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第2回 洋菓子あれこれ
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    ◆座談会参加メンバー◆


    ◆ 伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)
    ◆ マイアットかおり(フランス・ビアリッツ在住)
    ◆ 西川桂子(カナダ・バンクーバー在住)
    ◆ ツムトーベル由起江(ドイツ・キール在住)
    進行係
    いそのゆきこ(甘辛国在住)

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    【進行係】
    ところ変われば品変わると申しますが、御菓子も様々、それぞれの地に味わい深い特徴があるようです。まずは、かおりさんのお好きなレープクーヘンからご紹介いただけますか。

    【かおり】
    えーと、レープクーヘンについてですが、私も詳しくは知らなくて、もっと教えていただきたいからここに参加したくらいです。ドイツを訪ねた友人がおみやげに買ってきてくれたのでそれにはまって……なんと一袋20個くらい入っているのを1週間くらいかけて一人で食べてしまったのです。バイエルン州のニュルンベルク(中世から開けていた街、第二次世界大戦前後のニュルンベルク法やニュルンベルク裁判で知られている)にあるシュミットという老舗のレープクーヘンで、友人が1ヵ月後に賞味期限を気にしながら持ってきてくれたのに、すごく柔らかくておいしかったのです。これは製法に関係があるのだなあと思いました。蜂蜜とかナッツが入っているようでしたけど、友人の話では、チョコの入っているのが一番おいしいのだとか。私がいつも食べていたレープクーヘンは決まって大判焼きくらいの大きさの蜂蜜がたっぷりと入った焼き菓子でどちらかというとケーキよりも固めで砂糖のコーティングが必ずついて いる、というのが印象です。これがお決まりなのかどうかは分かりませんが、チョコレートやドライフルーツが載っているものもありそうでした。

    【桂子】
    レープクーヘン、見てみたいです!是非、画像と一緒に。


    【伊藤】
    見たことはありませんが、もう食べたくてしかたありません。


    レープクーヘン
    【かおり】
    ドイツには夫の両親が住んでいたこともあり、クリスマスには必ず送ってきてくれていたのですが、この友人が買ってきてくれた「ドイツ一うまい」というシュミットのレープクーヘンにはとてもかなわない出来でした。


    【ツムトーベル】
    レープクーヘンはドイツのアドベント(待降節とも。クリスマス前の約4週間)とクリスマスには欠かせないお菓子です。ケーキを意味するクーヘンという名前がついていますが、かおりさんのおっしゃるとおり焼き菓子で、日本で言うソフトタイプのクッキーというところでしょうか。小麦粉と蜂蜜が原料で、ポイントはそこに混ぜるスパイスです。クローヴ、ナツメグ、コリアンダー、カルダモン、アニス、シナモン、生姜が主なのですが、これらがなんとも言えない香りを醸し出して、レープクーヘンのパッケージを開けたとたん「今年もこの季節になったのね〜」と言わずにはいられなくなります。


    【かおり】
    ドイツの童話で育つ日本人にはヘンゼルとグレーテル(グリム童話)のお菓子でできた魔女の家がおなじみですよね。あれもレープクーヘンの生地で出来ているらしいです。それをクリスマスに作るらしくって…可愛らしいですよね。とってもおいしかったです。それの代わりに毎年ドイツからクリスマスにレープクーヘンが 送られていたのだと思いますが、レープクーヘン自体もクリスマスに食べられるのかどうかはドイツに住んでいないのでよく分かりません。


    【ツムトーベル】
    ドイツでは先ほど言ったクリスマスとそれを楽しみに待つ4週間に、レープクーヘンや自分で焼いたクッキーを食べます。それから独特のスパイスをきかせた熱いワイン「グリューワイン」を飲みます。調べてみると、お菓子やワインに加えるスパイスには消化を助けたり、体を温めたりという効果があるものが多いので、単に香りを楽しむだけでなく、寒さの厳しい季節を元気に乗り切る昔のドイツ人の知恵が活きているのかな、と考えたりもします。


    【かおり】
    ドイツのお菓子はヨーロッパの乾燥した空気に長時間触れていても固くなったり質が変ったりしないようにとても工夫されていると思います。私がフランスのお菓子を好きでない理由はそれが原因かも。フランスのお菓子はすぐに固くなって品がないというか…繊細でないような気がします。クロワッサンも翌日はカチカチ。タルト生地もおいしくない。


