の"ビレヌン"を家庭で利用するときの調理器具についてもご紹介したい。
]]>
『こだわりの調味料』
2007-10-10T00:00:20+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=300684
英国系カナダ人が愛するソースの神様 (カナダ)
『こだわりの調味料』
文・写真:西川桂子 (バンクーバー・カナダ)
夫が“Sauce of the Gods(ソースの神様)”と呼ぶソースがある。HPソースだ。
このHPソースは、HP Foodsという会社が英国で生産していたブラウンソース。マヨネーズにキューピーや味の素が...
『こだわりの調味料』
文・写真:西川桂子 (バンクーバー・カナダ)
夫が“Sauce of the Gods(ソースの神様)”と呼ぶソースがある。HPソースだ。
このHPソースは、HP Foodsという会社が英国で生産していたブラウンソース。マヨネーズにキューピーや味の素があるように、特定の会社のブラウンソースだ。現在では、ハインツ社がHP Foodsを買収して、オランダで作られているが、100年以上の歴史を誇り、英国人の食卓には欠かせない調味料だという。
英国人の父親を持つ夫にとっては、子どもの頃から親しんできた、お袋の味ならぬおやじの味だ。同様のブラウンソースが数種類あるようだが、HPソースが一番美味しいと主張する。成分には、リンゴやオレンジの果汁、ナツメヤシ、スパイスなどとともにビネガーが入っていて、私にとっては少々酸味が強い。
夫はソースの神様と呼ぶほどだから、ハンバーガー、ステーキなど、何にでも使う。意外なところでフレンチトースト。多くのカナダ人が使うメープルシロップではなく、HPソースをつけて食べる。砂糖を使わず、牛乳と卵とパンだけで作るのがポイントだ。変な奴とは思うが、「糖分の摂取過剰気味なので、まぁいいか」と“傍観”している。
しかし、許せないのは、私が車を飛ばして、わざわざ韓国スーパーで買い付けてきた味つけプルコギ(韓国焼肉)にまでつけてしまうことだ。折角の味がブラウンソースで消されてしまう。しかし、彼はHPソースが焼肉のたれを引き立てていると豪語する。
このように、今でこそ“文句タラタラ”の私だが、カナダに来たばかりの頃は、とんかつやお好み焼きにと、HPソースにはとてもお世話になった。お好み焼きソースは当時、6ドル(600円)以上もして、私にとって簡単に手が出る値段ではなかった。HPソースは、お好み焼きソースに比べると、甘くはないし酸っぱいのだが、ケチャップと混ぜたりして、特製ソースのベースにしていた。
日本にも何にでも醤油をかけて食べる人や、マヨネーズを愛するマヨラーがいるそうだから、HPソースさえあれば幸せという夫のことも、長年培われた味覚と考えると何とか納得がいく。毛嫌いしないでうまく使うと、シチューなどの隠し味にもなる便利な調味料だ。
≪西川桂子(にしかわけいこ)/プロフィール≫
フリーランスライター、翻訳者。まっぷるマガジンカナダ(昭文社)、海外女性通信(婦人公論)他、3児の母の立場から、海外での子育てなどについても執筆。今年度で、一番上の息子は小学校を卒業。未知の世界にちょっぴり緊張する一方、これからはカナダの中学生について、もっと紹介できそうだと期待もしている。
]]>
『こだわりの調味料』
2007-09-25T00:04:27+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=300722
アメリカの万能調味料 ホットソース(アメリカ合衆国)
『こだわりの調味料』
文・写真:ユカリ・トラビス(ロサンゼルス・アメリカ合衆国)
ビリリッと辛さが頭に突き抜けた直後、爽やかな酸味が広がり、最後にジワッと旨みが湧いてくる……。北アメリカ及び中南米在住者が愛用するホットソースの味を説明するとこんな風...
