年に一度のご馳走、パロロ (サモア)
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    『こんなもの食べる?』
      文・写真:椰子ノ木やほい(アメリカ合衆国・ミシガン州在住)

    「え〜こんなもの食べるの〜?」と思わず声をあげた。

    パロロ

     サモアに住んでいたころ、大家の息子が、「おいしいよ!」と差し出してくれたのは、南海の珍味と言われる“パロロ”だった。緑色と茶色の混ざったイトミミズのような姿は、どう見ても人間が食べるものというよりは、釣に使う餌のようだ。しかしこれがサモア人の間では、年に一度だけ味わえるご馳走だという。

     ほんのり磯の香りがする。おそるおそる、口にしてみると、うっすら塩味、海の味。食感としては、トロリといったところ。姿形がグロテスクなので味より見た目で気持ち悪い気がしてしまうが、熱々ご飯にイカの塩辛が大好きという人なら、食べられないことはない。いや、「結構イケる」と言えなくもない。

     しかし、このパロロ、釣り餌に見えるのも無理はない。生物学的にも、ミミズやゴカイの仲間で、環形動物門多毛網イソメ科の生き物だそうだ。普段はサンゴ礁の細い穴の中に生息しているが、1年のうちの10月か11月あたりの特定の日にだけ生殖活動のために海中を浮遊する不思議な生物なのだ。またその時期は月の満ち欠けや海水の温度などが微妙に影響するため収穫できる確実なエックスデーを知ることは難しいらしい。

     実は、私もサモアで暮らした頃に一度だけ、パロロ狩りを体験した。とは言うものの、現れるはずのパロロはその日、浮遊しなかったため、正確には、パロロ狩りは未遂に終わった。しかし、私はこの日、すくい網を手にした集団が、夜明け間近の漆黒の海にゾロゾロと入って行くという、異様としか言いようのない光景を見た。南海の珍味、パロロ収穫にかけるサモア人の意気込みがスゴイことを実感した。

     考えてみれば、生物学的に云々ということなど、昔のサモア人は知る由もなかったはず。太古の昔から、珊瑚礁近くの浜に住む人々が生活する中で、パロロの存在を見つけ、食べてみたらおいしかった。以来、毎年エックスデーを予想して、年に一度のご馳走を味わってきたのにちがいない。世界で環境破壊が進むなか、いつまでもサモアの海で神秘の生き物、パロロが浮遊し、年に一度のご馳走が楽しめることを願っている。



    ≪椰子ノ木やほい/プロフィール≫
    1997年より2001年まで南太平洋の小国サモアに在住。現在は五大湖に囲まれた、米国・ミシガン州在住。新鮮な魚介類が、安く簡単に手に入ったサモア時代と比べると、魚料理を食べるチャンスがほとんどない毎日。湖はあれど海は遠い。ミシガン人は海の幸を好んで食べないためか、新鮮な魚介類を売る店はない。あ〜たまには新鮮なお刺身が食べたい!
    カテゴリ:『こんなもの食べる?」 | 20:40 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    孵化寸前のアヒルのたまご、ホビロン(ベトナム)
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      『こんなもの食べる?』
        文・写真:平林豊子(日本・東京在住)


      「孵化寸前のアヒルのたまご、“ホビロン”がウマイよ。あれは絶対に食べておくべき!」
      ベトナム旅行に行く前に、旅人仲間から得た情報である。現地においては現地のものを、を基本としている私と相方は、「それは珍しい。ぜひ食べておかねば」と食べたいものリストのひとつに数えて、それは楽しみにしていた。

       ベトナムでは首都ハノイから南のホーチミンまで下っていったが、なかなかホビロンにお目にかかれない。ベトナム一の都市、ホーチミンならばきっとあるのだろうと気楽に構え、ホーチミン入りしたものの、やはり、どこにも見当たらない。

       市場では、“鶏をゲージに入れずに売ってはだめ”、だとか、“たまごをむき出しで売ってはだめ”、といった看板が目に付く。「むむ、ひょっとして鳥インフルエンザの影響でホビロンも消えてしまったのか!?」という懸念がむくむくと頭をもたげてくる。

