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公務員が長期スト!?
『所変われば……』
西川桂子(バンクーバー・カナダ)

 カナダで暮らして、早くも13年が経ってしまった。その間、見てきたストの中には、日本で生まれ育った私には信じられないようなものもあった。

 例えば、今夏、バンクーバー市の職員がストをした。

 へぇ、公務員の市職員が…と思うかもしれない。

 市役所の一部業務が停止している他、コミュニティセンター、スイミングプール、スケートリンク、図書館などの施設は休業。折角の夏休みにも市営プールは利用できなかった。コミュニティセンターで開かれるプログラムも全てキャンセルだ。そして、驚くのは、なんと! ゴミの収集員も参加していることだ。

 それも24時間、48時間といった時限ストなどではない。7月下旬からだから、2ヵ月以上だ。図書館などは閉まっていると残念だが、許せる。しかし、ゴミが収集されないのは残念ではすむ問題ではない。市民にとっての一番の頭痛の種となっている。住宅街をまわってくる、民間のにわかゴミ処理業者にお願いしたり、徹底的な分別を行って、食品くずなど悪臭の元になるゴミだけは、冷蔵庫に保管する(!)などして何とかこの数ヶ月、やり過ごした。

 2年前には公立学校の先生までストをして、1ヶ月近く学校が休みになってしまった。ゴミ収集が止まったのもこの13年で初めてのことではない。10年ほど前になると思うが、やはり1ヶ月ほど集めてもらえなかった。

 公立病院の看護士が数週間にわたり、ストをしたこともある。カナダではクリニック、診療所は別にして、手術や入院をする病院は通常、公立だ。私立クリニックも少数だがあるし、その数はここ数年、増加傾向だと聞いているが、出産時、盲腸の手術など、殆どの人は公立病院を利用する。その看護士がピケを張ってしまった。

 病院機能が完全にストップするわけではなく、生命に関わるような治療については対応していた。しかし、その他の治療は、解決するまで後回しだ。知人は運悪くスト中に出産。立ち会った旦那さまが、医師を手伝って無影灯を照らしたと懐かしそうに話していた。

 さらに意外なのは、「労働者にはストを行う権利があるから」と容認する人が多いことだ。日本では争議行為など、公務員の労働基本権は制限されているが、カナダで認められている。私の周囲では「まったく人騒がせな!」と怒っているのは、ストに慣れていない日本人ぐらいだ。カナダ人は概して組合員に同情的。学校のストのときには、ピケをはっている先生方に差し入れする保護者もよく見かけた。

 カナダのストはとにかく長い。そして、公務員のスト行使権が法律で認められている。

≪西川桂子(にしかわけいこ)/プロフィール≫
フリーランスライター、翻訳者。まっぷるマガジンカナダ(昭文社)、海外女性通信(婦人公論)他、3児の母の立場から、海外での子育てなどについても執筆。実はこのストライキ、悪いことばかりではない。おかげで、市民のコンポスト利用が増えたりと、エコ意識が高まった…という話もいつか書きたい。
カテゴリ:『ところ変われば……』 | 00:02 | comments(0) | trackbacks(1)
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