『こだわりの調味料』
文・写真:ユカリ・トラビス(ロサンゼルス・アメリカ合衆国)
ビリリッと辛さが頭に突き抜けた直後、爽やかな酸味が広がり、最後にジワッと旨みが湧いてくる……。北アメリカ及び中南米在住者が愛用するホットソースの味を説明するとこんな風になる。
ホットソース=タバスコと思ったら大間違い。アメリカにはタバスコ以外にも数多くのホットソースが流通している。例えばハリウッド付近の老舗専門店「ライト・マイ・ファイヤー」が扱っているホットソースは三百種類以上。店の壁という壁が赤い小瓶で埋め尽くされている様は圧巻だ。オンラインストアでは千種類近くを取り揃えているところも。ごく一般的なスーパーでも、タバスコやルイジアナ・ホットソースなどの有名ブランドを中心に5、6種類は置いているのが普通だ。
こんなに数多くのホットソース出回っている理由の一つは、ホットソースには材料についての決まりがほとんどないためだ。ホットソースとはチリを使ったソースのことなので、辛味の主成分はハラペーニョなどのチリでなければらない。アメリカではこれに酢を加えるのが一般的だが、他の材料は全くの自由。そのため各地の愛好家がニンニク、マンゴー、ニンジン、バーボンなど、好き勝手なものをぶち込んで“マイ・ホットソース”を作り出し、それに「Satan's Blood(悪魔の血)」だの「Sudden Death(突然死)」などというこれまた好き勝手な名前をつけて売り出している。まるでインディーズのバンドが自主制作CDをどんどん出しているような状況なので、やたらと数が増えてしまっているのだ。
そんなホットソースの使い方だが、こちらにもルールと言えるようなものはほとんどない。最も一般的なのは卵料理やサンドイッチのチーズにピピッと数滴ふりかけるというもの。辛さがしつこさを中和し、食欲がぐっと増す。他にもトウモロコシの丸茹で、パスタ、スープ、トマトジュースなど、ホットソースの使い道は様々。何にでも気軽に使えるホットソースは、一味足りない料理を変身させる万能調味料なのだ。
ただ唯一の欠点は、醤油と同じで「つい何にでもかけたくなってしまう」ということ。辛党の私などは、ふと気づくとおかずの全てをホットソース味で食べていた、なんていうことも。アメリカには何にでもホットソースをかけなければ気がすまない “チリ中毒患者”が多く存在する。使い過ぎにはくれぐれも注意しよう。
≪Yukari Travis(ユカリ・トラビス)/プロフィール≫
ロサンゼルス在住14年目に突入したフリーライター。フード専門誌、留学専門誌、子ども用英語教育誌などを中心に活躍中。2児の母。最近は特にアメリカの食に関する問題と、それを解決するための食育などの試みに特に関心を持っている。趣味はコロコロ変わるが、今凝っているのは最近始めたばかりのスケートボードとエアルームトマトと呼ばれる在来種のトマトの栽培。アメリカの食についてのブログ :、ホームページ:http://yukaritravis.tripod.com/
]]>
『こだわりの調味料』
2007-09-25T00:03:21+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=300705
インド料理の縁の下の力持ち (インド)
『こだわりの調味料』
文・写真:冬野花(ニューデリー・インド)
スパイスの事をヒンディー語で「マサラ」と言う。日本のスーパーでも売っている「ガラムマサラ」は直訳すると「熱いスパイス」という意味だが、この場合の実際の意味は「万能混合スパイス」といった...
『こだわりの調味料』
文・写真:冬野花(ニューデリー・インド)
スパイスの事をヒンディー語で「マサラ」と言う。日本のスーパーでも売っている「ガラムマサラ」は直訳すると「熱いスパイス」という意味だが、この場合の実際の意味は「万能混合スパイス」といったところだろうか。つまりインド料理を作るうえで、「だいたいコレとコレとコレを入れればOKだろう」という数種類〜十数種類のスパイスを砕いて混ぜ合わせたものなのである。「ガラムマサラ」はインドでは自宅で調合して作るもの。一昔前の日本のそれぞれの家庭に“うちの母ちゃんのぬか漬け”があったように、インドのそれぞれの家庭には“うちのガラムマサラ”がある。要は、インド料理においては、それほどまでに「マサラ」が基本かつ重要だということである。
さて、そんな“マサラ”なインド料理であるが、相当数あるスパイスの中から今日紹介するのは日本ではあまり聞き慣れない「ヒング(hing)」というスパイスだ(どこかの家のガラムマサラに入っている事もあれば、そうでない事もある)。ヒングはセリ科の植物の根から採取した液を固めたもので学術名はアサフォエティダ(Asafoetida)と言う。日本語の感覚で言うと、スパイスというよりは、エッセンスと言ったほうがいいかもしれない。というのもインドではスパイスは味目的で使うという考えよりは、余分なものを外に出す(毒素排出)、体を冷やす、温める、栄養吸収率をあげる、といった効用目的こそが重要だからである。それらスパイスの各種効用のなかで、ヒングはというと、“消化吸収を促す”のトップバッターである。特に野菜や豆のカレーに使われる事が多い。また、鎮静作用もあり、古来よりアーユルヴェーダでは神経病やヒステリー、抑鬱などの治療の為に「薬」としても使ってきた。
ヒングはスーパーや普通の商店などでは粉末状にして売っていたりするのだが、それらはたいてい純正ではない。ピュアなヒングは固形状であることが普通で、それを砕いて使う。物資の流通機能がまだまだ発達していないインドでは、産地の特産品を手にいれようと思うと、現地まで出向かないと手に入らない。だから地方へ行くと、都市部の店先で売っているヒングの質が劣ることを知っているインド人たちがこぞって、“確かなヒング”を買い求める光景を見かけるものだ。