       市場でショッピングをし、近くにあったきれいなレストランに珍しく入ったら、英語のメニューが置いてあった。そして、そこにはアルファベットで“ホビロン”と読めるメニュー名が!
      「おお! ついに発見か!」と相方と喜び合い、オーダーすると、果たして答えは「今はやってない」なのであった。理由を尋ねると、「Because of sickness」だという。要するに、鳥インフルエンザ流行の影響で自粛中なのであろう。

       あちこちで「ない」と言われ続けてもうあきらめかけていた頃、ハマグリを肴に一杯やろうと、前に蒸しハマグリを買った屋台にまた出向いてみた。すると、小汚いガラスケースの中に、たまごらしきものの姿が見えるではないか!

       ……「ホ、ホ、ホビロン!?」。たまごを指差す私。
      「イエス」。うなずく屋台のオバちゃん。
      ホビロン

       あったぁ〜〜!! 念願のホビロン、ついに発見だ。さっそく相方とひとつずつオーダーし、テーブルに着く。たまごに触れるとじんわりと温かい。オバちゃんがたまごの頭をコンコンと叩いてヒビを入れ、上のほうだけ上手に殻を取ってくれた。そこまではよかったのだが、ホビロンの中の汁をたまご立てにあけてコショウを振り、さあ飲め、という。予想外の展開に面食らいつつ、スープにそっと口を近づけてみる。鳥だからダシは出ているのだろうが、なんだか生臭い気がして気持ちが悪い。相方はウマイウマイと全部飲み干してしまった。

       さあ、次はいよいよ中身へ突入だ。黄身の部分はゆでたまごと同じような感じで普通に食べられる。しかし、問題は白身である。いかんせん見た目がグロい。孵化寸前なため、羽がすでにできあがっている。内臓が見える。血管も走りまくっている。しかもすべてがぬらぬらと濡れて気味悪く光っているのだ。

       暗がりの中、屋台のオレンジ色の灯りに照らされて浮かび上がるその濡れた血管やら羽やらのグロテスクさにすっかり恐れをなしてしまった私。ふた口ぐらいは口にしたが、食感もアウト。これは羽だ……と舌が判別できるので、気持ち悪さが先に立って飲み込めないのだ。完敗である。

       一方、相方は一応「グロいな〜」などと言いはするものの、全部食べている。なんてやつだ、どこでも生きていけるなコイツ、とあきれた目で相方を見やる私。しかも、レストランのお兄さんは、「あんなもの僕たちは食べないよ! 男が食べるもんじゃないよ」なんて言っていたのに。

      ホビロン

       すっかり試合放棄してグッタリしていた私のところに、宝くじ売りのおばあちゃんが来た。「外国人なんだからクジなんていらないよ〜」と断っても、ベトナム語で何やらしつこく言ってくる。そのときに、「ホビロンは女性に人気がある」とレストランで聞いたのを思い出した。私の食べかけのホビロンを指差し、食べる?とジェスチャーで聞いてみる。おばあちゃんは嬉しそうににっこりとし、その場にしゃがみこむと、あっという間にきれいに食べ尽くしてしまった。たまごを逆さまにして、最後に残った汁をすすることも忘れずに。

       ちなみにこのホビロンのお値段は、ひとつ3000ドンだった。日本円にしてわずか23円である。23円でこのホラー的エンターテイメントが楽しめるのであれば、たとえマズいとしても(少なくとも私にとっては)、体験してみる価値は大ありだといえる。みなさんも、ベトナムにお出かけの際にはぜひ試してみてはいかがだろうか? 

       私は、もう、遠慮しておきますが……。

      ホビロン



      ≪平林 豊子/プロフィール≫
      旅するエディター&ライター。年に一度、ひと月の休みをとって旅に出かけることを楽しみにしている。現在、アジアンテイストなファッションが好きな人のための『WE LOVE ASIAN FASHION』という本を編集・執筆中。2008年4月4日発売予定。
      カテゴリ:『こんなもの食べる?」 | 03:38 | comments(2) | trackbacks(1) | - | - |
      野山の恵みで商売
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        『こんなもの食べる?』
          文・写真:うえのともこ(ネパール・カトマンズ在住)


