中国の少数民族・ミャオ族の衣装
2008.06.10 Tuesday | by chikyumaruz
文・写真:平林豊子(日本・東京在住)
中国には、政府が認定しているだけでも55の少数民族がいるとされている。それぞれに独自の民族衣装を持っているが、とりわけ素晴らしいのがミャオ族だ。手織りの布に施された藍染やろうけつ染めに、細やかにステッチされた華やかな刺繍……。見ているだけでも女心をくすぐられる、わくわくするような衣装だ。
市場で出会ったミャオ族の女性たち
山の上の小さな村で女性に着てもらった盛装
さらにミャオの中でも200以上の衣装があるとされており、ピンクやオレンジを多用したかわいらしい衣装から黒や紺をベースに銀の装飾品をあしらったしぶいものまでバリエーションも豊富。80を過ぎたおばあさんが、よく使い込まれた刺繍のミニスカートを着ている光景は何とも愛らしく、民族の誇りを感じさせる。
濃紺を基調にしたシックな衣装。山奥の村では若い女性も刺繍をする
今は近代化が進み、祭りのとき以外はジーパンにTシャツというスタイルの少数民族も多い。年配の女性は刺繍ができるが、普段から民族衣装を着ていない若い子たちのほとんどはその技術を受け継いでいないのが残念だ。既製品も多く出回るようになり、昔ながらの手作りの良さは急速に消えていこうとしている。
キラキラと光る既製品の服も多く出回っている
山奥の小さな村でも携帯電話を持つ人がいる昨今。急激な近代化で、民族衣装も日常からたちまち消えてしまうのだろう。日々の暮らしから着物を捨ててしまった日本人の私がいうのも何だが、それはあまりにも惜しい。その衣装と文化を後世に伝えるべく、ミャオ族の衣装に関する本を制作する予定である。
子ども用の盛装の帽子。ミャオ族は銀飾りも多用する
80歳を超えたミャオ族のおじいさん
※ミャオ族……ミャオ族という名称に馴染みのない方でも、「モン族」という名前なら聞いたことがあるかもしれない。これはミャオ族の自称であり、さらにタイやラオスなどの東南アジアにおけるミャオ族の自称&他称である。
≪平林豊子(ひらばやしとよこ)/プロフィール≫
旅するライター&エディター。2008年4月に出版した『着こなせ!アジアンファッション WE LOVE ASIAN FASHION』(ダイヤモンド社地球の歩き方BOOKS)が早くも増刷され、好評を博している。
着こなせ!アジアンファッション(WE LOVE ASIAN FASHION) (地球の歩き方Books)
平林 豊子