    【桂子】
    乾燥というのは、目から鱗でした。


    【ツムトーベル】
    それは品質によるのではないでしょうか。ドイツのお菓子でもすぐ乾燥したり、逆に湿気たりというものもあります。伝統的な製法に誇りを持って作られているお菓子はパッケージにも工夫をこらしてあり、長く美味しく食べられるようです。


    【かおり】
    それとも日本のお菓子で育つとおいしくないと思うのでしょうか。どうしてもふわふわな日本のケーキの基準で考えてしまうんでしょうか。うちの夫はイギリスで育っていますが、日本のケーキは空気ばかりで甘くなくておいしくないといいます。好みもあるでしょうけど、みなさんはやはり日本のケーキがおいしいと思われますか?それとも海外生活の長い方はそろそろ日本のケーキでは物足りないと感じる方いらっしゃるでしょうか。日本のケーキのルーツはドイツ菓子にあるのでしょうか、チーズケーキはてっきりフランスが発祥の地と思っていましたが、フランスのチーズ売り場で買うチーズケーキでおいしいものにはお目にかかったことがありません。はちみつをかけても食べられない。それに引き換え、ドイツのチーズケーキ、ケーゼクーヘンとかはまるで日本のケーキみたいでしたよ。フランスのチョコレートケーキも心からおいしいと思ったものはあまりありません。唯一おいしいと思ったのはフォンダンショコラくらいでしょうか……。日本のお菓子屋さんはこぞってフランス語の名前をお店につけるので日本のお菓子技術はてっきりフランスから来ていると思っていたのですが、フランスに来てからどうもそれが疑問に思えてきました。みなさまはどう思われますか?


    【ツムトーベル】
    私もまだ”日本のケーキ美味しい”派です。パリで憧れのフォションのケーキを食べたときは、味の薄さにがっかりしました。ドイツで食べるケーキはほとんどが甘すぎて口に合いません。自分の好みに合うケーキ屋さんを見つけるのにずいぶん苦労しています。どうしても好みのものがみつからなければ自分でつくってしまいます。私が思うに日本人は応用がうまいですね。ケーキ作りの基本技術はフランスやドイツから輸入しているかもしれませんが、それを日本人の口に合うように進化させている気がします。


    【桂子】
    バンクーバーというところは、中国系の移民が香港返還から随分、増えたんですよね。で、香港に住んでいた友人(日本人)によると、彼らは日本のものが好きで、日本風のふわふわで甘みを抑えたケーキも人気。ということで、中国系のケーキ屋に行くと、日本ほどこったものでなくても、ちょっと似た感じのケーキが 売っています。私がこちらになれたというより、こちらの人がこういう甘みを抑えたものに慣れてきているような気がします。ただし、種類が日本ほど豊富じゃないんですよね。前出の友人が子どもの誕生日パーティをしたときに、ケーキを中国ベーカリーのケーキにしたら、不評だったと聞きましたが、もしかすると私が付き合っている人たちがたまたま …なのかもしれませんが、白人でカナダで生まれ育った人のパーティでも、この中国ベーカリーのケーキが登場して、みんなおいしい、おいしいと夢中で食べていて、びっくりしました。私も日本のお菓子屋のフランス語のケーキはフランスが発祥の地だと思っていました。フランスならああいうのが食べられるんだろうな。しばらく行っていませんが、モントリオールで食べたケーキはちょっと日本で考えるようなフランス風ケーキで繊細な外観で、その上、美味しかった記憶があります。


    【伊藤】
    私がロサンゼルスに移住した頃、アメリカのケーキは”大きくて甘いだけ”でした。桂子さんのよう日本的な洋菓子が買える中国系の店に行っていました。ただ桂子さんと同じで、モノによっては”ふわふわ”しすぎています。最近では、アメリカの御菓子がかなり進歩しています。もう、中国系や日系のお菓子屋では、ほとんど買わなくなりました。今ロサンゼルス周辺ではカップケーキに注目! 