         子どもの頃、レンゲを摘んだり、花の蜜を吸ったりして草花での遊びを楽しんだ。カラスノエンドウは、さやえんどうのミニ版で赤紫の小さなかわいい花が目印。細いさやから中の豆を取り出し、筒にしてピーピー笛のように音を鳴らして遊んだものだ。どんぐりをおままごとの食材に見立てて遊びながら、どんぐりを食べたらどうなるだろう?食べてみたいな、なんて考えていたけれど。

         あれから数十年。遊びに使っていたカラスノエンドウとどんぐりがネパールではおやつとして食べられているのを見て、驚くことになろうとは。

        カラスノエンドウ売りのおばちゃん


         草刈りしてきたまんまと思しき草の束をおばちゃんが道端で販売しており、それを大人も子どももごっそり買って、草に潜んでいるさやをちぎっては、中のちっこい豆を数粒取り出して口に放り込んでいる。それらはもちろんわざわざ栽培されているものでなく、紛れもない雑草だ。あれはヤギや牛のえさではないの? 動物や人間の排泄物なんてひっかかってはないかしら? さやの中ならきれいなもんか? 疑問がグルグル巡る。

         春祭りで賑わう古都で一休みしていると、横に腰掛けた若者が親切にそのカラスノエンドウを子どもに手渡してくれた。うれしそうに食べる子ども。「ハイ、ママにもね!」「えっ、あ、ありがと」口に入れると新鮮な青臭さのなかにもほのかな甘みがあって意外にもイケる!

         さて、どんぐり。これまたこちらじゃ立派な(?)おやつで、殻を剥いては生でボリボリ食べる。子どもらと日向ぼっこをしていたら、義姉に「ほれっ、食べろや」と渡された小粒のそれ。子どもらも義姉も口に放り込んでいる。 大人も食べるの?食べてもいいのね?

         どんぐりはアクが強く食べると腹を壊すと聞かされていたので、かなりおっかなびっくりで。決してうまいものではないけれど、食べ物がなかったなら、まぁ食べるのかな、といった感じ。

         秋祭りのシーズンが近づくとコケモモを売る人たちが増える。これも森で採集してきたアイテム。新聞紙を円錐に丸めたカップに盛り、以前紹介したビレヌン(紫岩塩)を振りかけてくれる。

         日本では売っていないこんな野山の実り。これらを美味しいと思える味覚を持っていることは、人工加工品に毒されていないピュアな味覚を維持していると言えよう。しかし食べるという事実より、なんでも商売になっちゃうことに驚きと感心する次第。


        ≪うえのともこ/プロフィー ル≫
        ネパール語ではどんぐりと栗という単語は同一で区別がない。栗を食べたい、と言うと夫に街角で売られているどんぐりを見せられ「これではないのよっ!」と怒り半分で力説したことも。韓国のどんぐり料理「ムッ」とやらを一度食べてみたい。 「ネパールの達人」としてブログで情報発信している。
        カテゴリ:『こんなもの食べる?」 | 01:01 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        「ジーミーカンドの正体は?」
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          『こんなもの食べる?』
            文:冬野花(ニューデリー・インド)


           八百屋の屋台に、いつも妙に気になる野菜があった。それは見た目がかなりグロテスクで、ボコボコした茶色の塊。大きいので切り売りしているのだが、切ったあとの断面は糸が引くほど粘っこい。

           気になりながらも見てみぬフリして1年くらい過ごした頃だったろうか。とうとう私は一緒にいた友人に「ねぇ、これって何?」と、聞いてみたのだ。すると彼は「これは、ジーミーカンド。英語ではエレファントフットって言うんだけど」と教えてくれ、「食べてみる?」と聞いてきた。確かに言われてみれば、まるで象の足のよう。その見かけにかなりビビっていた私は、不味かったら困るな、なんて一瞬思ったのだが、彼にそれで料理を作ってもらうことにした。

           買ったジーミーカンドを切り始めた彼が言うには、「ナマの時のネバネバは、手につくと石鹸で洗っても簡単にはとれない」のだそうだ。確かに彼は、手にビニールをかぶせて切っている。しかも強力な粘り気のせいで、切るのにそうとう力がいるらしく、体重をかけている。こんなものが食べれるの? いったいどんな味と食感なのか、この時点では予測不可能であった。

