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ヒマラヤ岩塩 (ネパール)
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    『こだわりの調味料』
    文・写真:うえのともこ(カトマンズ・ネパール)
    ヒマラヤ岩塩 

     妖しく光る黒い塊。

     ヒマラヤ奥地で採れる"ビレヌン"とは「太古の塩」を意味する紫岩塩だ。その名の通り数億年前の海水が、マグマによって熱せられ出来上がったものと言われている。かつては遥々チベットから、ヤクやロバの背中にこの塩を積んだ行商人が交易路を経てインドまで運んでいたため、そのルートは「塩の道」と呼ばれていた。

     日本でも健康ブームに乗って「ヒマラヤ岩塩」は注目され、高級な塩として高値で売られているようだが、こちらネパールでは、市場、路上、スーパーマーケット、どこにでも置いてある安価でポピュラーなもの。ミネラル豊富で、硫黄の匂いと独特のうまみ成分をもつ。調理にはもちろん、民間療法として内服、外用薬にも利用されている。ヒマラヤ岩塩にも数種類あり、紫のほか、ピンク、白それぞれ別の名称、効用がある。

     さて、トレッキングに出かけ、お茶屋で紅茶を頼むと"ビレヌン"入り紅茶が出てきて、知らずに飲むと「ウゲっ」と目を白黒させられることがある。ビレヌンは疲労回復をすばやく助け、胃腸の調子を整える働きもあるとのこと、トレッカーにはうってつけの飲み物というわけだ。

    冷たいレモンソーダにも入れられる。これもかなり「ウゲっ」。 グラスの底に黒い粉がジャリジャリ溜まっているなんて何かの間違いでは?と思ってしまうが、慣れると"ビレヌン"なしでは物足りなさすら感じるから不思議。生パイナップルやコケモモにも付き物と言っていいほどの定番パートナー。果物に塩だから、陰陽のバランスはバッチリ!これが正しいネパール式食べ合わせなのだ。

     硫黄の香りはさながらゆで卵。生野菜にふりかけて、オイルとビネガーで和えれば、ベジタリアンのエッグサラダに。スープに加えるとだしが必要ないほど、コクのある味わいとなる。茹でたパスタにオリーブオイルと"ビレヌン"のみという究極にシンプルな料理さえも成立する。ネパール製ポテトチップスにはプレーンとマサラ味があるが、プレーンは思いっきり"ビレヌン"風味仕立てとなっている。

     調味料としてだけでなく"ビレヌン"の毒素排泄を促す効能は高く、一掴み湯船に溶かせば"ヒマラヤ温泉"湯治場に。しっかり発汗でき、身体の芯まで温まって、お肌すべすべ、スッキリ爽快!

     どこかの販売業者のような口上になってしまったが、とにかく大変利用価値のあるヒマラヤの恵み、我が家の台所とバスルームに欠かせない、優れた天然健康食品であることに間違いない。

    ≪うえのともこ/プロフィール≫
    カトマンズのトレッキング旅行会社で雑事を手伝っているくせに、自身は3日間のハイキング経験のみ。チベット文化が色濃く残る「塩の道」をキャラバン隊を引き連れトレッキングしたいと思っている。機会があれば塊の"ビレヌン"を家庭で利用するときの調理器具についてもご紹介したい。
    カテゴリ:『こだわりの調味料』 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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