ヒングは素の状態だと奇妙な臭気があるのだが、“カレーらしい味”の隠し味の正体も実はヒングである事が多く、「インド料理の縁の下の力持ち」的な役割を果たしている重要なスパイスなのである。
≪冬野花 (ふゆのはな)/プロフィール≫
2004年夏よりニューデリーに単身在住。ヒンディー語をしゃべりながら暮らす。フリーライターとして活動しながら時間を見つけてはインド国内旅行をする日々。夏は最も魅せられているヒマラヤ方面、冬はポルトガル植民地時代の面影が残るゴアがお気に入り。旅ルポ、アーユルヴェーダ、ヨーガに関しての執筆も得意。ブログ「心の暴風警報 in INDIA」
]]>
『こだわりの調味料』
2007-09-25T00:02:45+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=300666
おおらか出産はオーストラリア風? (オーストラリア)
『世界の出産』
文:ケイブ(ゴールドコースト・オーストラリア)
現在2歳の長男をオーストラリアはゴールドコーストの公立病院で出産しました。
こちらではドクターよりミッドワイフ(助産師)による出産が中心です。妊娠中の定期健診は主に一般開業医にみて...
『世界の出産』
文:ケイブ(ゴールドコースト・オーストラリア)
現在2歳の長男をオーストラリアはゴールドコーストの公立病院で出産しました。
こちらではドクターよりミッドワイフ(助産師)による出産が中心です。妊娠中の定期健診は主に一般開業医にみてもらいます。定期健診は一般開業医、出産のときは病院に行くというシステムです。出産までに病院に行った回数は3回です。病院では、一般開業医の診察の内容を基にして検診を行いました。はじめに、助産師による健康診断があり、つぎに医師による診断という流れです。日本と比べると体重管理も一切なしの、おおざっぱな定期健診でしたが、妊娠期間中は順調で大した心配のないものでした。
予定日を1週間過ぎても出てくる気配のない息子。診察のために訪れた病院で、医師に今すぐにでも誘発して出産するべきだと告げられ、その指示通りその晩に入院し、誘発をすることになりました。公立病院では医師の指定はできないため毎回、医師、助産師ともに違います。このときの医師は、「なぜ今まで誰も誘発を勧めなかったのか……」と驚いた様子でした。
人工誘発剤を使った後は病室へ。生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声が響き、なかなか眠りにつく事ができませんでした。助産師にゆっくり眠るように言われた私は、「痛みに気づかなかったらどうしましょう?」と今思えば笑ってしまうような質問をしていたのでした。
翌朝、無事陣痛が始まり、かけつけた夫、義両親とともにぞろぞろと分娩室に入りました。日本のように待機する部屋はなく、痛みが始まってから生まれるまで同じ部屋で過ごします。
ベッドに横になると、痛み止めは使うか?と助産師に聞かれ、とりあえず笑気ガスのみで進めることにしました。笑気ガスを吸うと、意識が朦朧としてきたのを覚えています。笑気ガスはとても勢いよく吸わないと出てきません。おそらく、気をそらすための1つの手段なのでしょう。
分娩室に入ってからは、付き添ってくれた義母の手を壊してしまうのではと思うほど、ぎゅっと握り締め、あとどのくらいかかるのかと繰り返し聞きながら痛みと戦いました。このとき夫はビデオカメラを私に向けていました。激しい痛みの中、耐え切れずに「ストップ!」と制止しました。夫は瞬時にしてカメラを持つ手を下ろしました。よっぽど大きな声だったのでしょう。今では笑い話となっています。
そして3時間半後、息子との対面となりました。夫は感動した表情で息子を抱いていました。このとき息子の左目が閉じたままでした。夫が心配して訊ねると、助産師は指でぐいっと目をこじ開けたのです。あまりの勢いにただただ驚いてしまった夫と私でした。そして、すぐに胸の上に息子を置かれ、母乳を飲ませなさいという指示のもと、放心のまま息子に授乳しました。一生懸命に胸に吸いつく息子の姿は忘れられません。
その後生まれたばかりの息子と一緒に部屋へ移動しました。疲労感と痛みを感じている私の横で泣いている赤ちゃん。これからどう世話をしていくのか、戸惑いも感じました。
そんな私に比べオーストラリア人ママのたくましいこと。部屋で一緒になったママたちはなんとも豪快。出産後一晩明けて翌朝にはてきぱきと荷物をまとめて何事もなかったかのように退院していくのです。私は4日後に晴れて退院となりました。妊娠から出産まで全てが、お国柄どおりまさに“おおらか”なものでした。
≪ケイブ/プロフィール≫
日本での外資系ITメーカー勤務の後、海外生活を実現させるためオーストラリアに渡る。ITマネージメントを現地大学院で学んだ後、永住権取得。現在は、一男の母、主婦、そしてITスペシャリストとして奮闘中。次なる夢はエッセイストとして活躍すること。がんばります。
]]>
『世界の出産』
2007-09-25T00:01:29+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz
-
http://world.chikyumaru.net/?eid=288770
産後の無理は早期回復につながる?(ブラジル・リオデジャネイロ)
『世界の出産』
文:高橋直子(ブラジル・リオデジャネイロ)
ブラジルは帝王切開大国だ。子どもの誕生日、星座、父親の休暇が決定でき、痛みがない!というのが帝王切開賛成派の意見。また医師にとっても、手術代が入り、短時間で済み、明け方起こされることもなく...
