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くまちゃんグミ(ドイツ)
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    『世界の駄菓子』
    文・写真:ツムトーベル由起江(ドイツ・キール近郊在住)

    くまちゃんグミ

     ドイツの駄菓子代表選手はなんといってもグミだろう。小児科で注射のチクッ!に我慢できたら、グミ。誕生会におよばれしてもらうお返しの小袋に必ず入っているのも、グミ。いたるところでグミをもらい食べている。中でも人気不動なのが、くまのかたちをした通称Gummibärchen――くまちゃんグミ(私訳)――だ。ゴールドベア(Goldbären)という正式名があるのだが、なぜかみんな親しみをこめて通称で呼ぶ。

     このグミの生みの親は、1920年にボンでHARIBO社を創立した飴職人ハンツ・リーゲル氏(社名はHans Riegel Bonnの頭文字をとっている)。当時まだ巷でよく見られた曲芸するくまの姿と、人気沸騰中だったくまのぬいぐるみをモチーフに、1922年くまちゃんグミを誕生させた。当初は数名の従業員がグミを町工場で作り、自転車で配達していたという。その後、くまちゃんグミや姉妹商品の人気のおかげで事業は拡大し、同社は現在約6,000人の従業員と欧州18の拠点をかかえる一大メーカーとなっている。

     世界中100以上の国に輸出されているそうだから、日本でもその愛らしい姿を目にされた方が多いのではないだろうか。こぐまが「たっち」をした姿と、ストロベリー、レモン、オレンジ、ラズベリー、パイナップルそれぞれの味に合わせた色で目も楽しませてくれる。これまで5つの味で親しまれてきたが、生誕75年の記念すべき昨年、新しい味アップルが登場した。ちなみに青色のくまちゃんがいないのは、果実や植物から抽出した着色料のみを使用しているからなのだそう。また、気になる原料のゼラチンも豚由来のものに限定し、子どもの健康への配慮を前面に打ち出している。

     ドイツのスーパーに行けば、グミは菓子売り場の実に3分の1を占めている。なぜこんなに人気なのか。大きすぎず柔らかいから小さな子どもも喉につめない、甘すぎないし低カロリーでお腹にたまらないから食事の妨げにもならない、など様々の理由はある。でも実際に子育てしてみて気づいたのは、何はさておき、グミが「汚くしない」菓子だということだ。クッキーのようにぼろぼろこぼれないし、チョコのように手や服もべたべたにならない……。小さな子どもを持つ親にとって、これは意外に大きなポイントなのだ。子どもに人気と思われているグミ、実は大人を喜ばすお菓子なのかもしれない。テレビでは今日も50年代から変わらないCMソングが流れる。♪HARIBOで子どもはハッピー。そして大人もハッピーに。♪まったく仰る通り……。


    ≪ツムトーベル由起江/プロフィール≫
    レポート・翻訳・日本語教育を行う。1999年よりドイツ在住。NHKラジオジャーナル、MAGAZINE ALCなどで、ドイツの社会面から教育・食文化までレポート。ドイツ人の夫、6歳の長男、4歳の長女、1歳の次女とともにドイツ北部キール近郊の村に住む。趣味は楽しいドイツの絵本をみつけては買ってきて、即興で日本語に訳し読み聞かせること。
    カテゴリ:『世界の駄菓子』 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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