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アメリカの万能調味料 ホットソース(アメリカ合衆国)
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    『こだわりの調味料』 
    文・写真:ユカリ・トラビス(ロサンゼルス・アメリカ合衆国)
     
     ビリリッと辛さが頭に突き抜けた直後、爽やかな酸味が広がり、最後にジワッと旨みが湧いてくる……。北アメリカ及び中南米在住者が愛用するホットソースの味を説明するとこんな風になる。

     ホットソース=タバスコと思ったら大間違い。アメリカにはタバスコ以外にも数多くのホットソースが流通している。例えばハリウッド付近の老舗専門店「ライト・マイ・ファイヤー」が扱っているホットソースは三百種類以上。店の壁という壁が赤い小瓶で埋め尽くされている様は圧巻だ。オンラインストアでは千種類近くを取り揃えているところも。ごく一般的なスーパーでも、タバスコやルイジアナ・ホットソースなどの有名ブランドを中心に5、6種類は置いているのが普通だ。

     こんなに数多くのホットソース出回っている理由の一つは、ホットソースには材料についての決まりがほとんどないためだ。ホットソースとはチリを使ったソースのことなので、辛味の主成分はハラペーニョなどのチリでなければらない。アメリカではこれに酢を加えるのが一般的だが、他の材料は全くの自由。そのため各地の愛好家がニンニク、マンゴー、ニンジン、バーボンなど、好き勝手なものをぶち込んで“マイ・ホットソース”を作り出し、それに「Satan's Blood(悪魔の血)」だの「Sudden Death(突然死)」などというこれまた好き勝手な名前をつけて売り出している。まるでインディーズのバンドが自主制作CDをどんどん出しているような状況なので、やたらと数が増えてしまっているのだ。
    我が家で今使っているホットソース「フランクス・レッドホット」。タバスコに比べると酸味が弱く、チリの旨みが全面に出ている人気商品。

     そんなホットソースの使い方だが、こちらにもルールと言えるようなものはほとんどない。最も一般的なのは卵料理やサンドイッチのチーズにピピッと数滴ふりかけるというもの。辛さがしつこさを中和し、食欲がぐっと増す。他にもトウモロコシの丸茹で、パスタ、スープ、トマトジュースなど、ホットソースの使い道は様々。何にでも気軽に使えるホットソースは、一味足りない料理を変身させる万能調味料なのだ。

     ただ唯一の欠点は、醤油と同じで「つい何にでもかけたくなってしまう」ということ。辛党の私などは、ふと気づくとおかずの全てをホットソース味で食べていた、なんていうことも。アメリカには何にでもホットソースをかけなければ気がすまない “チリ中毒患者”が多く存在する。使い過ぎにはくれぐれも注意しよう。


    ≪Yukari Travis(ユカリ・トラビス)/プロフィール≫
    ロサンゼルス在住14年目に突入したフリーライター。フード専門誌、留学専門誌、子ども用英語教育誌などを中心に活躍中。2児の母。最近は特にアメリカの食に関する問題と、それを解決するための食育などの試みに特に関心を持っている。趣味はコロコロ変わるが、今凝っているのは最近始めたばかりのスケートボードとエアルームトマトと呼ばれる在来種のトマトの栽培。アメリカの食についてのブログ:、ホームページ:http://yukaritravis.tripod.com/
    カテゴリ:『こだわりの調味料』 | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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