『世界の出産』
文:高橋直子(ブラジル・リオデジャネイロ)
ブラジルは帝王切開大国だ。子どもの誕生日、星座、父親の休暇が決定でき、痛みがない!というのが帝王切開賛成派の意見。また医師にとっても、手術代が入り、短時間で済み、明け方起こされることもなく、決まった時間にできる帝王切開は、お手軽でお得なのだ。
「自然に溢れるブラジルで、自然に生みたい」という思いから、私は、自然分娩推進派の主治医を探した。しかし願いかなわず、結局帝王切開へと移行した。我が子の首にへその緒が2重に巻き付いており、破水後も出てこなかったからだ。
お手軽手術は15分。簡単そのもの。楽しそうに私のお腹を切り、縫い合わせるお医者さんの鼻歌は今でも忘れられない。
そして手術後、個室に戻った私と夫。感動に浸っている2人の元へ、きれいに洗われた赤ちゃんは抱えられてやってきた。看護婦さんが私の乳房をつかんで、赤ちゃんの口に押し込む。まだ麻酔がきれず身体がうまく動かせない私。おっぱいマシーンの作動開始だ。乳房にくっついている小さな生命が、身体全体を使って一生懸命に乳を吸う姿に、夫と二人で涙した。
手術後2時間が経過。「シャワーですよ〜」と現れた看護婦さん。聞き間違いではなかった。赤ちゃんではなく、私がシャワーを浴びるのだ。私を抱えた看護婦さんは、シャワー室でさっき切られたばかりの所をごしごし。血で真っ赤に染まるシャワー室のタイルを、ぼんやり眺めるのが精一杯だった。
シャワーの後は30分の強制歩行。手術中におしゃべりをした私のお腹にはガスが一杯溜っていて、それをおならで出すのだそう。私の身体の重みに顔を引きつらせた夫に寄りかかり、がらんとした廊下でひたすら引きずられた。ちなみに、一人で立てるようになった24時間後まで、夫の筋肉トレーニングは続いたのだ。歩行訓練は、退院の日まで2時間おきに繰り返された。夜は母子同室だったが、夜中でも時間になると看護婦さんはやってきて、歩行訓練を強いたのだ。
息子誕生後初めての食事は、油でいためた白米と豆の煮込みに牛肉のステーキ。帝王切開の一部始終に立ち会った夫は、肉など食べる気にならなかったらしくキャンセル。母乳に影響するからと、私はひたすら口を動かした。
そして24時間後に退院許可を出しに来た主治医に、「まだ痛いんです」としがみついた。入院を一日延長してもらい、最終的に2日間病院にいたことになる。
帝王切開であったにもかかわらず、出産から2日後には息子を抱いて自宅に戻ることができた。バージンロードを歩く花嫁のような速度だったが、自らの足で自宅に戻れたのは、無理な(?)リハビリのおかげだ。その後とどまることなく溢れた母乳も、ブラジル南部直産のステーキ肉のおかげかもしれない。
≪高橋直子(たかはしなおこ)/プロフィール≫
ブラジル在住7年目のフォトグラファー&ライター。若い情熱に惑わされてブラジルにはまり、まいた種は芽を出してはや4年。絵本の読み聞かせ中ポルトガル語を、息子に直されるように。ビールを片手に楽しむ議論はタブーなし。討論好きのブラジル人に混じってサンバに浸る毎日。ブログ、「VIVAカリオカ!」
]]>
『世界の出産』
2007-09-10T00:01:00+09:00
chikyumaruz
JUGEM
chikyumaruz