アスレチックジムのサウナはミックスだった!(ウィーン・オーストリア編)
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    『びっくり!驚いた!』
    文:パッハー眞理(ウィーン・オーストリア)


     先日、オープンしたてのアスレチックジムの招待券をもらった。

     ふだんは、オフィスワークでジムなんぞに縁のない、日本人の友達カオリを誘い、私たちは、大喜びでジムに向かった。そこは202メートル50階建てで、オーストリア一高いと言われるミレニアムタワーの中にあった。遠くに見える山を見渡しながらマシンを使って汗を流すのはなんと気持ちがいいものだろう。いろいろなマシンを一通り試し、体力を消耗し過ぎてふたりとも、口がきけない。

     ふと周りを見渡すと若い人ばかりか、リタイヤー組と思われるお年寄りもいらっしゃる。老若男女が健康を維持するために、いい汗を流すことは、まことに結構なことだと、私たちは感激した。しっかり運動した後は最終地点サウナへ向かった。バスタオルを腕に抱えて素っ裸で、気持ちのいいスノコの上を歩き入り口のドアを勢いよく開けると……、

     ギョエー!!何も身につけていない男女が、ベンチに座ってこっちを見上げているではないか?!何とここは男女ミックスすっぽんぽんのサウナだったのだ!

     カオリはサウナだって生まれて初めてのこと。まさかの光景に彼女もまた、あっけに取られて固まってしまった。しかし、サウナ独特の木で出来ているドアを開けてしまっているのだ。引き返すわけにはいかない。覚悟を決めた私たちは、高温のため熱くなってしまうベンチの上に、皆と同じようにしてタオルを敷いて座った。他の人たちも素っ裸のまま、隣同士、友達同士で談笑している。まるで電車に乗っているかのように自然に振舞っている。恋人同士、また中年男性グループもいる。日本人は私たちだけだったが、誰も好奇の目で見ることもなく、オーストリア人の誰もが公共の場でするように、後から来た人に気軽に挨拶をしてくれた。

     サウナといえば、私は、ウィーン市の運営するプールに併設された施設を、冬に時々利用する。毎週水曜日が「ファミリーサウナ」と銘打ってミックスであることは承知していた。しかし、ジムのサウナが男女一緒とは夢にも思わなかった。どうりで、最近親友ミリアムが“アスレチックジムで”知り合った恋人を自慢げに紹介していたはずだ。ジムで何度か鉢合わせて、汗をかいたあと男女混合サウナで再び親交を深めたというわけか……。

     すっぽんぽんとは言え、すっかりリラックスしてきた。カオリもだんだん慣れてきたのか、「私、近眼だからメガネを持って来たら、よかったわ」とマジなのかジョークなのかわからない発言をするほどになり、私は大笑いしてしまった。

     以来ジムにハマッタ、カオリは、そのジムの会員になったらしい。本音はジムではなく、もしかすると“メガネ持参の裸のつきあい”だったのでは? と私は睨んでいるのだが……。


    ≪パッハー眞理(ぱっはーまり)/プロフィール≫
    ウィーン生まれで東京育ち。ピアノ教師兼ライターとしてウィーンに暮らす。とうとう海外生活は33年目に突入。日本にいた時よりもはるかに外国暮らしが長い。毎日愛犬コッカースパニエルと自然の中を散歩して気分転換をはかっている。UCC上島珈琲、新卒OLを元気にするサイトの特派員もつとめホットな話題を提供している。オーストリアプレスクラブコンコルディア会員。著書 『アウガルテン宮殿への道』ショパン刊がある。
    カテゴリ:『びっくり!驚いた!』 | 00:02 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    感染するのか?!(カトマンズ・ネパール編)
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      『びっくり!驚いた!』
      文:うえの ともこ(カトマンズ・ネパール)


       ヒンズー教徒80%、世界で唯一ヒンズー教を国教とする国、ネパール。年がら年中ヒンズー教の祭りや儀式、お寺参りが行われている。

       さて、その儀式を準備する家人や招かれる客人女性は生理になってはいけないというではないか。友人が「明日、うちでプジャ(儀式・祈祷)があるんだけど、義母さんの姉妹がみんな生理になっちゃって、手伝いができないらしいの。義母から、私も当たりそうなら、前もって薬を飲んでずらさないと駄目だって言われちゃったのよぉ」とこぼした。

       ヒンズー教では生理の期間は「穢れ」とされているからだ。広辞苑で「穢れ」を引いてみると、「月経などによって身体が不浄となる」ともあり、日本でも存在する感覚であろうが、ネパールでは何かと制約が多い。まずその期間(特に初日から4日間)はお寺参りはできない。また神聖であるとされる台所に入ることを嫌う。触ったものは「穢れ」てしまうから、食事を作ることもしない。「穢れ」たものを食べた人も「穢れ」てしまうと考えられている。

       もっと厳格な家庭だと夫に触れることも許されないので、床も別にし、別棟またはベッドの下に離れて寝る。どうやら「穢れ」に感染(?!)することを恐れているらしい。生理があけて、全身を水で清め、祈りを捧げてからやっとリセットされ、通常に戻れるという何とも大変な生活……。

       都市部では核家族化も進み、住宅事情の点からも、日常ではそれほど徹底されてはいないようだが、儀式や特別な集まりでは頑なに伝統的習慣を守っているところが多いようだ。生理の期間くらいは女性が休みを取れるようにという配慮ある習慣のようにも見えるが、女性差別という意識もあり、最近になって一部団体でこのような古い差別的習慣を撤廃しようという声が上がり、その活動も行われはじめている。

       そんなことはちっともお構いなく暮らしている私だが「穢れ」た存在として扱われるなんて決して気分のよいものではないし、ネパール女性がそんな感覚を植え付けられて萎縮することなく、面倒な制約から解放されるよう願う。


      ≪うえの ともこ/プロフィール≫
      岡山県倉敷市出身。滞在暦延べ4年。ネパール感覚に麻痺してきたのか、新鮮な感覚を失い、驚くことが少なくなってきている今日この頃だが、真っ白なヒマラヤの雄姿にはさわやかな感動と元気を与えられる。そろそろ雨期明け、顔を覗かせてくれそうだ。ネパールの達人(ではないけれど)としてブログを発信している。
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