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中国トイレット・トレーニング事情
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    『ところ変われば……』
      文・写真:長 晃枝(東京・日本)


     よちよち歩きをはじめた子どもが、おぼつかない足取りで歩く姿はなんともほほえましい。その愛らしさを際立たせるのが、おむつでモコモコにふくらんだ大きなおしり……だと思っていた。中国の子どもたちを見るまでは。

     歩きはじめる年頃の中国の子どもたちのおしりは、日本はもちろん、私の知る限りの多くの国の子どもたちのおしりと違い、かなりすっきりしている。それもそのはず、おむつはおろか、パンツもはいていないのだから。おまけにズボンの股にも大きな穴があいていて、かわいいおしりが丸出し状態なのだ。
    お尻丸出し

     もちろん、お兄ちゃんやお姉ちゃんのお古で穴あき、というわけではない。もよおしたらすぐに用が足せるように、というわかりやすい構造なのである。そう話には聞いていたが……実際にその姿を目の当たりにしたときはやっぱり目が点になった。

     確かに合理的ではあるが「おしりは隠すように」と育てられた日本人のワタシとしては、どうにも違和感を覚える。何度見ても、自分がおしりを出しているわけでもないのに、なんだかスースーするような気がして落ち着かない気分になるのだ。

     それに、子育て経験者としては、衛生状態がよいとは必ずしも言い切れない中国のこの環境で、まだ抵抗力の弱い幼い子どもがおしりを出していてバイキンが入ったりしないのか、おなかが冷えて下してしまうのではないか、寒くて風邪をひいたりしないのか、と余計な心配ばかりが頭をよぎる。

     しかし、当の子どもたちはいたって快適な様子。実際に用を足すところも見かけたが、たしかにすこぶる便利であることは間違いない。おまけに、自分で用が足せるようになるのも早いらしい。といっても、子どもなら道端でも、ヘタをすると列車の中でも、ところかまわず用を足しても許されるという文化のなせる業でもあるのだが。

     そんな天真爛漫な子どもたちを見て「私は娘のおむつはずしにそれなりに苦労したんだけどなぁ……」とちょっと遠い目になった。まぁ、そもそもおむつをしていないのだから「おむつはずし」とは言わないのだろうが……。

     中国の風景の中では、おむつでモコモコではなく、丸出しのおしりのよちよち歩き姿もまたかわいいもの。なんとか写真におさめたいと常々思っていたが、これがなかなかむずかしい。カメラを向けると、たいていの親はこちらに最高の笑顔をむけるように仕向けてくれるのだ。まさか「そのおしりが撮りたいんだけど……」と言うワケにもいかず、満面の笑顔の親子のツーショットを撮ることになってしまう。あるいは、写真を撮られることをひどくうとまれる場合もある。

     おまけに、北京や上海などのすっかり都会化した中心部では、さすがにこんな姿の子どもに出会う機会は少ない。おしゃれな若夫婦に抱かれた子どもは、もちろん穴あきズボンではなくファッショナブルな子ども服をまとっている。庶民的なエリアでは、今も穴あきズボン姿を見かけることはあるが、そこから紙おむつがのぞいていることもしばしばだ。

     しかし、この夏に訪れた平遥で、ついにかっこうのフォトジェニックに出会った。リンゴをかじりながら、お父さんと散歩していた彼女はとても人懐っこく、最高の笑顔で近寄ってきた。そして、カメラをかまえるワタシの周りを、穴あきズボン姿でひとしきり歩き回ってくれたのだ。平遥は世界遺産に指定されている古都。歴史ある町並みを背景におしり丸出しで楽しそうに歩く姿は、いかにも大陸的なおおらかさにあふれていた。


    ≪長 晃枝(ちょう あきえ)/プロフィール≫
    フリーランスエディター&ライター。娘たちも自分のことは自分でできるようになったので、ハハは世界を駆け巡る……はずが、ガイドブックを手がけることになってしまったこのごろは、もっぱら東アジア行脚の日々。メインテーマである食べモノと旅モノを追及するにはうってつけだが、たまには自分のためのオシャレな旅にも行きたいなぁ。
    カテゴリ:『ところ変われば……』 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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