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月曜日のユーウツ
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    『各国エコロジー事情』
      文:郷らむなほみ(カナダ・オンタリオ州在住)


     また、ゴミ出しだ……。日曜の午後、家中のゴミを分別しながら、ちょっとだけブルーな気持ちになる。
     カラスがゴミをあさりに来るからだ。
     東京などの大都市ならまだしも、近所にはまだ森がたくさん残っているカナダのこんな田舎にも、なぜかカラスがいる。氷点下の真冬も、月曜には決まって複数でやって来て、近所のゴミを漁っていた。大きな身体と大きな態度、私がそばを歩いても全く無視。東京在住中、カラスにマークされた夫の件が脳裏を過り、攻撃されるのを避けて私の方が迂回して通ることにしている。住宅が少ないうえ、週に一度しかゴミ出ししないのに、こんなところになぜカラスが来るのだろう?

     私は不思議で仕方がなかったのだが、ある冬の朝、散歩に出てその理由が分かった。ご近所さんたちってば、ゴミを正しく処理して出していないのだ。

     スーパーマーケットで買う肉類のトレー。これはリサイクル可能だから、青いゴミの箱に集めて出すのが決まり。それは良しとして、カラスがつついていたのは、トレーの隅っこにくっ付いている鶏肉らしき肉片。ふと見ると、トレーにはまだ吸水シートが付いたまま(注:肉汁などを吸わせるため、肉とトレーの間に薄い座布団のようなシートが敷いてある)。驚いたことに、ラップもまだくっついているではないの! これではカラスに餌をやっているようなものだ。

     実家がある名古屋では、プラスチックトレーも缶詰も、全てのゴミは水洗いの後、乾かして範疇ごとに分類、決められた収集日の朝8時前後に出す……というのが鉄則だ。コンビニ弁当の器も、スーパーマーケットの食材やお惣菜の包装も、全てのゴミがどう処理されるのかを把握して分別するのが消費者の責任とされている。藤前干潟(*)をゴミ捨て場にしないことを選択したのだから、当たり前ではあるのだが。

     ウチの近隣には子どものいる世帯が多く、ゴミだってたくさん出るだろう。おまけに、どこの家庭も共働きが当たり前というカナダでは、主婦は忙しくてキッチリとゴミの分別なんてやってられないのかもしれない。朝早い出勤だから、前日の夜からゴミを出すのも目をつぶろう。

     しかし、消費する限りゴミは出る。消費者としての責任と義務は果たすべきではないのだろうか? ここでしっかりと次世代を教育しないと、これまで続いて来た北米の大量消費型の暮らしは変えられないに違いない。昨今、バブリーなカナダの今後が案じられる……と思っているのは私だけではないはずだ。

     もっともっとゴミ減らしに精進して、還元、再生、再利用の意識を高めてゆきたいものだ。小さな努力だって、集結すれば大きな力になると信じて、私は今日もせっせと炭酸飲料の缶も洗っている。お隣さん、テレビゲームに興じている子どもたちに、トレーを洗わせたらどうですか?

    *藤前干潟:名古屋市西南部から海部郡にかかる干潟。名古屋市がゴミの埋め立て地として選んだが、干潟に住む貝類やそれを餌に飛来する鳥類の保護のため、市民らの反対でゴミ処理場計画は取りやめになった。


    ≪郷らむなほみ/プロフィール≫
    フリーランスライターで転勤族の妻。名古屋生まれ。重箱の隅を楊枝でつついて汚れを取りたい派。エコな暮らしを目指している訳ではないが、ゴミの分別くらいはキッチリやりたい。今、一番欲しいのは、日本製家庭用生ゴミ処理機。
    カテゴリ:『各国エコロジー事情』 | 07:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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