           さて、1センチ角程度のサイコロ状に切ったら、次にどうするのか? 油で揚げるのである。するとネバネバがなくなり、食べられる状態になるとのことである。そして、それをカレーの具にして食べるのだそうだ。だが、待てなくなった私はカレーに入れる前に、きつね色に揚がったジーミーカンドをそのまま食べてみた。

           すると……お、おいしい〜! おいしいといっても、それ自体には特に味がなく、かなり淡白。だが、とてもホクホクした暖かい感じだったのだ。「なんだ、おいしいじゃん!」ネバネバも完全になくなっており、あの見かけからは想像もできない味だった。もちろんその後、カレーにして食べても非常に美味だったことは言うまでもない。

           ところで、このストーリーには後日談があるのである。ジーミーカンドにちょっと感動してしまった私は、インターネットでいろいろ情報を探してみたのだ。そして得た驚きの結果は……、なんとジーミーカンドとは、こんにゃく芋のことだったのだ! 思えば、今まで“コンニャクはこんにゃく芋から作られる”という事実は知っていたものの、こんにゃく芋は見たことがなかった。

          「1年間も気になっていたあなた、こんにゃく芋だったのね。しかも、インドでも食されているなんて思いもよらなかったわ」



          ≪冬野花 (ふゆのはな)/プロフィール≫
          2004年夏よりニューデリーに単身在住。ヒンディー語をしゃべりながら暮らす。フリーライターとして活動しながら時間を見つけてはインド国内旅行をする日々。夏は最も魅せられているヒマラヤ方面、冬はポルトガル植民地時代の面影が残るゴアがお気に入り。旅ルポ、アーユルヴェーダ、ヨーガに関しての執筆も得意。
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          カテゴリ:『こんなもの食べる?」 | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          「遊牧民のもてなしって……」
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            『こんなもの食べる?』
              文:郷らむなほみ(オンタリオ州・カナダ)


            「遊牧民のもてなしって…」

             アラビア半島で沙漠の民の栄養補給といえば、ウルトラ高カロリーのデーツ(ナツメヤシの実)だと言われている。まるで日本の干し柿のような甘さ、どんなに頑張ったって主食にはなり得ない。では、食事には一体何を食べるのだろうか?

             フィールドワークでベドウィンと暮らしたという片倉もとこ氏によれば、普段は野菜中心の食事を取っているらしい。郡部のガソリンスタンドにあるコンビニでも売られている平べったいパンとともに、ヒヨコマメ、オクラやズッキーニといった野菜が食卓に上るのだろう。

             日常生活ではベジタリアンの遊牧民も、旅の人や親類縁者などの客人があった時は、大盤振る舞いでヤギや羊といった家畜をほふるのだという。サフランやクローブなどのスパイスで調理された細長ライスの上に、デーンと鎮座して出て来るケダモノの頭! 

             これだけでもう、インパクトは特大級なのだが、客人には必ず、その眼球が勧められると言うのだ。

             うーん。初めてこの話を聞いた時、なかなか過激なもてなしですね……と、卒倒しそうになってしまった。沙漠でよく見かけるつぶらな瞳の子羊ちゃん、あの子のおめめが私の皿に乗るなんて。

             幸か不幸か、唯一私たちが招待された時は、どーんと大皿料理が並ぶ大広間に私たちだけ。

             先輩駐在員夫婦によれば、家人が誰もいない方が外国人の客はリラックスして食べられるだろう、という計らいなのだそうな。確かに、その心づかいは嬉しいかも。いきなり眼球を大勢の前で差し出されても、それはちょっと困る。

             しかしながら、ここでふっと沸き上って来る素朴な疑問。

             なぜ、眼球なのか。

             思うに、この目玉というのは、ゼラチン質でしかもタンパク質に溢れているのではないだろうか。荒野を長らく旅して来た者が不足しているであろう栄養分を、上手く補ってくれるに違いない。

             そして、何しろ眼球は一つの個体に2つしかないのだから、一頭ほふっても2人にしか行き渡らない。貴重な目玉で訪問者をもてなすというのが、アラブ式ホスピタリティーなのだろう。

