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「ジーミーカンドの正体は?」
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    『こんなもの食べる?』
      文:冬野花(ニューデリー・インド)


     八百屋の屋台に、いつも妙に気になる野菜があった。それは見た目がかなりグロテスクで、ボコボコした茶色の塊。大きいので切り売りしているのだが、切ったあとの断面は糸が引くほど粘っこい。

     気になりながらも見てみぬフリして1年くらい過ごした頃だったろうか。とうとう私は一緒にいた友人に「ねぇ、これって何?」と、聞いてみたのだ。すると彼は「これは、ジーミーカンド。英語ではエレファントフットって言うんだけど」と教えてくれ、「食べてみる?」と聞いてきた。確かに言われてみれば、まるで象の足のよう。その見かけにかなりビビっていた私は、不味かったら困るな、なんて一瞬思ったのだが、彼にそれで料理を作ってもらうことにした。

     買ったジーミーカンドを切り始めた彼が言うには、「ナマの時のネバネバは、手につくと石鹸で洗っても簡単にはとれない」のだそうだ。確かに彼は、手にビニールをかぶせて切っている。しかも強力な粘り気のせいで、切るのにそうとう力がいるらしく、体重をかけている。こんなものが食べれるの? いったいどんな味と食感なのか、この時点では予測不可能であった。

     さて、1センチ角程度のサイコロ状に切ったら、次にどうするのか? 油で揚げるのである。するとネバネバがなくなり、食べられる状態になるとのことである。そして、それをカレーの具にして食べるのだそうだ。だが、待てなくなった私はカレーに入れる前に、きつね色に揚がったジーミーカンドをそのまま食べてみた。

     すると……お、おいしい〜! おいしいといっても、それ自体には特に味がなく、かなり淡白。だが、とてもホクホクした暖かい感じだったのだ。「なんだ、おいしいじゃん!」ネバネバも完全になくなっており、あの見かけからは想像もできない味だった。もちろんその後、カレーにして食べても非常に美味だったことは言うまでもない。

     ところで、このストーリーには後日談があるのである。ジーミーカンドにちょっと感動してしまった私は、インターネットでいろいろ情報を探してみたのだ。そして得た驚きの結果は……、なんとジーミーカンドとは、こんにゃく芋のことだったのだ! 思えば、今まで“コンニャクはこんにゃく芋から作られる”という事実は知っていたものの、こんにゃく芋は見たことがなかった。

    「1年間も気になっていたあなた、こんにゃく芋だったのね。しかも、インドでも食されているなんて思いもよらなかったわ」



    ≪冬野花 (ふゆのはな)/プロフィール≫
    2004年夏よりニューデリーに単身在住。ヒンディー語をしゃべりながら暮らす。フリーライターとして活動しながら時間を見つけてはインド国内旅行をする日々。夏は最も魅せられているヒマラヤ方面、冬はポルトガル植民地時代の面影が残るゴアがお気に入り。旅ルポ、アーユルヴェーダ、ヨーガに関しての執筆も得意。
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