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英国系カナダ人が愛するソースの神様 (カナダ)
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    『こだわりの調味料』
    文・写真:西川桂子 (バンクーバー・カナダ)

     夫が“Sauce of the Gods(ソースの神様)”と呼ぶソースがある。HPソースだ。

    HPソース

     このHPソースは、HP Foodsという会社が英国で生産していたブラウンソース。マヨネーズにキューピーや味の素があるように、特定の会社のブラウンソースだ。現在では、ハインツ社がHP Foodsを買収して、オランダで作られているが、100年以上の歴史を誇り、英国人の食卓には欠かせない調味料だという。

     英国人の父親を持つ夫にとっては、子どもの頃から親しんできた、お袋の味ならぬおやじの味だ。同様のブラウンソースが数種類あるようだが、HPソースが一番美味しいと主張する。成分には、リンゴやオレンジの果汁、ナツメヤシ、スパイスなどとともにビネガーが入っていて、私にとっては少々酸味が強い。

     夫はソースの神様と呼ぶほどだから、ハンバーガー、ステーキなど、何にでも使う。意外なところでフレンチトースト。多くのカナダ人が使うメープルシロップではなく、HPソースをつけて食べる。砂糖を使わず、牛乳と卵とパンだけで作るのがポイントだ。変な奴とは思うが、「糖分の摂取過剰気味なので、まぁいいか」と“傍観”している。

     しかし、許せないのは、私が車を飛ばして、わざわざ韓国スーパーで買い付けてきた味つけプルコギ(韓国焼肉)にまでつけてしまうことだ。折角の味がブラウンソースで消されてしまう。しかし、彼はHPソースが焼肉のたれを引き立てていると豪語する。

     このように、今でこそ“文句タラタラ”の私だが、カナダに来たばかりの頃は、とんかつやお好み焼きにと、HPソースにはとてもお世話になった。お好み焼きソースは当時、6ドル(600円)以上もして、私にとって簡単に手が出る値段ではなかった。HPソースは、お好み焼きソースに比べると、甘くはないし酸っぱいのだが、ケチャップと混ぜたりして、特製ソースのベースにしていた。

     日本にも何にでも醤油をかけて食べる人や、マヨネーズを愛するマヨラーがいるそうだから、HPソースさえあれば幸せという夫のことも、長年培われた味覚と考えると何とか納得がいく。毛嫌いしないでうまく使うと、シチューなどの隠し味にもなる便利な調味料だ。

    ≪西川桂子(にしかわけいこ)/プロフィール≫
    フリーランスライター、翻訳者。まっぷるマガジンカナダ(昭文社)、海外女性通信(婦人公論)他、3児の母の立場から、海外での子育てなどについても執筆。今年度で、一番上の息子は小学校を卒業。未知の世界にちょっぴり緊張する一方、これからはカナダの中学生について、もっと紹介できそうだと期待もしている。
    カテゴリ:『こだわりの調味料』 | 00:04 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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