             何ごとも必然があって生じたと思えるアラブの暮らし。

             仮にまたサウジアラビアを旅することがあって、もし眼球を出されたら、私は喜んで……夫に譲ろう。


            ≪郷らむなほみ (ごうはむなおみ)/プロフィール≫
            フリーランスライターで転勤族の妻。夫の赴任に強制同行、2003年〜2007年夏までサウジアラビアの首都リヤドに在住した。沙漠のオフロード走行に取り憑かれた元F3レーサーの夫に連れられて数々の沙漠旅行を経験、日本人未踏の沙漠体験多し。沙漠性気候の暑いアラビア半島に土着化しすぎて、極寒カナダの冬に脅えている今日この頃……。
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            ピーナッツバター&ジャム・サンドイッチ
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              『こんなもの食べる?』
                文・写真:伊藤葉子(米国・ロサンゼルス在住)


               子どもの学校のお弁当を毎日作るようになり、情けないがすぐにネタ切れしてしまった。中国系のママさんに、何を入れているか訊いてみた。

               「我が家はね、もっぱら“ピーナッツバター&ジャム・サンドイッチ”よ」という答えが。このサンドイッチこそ、アメリカの子どもの定番ランチ。下ごしらえは一切なし。料理の腕など関係なし。スーパーで買った普通のパサパサのパンに、ピーナッツバターとジャムをはさんだだけの、シンプルなサンドイッチ。腐る素材を用いていないので、保冷剤は不要。略して“PB&J”とも呼ばれているこのサンドイッチは、日本人にとっての“おにぎり”に近い存在ともいえる。PB&J、バナナ、牛乳という組み合わせは、こちらの子どもの大好物で、週に3回ほどお弁当に登場するようだ。母親には超ラクで、子どもは大喜び。こんなすごいメニューは、なかなかないと思う。

               Wikipediaというネット上の百科事典によると、PB&Jは第二次世界大戦中、米兵により考案されたといわれているそうだ。平均的アメリカ人なら高校卒業までに、このサンドイッチを、何と1,500個食べ、卒業後も食べ続ける。職場のランチに、スナックに、朝食に、いつでも気軽に登場する。最初にPB&Jを出されたときのことを、今でも鮮明に覚えている。しっとり感が皆無のパンと中身の甘さに驚き、その素っ気なさのため、無理やり牛乳で流し込んだ。以来、米国在住13年間1度も食べていない。こちらの人は、ピーナッツはたんぱく質を豊富に含むため、“栄養的には問題ない食べ物”と言うのだが。

              スーパーの棚には、ピーナッツバターがずらりと並ぶ。クリーミー、クランチー、オーガニック、トランス脂肪酸なし、と種類もさまざま。
              スーパーの棚には、ピーナッツバターがずらりと並ぶ。
              クリーミー、クランチー、オーガニック、トランス脂肪酸なし、と種類もさまざま。

               ところが最近では、みんなの大好物PB&Jが、学校から消える可能性が出てきてしまった。Newsweek誌によると、米国では1,100万人が食品アレルギーに悩み、年々増加傾向にある。同アレルギーで特に深刻なのは、最悪の場合死亡にいたる、ピーナッツアレルギーだ。当然ながら、PB&Jを食べられない子どもが増加しているのだ。私の子どもが卒業したプリスクール(注)では、ピーナッツ製品は一切禁止されていたので、PB&Jをお弁当に持ってくる子どもはいなかった。“オールアメリカン・フェーバリット”は、これからどうなるのだろうか?

              注:キンダー入学前の子どもが通う学校で、日本の幼稚園に似ている。義務教育ではない。

              ≪伊藤葉子(いとうようこ)/プロフィール≫
              ライター・翻訳者。カリフォルニア大学卒業後、地元の新聞社勤務。日系企業に関する取材記事を英語で執筆。現在では子育てを通じて、別の視点から米国事情を学んでいる。訳書に『免疫バイブル』(WAVE出版)がある。まもなく在米14年を迎える。
              カテゴリ:『こんなもの食べる?」 | 00:00 | comments(2) | trackbacks(1) | - | - |
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