アスレチックジムのサウナはミックスだった!(ウィーン・オーストリア編)
2007.08.25 Saturday | by chikyumaruz
文:パッハー眞理(ウィーン・オーストリア)
先日、オープンしたてのアスレチックジムの招待券をもらった。
ふだんは、オフィスワークでジムなんぞに縁のない、日本人の友達カオリを誘い、私たちは、大喜びでジムに向かった。そこは202メートル50階建てで、オーストリア一高いと言われるミレニアムタワーの中にあった。遠くに見える山を見渡しながらマシンを使って汗を流すのはなんと気持ちがいいものだろう。いろいろなマシンを一通り試し、体力を消耗し過ぎてふたりとも、口がきけない。
ふと周りを見渡すと若い人ばかりか、リタイヤー組と思われるお年寄りもいらっしゃる。老若男女が健康を維持するために、いい汗を流すことは、まことに結構なことだと、私たちは感激した。しっかり運動した後は最終地点サウナへ向かった。バスタオルを腕に抱えて素っ裸で、気持ちのいいスノコの上を歩き入り口のドアを勢いよく開けると……、
ギョエー!!何も身につけていない男女が、ベンチに座ってこっちを見上げているではないか?!何とここは男女ミックスすっぽんぽんのサウナだったのだ!
カオリはサウナだって生まれて初めてのこと。まさかの光景に彼女もまた、あっけに取られて固まってしまった。しかし、サウナ独特の木で出来ているドアを開けてしまっているのだ。引き返すわけにはいかない。覚悟を決めた私たちは、高温のため熱くなってしまうベンチの上に、皆と同じようにしてタオルを敷いて座った。他の人たちも素っ裸のまま、隣同士、友達同士で談笑している。まるで電車に乗っているかのように自然に振舞っている。恋人同士、また中年男性グループもいる。日本人は私たちだけだったが、誰も好奇の目で見ることもなく、オーストリア人の誰もが公共の場でするように、後から来た人に気軽に挨拶をしてくれた。
サウナといえば、私は、ウィーン市の運営するプールに併設された施設を、冬に時々利用する。毎週水曜日が「ファミリーサウナ」と銘打ってミックスであることは承知していた。しかし、ジムのサウナが男女一緒とは夢にも思わなかった。どうりで、最近親友ミリアムが“アスレチックジムで”知り合った恋人を自慢げに紹介していたはずだ。ジムで何度か鉢合わせて、汗をかいたあと男女混合サウナで再び親交を深めたというわけか……。
すっぽんぽんとは言え、すっかりリラックスしてきた。カオリもだんだん慣れてきたのか、「私、近眼だからメガネを持って来たら、よかったわ」とマジなのかジョークなのかわからない発言をするほどになり、私は大笑いしてしまった。
以来ジムにハマッタ、カオリは、そのジムの会員になったらしい。本音はジムではなく、もしかすると“メガネ持参の裸のつきあい”だったのでは? と私は睨んでいるのだが……。
≪パッハー眞理(ぱっはーまり)/プロフィール≫
ウィーン生まれで東京育ち。ピアノ教師兼ライターとしてウィーンに暮らす。とうとう海外生活は33年目に突入。日本にいた時よりもはるかに外国暮らしが長い。毎日愛犬コッカースパニエルと自然の中を散歩して気分転換をはかっている。UCC上島珈琲、新卒OLを元気にするサイトの特派員もつとめホットな話題を提供している。オーストリアプレスクラブコンコルディア会員。著書 『アウガルテン宮殿への道』ショパン刊がある。