    私が好きなのは、セレブのオプラ・ウィンフリーやパリス・ヒルトンが大ファンだという店のカップケーキです。値段は普通の店の2倍ほどします。ほどよい甘さで、上のフロスティングがすっと口の中で溶ける感覚がたまらない。オプラの大好物であるレッド・ベルベットという種類は、特においしい。日本人のファンも多いですよ。店の人いわく、できる限り新鮮でオーガニックの素材を使っているとか。 カップケーキを何個も組み合わせて、大きなケーキに見せかけたタイプのウェディング・ケーキも人気だそうです。そういえば、子どもの誕生日でも、大きなケーキより、カップケーキを配る場面によく出くわします。


    【桂子】
    へぇ〜! カップケーキが進化しているんですね。侮れませんね。子どもの誕生日のケーキでふと思ったのですが、皆さんの国ではどんなケーキですか?バンクーバーは大人ならちょっとオシャレなチーズケーキなども登場しますが、子どもの誕生日パーティの場合は、一番人気はアイスクリームケーキです。


    【かおり】
    カップケーキもアイスクリームケーキも北米ならではですね。私の考えているチーズケーキは日本のチーズケーキあるいはドイツのチーズケーキで、フランスのチーズとは印象がちょっと違いますがおいしくないという言い方は違うかな。フランス人にとってはおいしいのでしょうから(笑)。わたしは乳臭いのが苦手なのかも。


    【ツムトーベル】
    お話しを聞いていると、北米ではケーキの好みが変わってきているのですね。その点、伝統を重んじる(?)ヨーロッパはまだ遅れている気がします。太りすぎを気にする反面、甘ったるいお菓子を変えていこうという風潮は残念ながらまだありません。こうなったらこちらでケーキ屋さんでも開こうかしら?(笑)それと、子どもの誕生日はどこの国にいても大変そうですね。誕生日のある季節にもよりますが、ドイツでもカナダのようにアイスクリームは人気ですね。果物やナッツの入ったケーキを気張って作っても、嫌いだとかアレルギーがあって食べられないとか難しい点があるので最近はケーキにあまり力を入れなくなってしまいました。大体軽い夕食まで出すことが多いので最後にバーベキューをしたりホットドッグを作ったりします。


    【進行係】
    バンクーバーには、野いちごやこけもも、メープルシロップをふんだんに使った美味しい御菓子があるのではありませんか。お母さんはビスケットなどもよく焼かれるのでは。

    【桂子】
    メープルシロップはパンケーキにかけるとか、あと料理に使ったりしますが、ケーキにはあまり登場しないですね。美味しいと思うのは、夏の間のベリー類のパイです。残念ながらクランベリーのパイはあまり見ませんが、チェリーパイ、ブルーベリーパイ、なぜかわからないのですが、イチゴはルバーブという果物と一緒にストロベリー・ルバーブパイ、それからブラックベリーが多いのでブラックベリーパイ、ピーチパイ、今はパンプキンパイ。 義母はビスケット(スコーン)は苦手なのか、あまり焼かず、マフィン、キャロットケーキ、ブラウニー、バナナブレッド。それから彼女オリジナルのお菓子がいくつかあります(ちょっと甘め)。意外だったのが、お菓子屋には売っていますが、 チーズケーキを焼く人はあまりいないかな。


    【伊藤】
    やはり、カナダとアメリカは似ていますね。こちらでも、新鮮な果物を使ったパイは豊富です。今の季節なら、シナモン風味のパンプキンパイが出回ります。アップルパイは、米国の代名詞ですよね。今の季節なら、こちらの黄色くて大きいかぼちゃを使った、シナモン風味のパンプキンパイが出まわります。チーズケーキファクトリーのような専門店があるように、チーズケーキもよく食べられていると思います。


    【ツムトーベル】
    ドイツでもケーキの種類に旬が感じられます。初夏から秋の初めにかけていろんなベリーや果物を使ったブレッヒ・クーヘンというのが登場します。生地をオーブンの天板(=ブレッヒ)全体に広げ、上にプディングや果物をたくさんのせ焼いただけのシンプルなものです。ケーキ屋さんにもありますが、パン屋さんで売っていることが多く、普段使いのケーキという感覚で、みんな気軽に買っています。


    【進行係】
    洋菓子もヨーロッパにそのままいて、何百年も姿形、味を守り続けているのもあれば、遠く別世界に紹介されて、変化し、それがまた他に広がって行っているのもあるのですね。甘いお話、ありがとうございました。

    カテゴリ:『地球丸座談会』 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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